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月刊児童文学翻訳
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月刊(休刊月あり)
最終発行日
2018年04月15日
 
発行部数
2,415部
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PC・携帯向け/テキスト形式
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アート・文芸 > 文芸 > 批評・論評

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※5月は休刊致します。次回は6月号です。どうぞお楽しみに!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2018年4月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
         Yamaneko Honyaku Club 20th Anniversary
                                No.184
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌◆
◆http://www.yamaneko.org                         ◆
◆編集部:mgzn@yamaneko.org     2018年4月15日発行 配信数 2560 無料◆
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●2018年4月号もくじ●
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◎賞情報:2018年国際アンデルセン賞発表
◎賞情報:2018年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表
◎賞速報
◎イベント速報
◎お菓子の旅:第69回 チェコの復活祭に欠かせない ~マザネツ~
◎読者の広場

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●賞情報●2018年国際アンデルセン賞発表
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 3月26日、2018年国際アンデルセン賞の受賞者が発表された。この賞は、児童文学
に貢献してきた作家/画家の全業績を称え、国際児童図書評議会(IBBY)が2年
に1度、西暦偶数年に発表するものである。本誌先月号でお伝えした通り、今年度の
ショートリストには、各国から推薦された候補者の中から作家賞5名、画家賞6名が
選ばれ、1月17日に発表されていた。授賞式は、8月30日から9月1日にかけてギリ
シャのアテネで開催予定の、IBBY世界大会にてとりおこなわれる。
 本号では、作家賞と画家賞の受賞者を紹介する。

※候補者の日本語読みは、日本国際児童図書評議会(JBBY)の発表に準ずる。

▼国際児童図書評議会(IBBY)公式ウェブサイト
http://www.ibby.org/

▼上記ウェブサイト内、2018年国際アンデルセン賞のページ
http://www.ibby.org/awards-activities/awards/hans-christian-andersen-awards/hcaa-2018/?L=0

▽国際アンデルセン賞について(本誌1999年10月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/10a.htm#a1bungaku

▽国際アンデルセン賞受賞者リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/andersen/index.htm

▽ショートリスト一覧(本誌2018年3月号)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2018/03.htm#sokuho

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■作家賞■ ~ The Hans Christian Andersen Author Award 2018 ~

 ★Winner
 Eiko Kadono 角野栄子 (日本)

 2018年作家賞の栄誉に輝いたのは、角野栄子氏。1994年のまど・みちお氏、2014年
の上橋菜穂子氏に続き、日本から3人目の作家賞受賞者が誕生した。1970年に、2年
間ブラジルで生活したときの経験をもとに書いた『ルイジンニョ少年 ブラジルをた
ずねて』(福原幸男絵/ポプラ社)で作家デビューして以来、出版された著書は200
冊を超える。
 同賞の国際選考委員会から、絵本も、読み物も、「意外性があり、魅力にあふれ、
力を与えてくれる」と評された角野作品。私自身は、子どものころに「小さなおばけ
シリーズ」(佐々木洋子絵/ポプラ社)、『わたしのママはしずかさん』、『わたし
のパパはケンタ氏』(共に偕成社)、『魔女の宅急便』(福音館書店/角川書店)な
どを読み、最近になって『ナーダという名の少女』、『トンネルの森 1945』
(共に角川書店)を読んだ。あっというまに物語の世界に引き込まれ、読みながら主
人公と一緒にドキドキしたり、ワクワクしたりする感覚は、昔も今も変わらなかった。
おばけや魔女なども登場するちょっと不思議な世界が、すぐそこにある身近な場所の
ように思えてくるのだ。本誌2017年3月号でレポートをお届けしたトークイベントで
は、その創作の源となる世界観や読者への思いも語られていて興味深かった。日本の
読者のひとりとして、今回の受賞に心からお祝いを申し上げるとともに、受賞をきっ
かけに、角野氏の作品が世界のさらに多くの子どもたちの手に届くことを願っている。

【参考】
▼角野栄子公式ウェブサイト
http://kiki-jiji.com/

▽角野栄子関連記事(本誌2017年3月号「やまねこカフェ:第12回」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2017/03.htm#cafe

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■画家賞■ ~ The Hans Christian Andersen Illustrator Award 2018 ~

 ★Winner
 Igor Oleynikov イーゴリ・オレイニコフ (ロシア)

 画家賞には、ロシアのイーゴリ・オレイニコフ(イゴール・オライノコフ)が選ば
れた。1953年生まれの同氏は、化学、機械工学の大学で学び、卒業後はエンジニアと
して働いていたが、1979年にアニメーション映画のスタジオに入り、制作者として経
験を積む。その後、1986年から子ども向けの雑誌や本の挿絵の仕事に携わり、イラス
トレーター、絵本作家としても広く活躍するようになった。
 同賞の国際選考委員会は、オレイニコフ氏を「デザインと構成の達人」と評する。
高く評価されたのは、その絵の美しさだけでなく、子ども、旧約聖書の登場人物、動
物、魔女や巨人から、妖精、トロールに至るまで、多彩なキャラクターに命を吹き込
み、動きや表情を豊かに描き出していることだ。これまでに出版された作品は80冊を
超え、プーシキン、ゴーゴリなど、ロシアを代表する作家の作品や、アンデルセン、
グリムなどの古典的な作品のイラストを多く手掛けてきた。2012年には、"Ballada o
malen'kom buksire" (text by Joseph Brodsky) でIBBYオナーリストに選ばれて
いる。日本で翻訳されている作品に、ぬいぐるみのクマが主人公の『あいたいな』
(セルゲイ・コファレンコフ文/もきかずこ訳/学習研究社)、『ねむれないよう!』
(もきかずこ訳/学習研究社)などがある。

【参考】
▼イーゴリ・オレイニコフ紹介ページ(Bibliogid ウェブサイト内、ロシア語)
http://bibliogid.ru/khudozhniki/735-olejnikov-igor-yu

                                (平野麻紗)

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●賞情報●2018年カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表
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 3月15日、カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞のショートリスト(最終
候補作品)が発表された。英国図書館・情報専門家協会(CILIP: The Chartered
Institute of Library and Information Professionals)が主催するこの賞は、イギ
リスで最も権威ある児童文学賞である。昨年11月6日にノミネート作品リスト(カー
ネギー賞121作品、ケイト・グリーナウェイ賞116作品)が、続いて今年2月15日にそ
れぞれ20作品のロングリストが発表されている。受賞作品の発表と授賞式は6月18日
の予定。
 本号では、ショートリストに選ばれた作品をご紹介する。ロングリストは、やまね
こ翻訳クラブウェブサイトの「速報(海外児童文学賞)」コーナーに掲載中。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?cmd=tre;id=award#atop

▼カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞公式ウェブサイト
http://www.carnegiegreenaway.org.uk/home/

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について
               (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku

▽カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト
                        (やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/index.htm

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【カーネギー賞ショートリスト】
          ~ The CILIP Carnegie Medal 2018 Shortlist ~(作家対象)

"Wed Wabbit"             by Lissa Evans (David Fickling Books)
"After the Fire"           by Will Hill (Usborne Publishing)
"Where the World Ends"        by Geraldine McCaughrean
                            (Usborne Publishing)
"Rook"                by Anthony McGowan (Barrington Stoke)
"Release"              by Patrick Ness (Walker Books)
"Saint Death"            by Marcus Sedgwick
                          (Orion Children's Books)
"The Hate U Give"          by Angie Thomas (Walker Books)
"Beyond the Bright Sea"       by Lauren Wolk (Corgi Childrens)

 2012年に児童書デビュー作でショートリスト入りを果たした Lissa Evans は、
"Wed Wabbit" で、2度目のショートリスト入り。妹のお気に入りの絵本に閉じ込め
られてしまった、しっかり者の少女 Fidge。独裁者に支配された奇妙な世界を抜け出
して現実に帰るため、そして妹の命を救うため、個性豊かな仲間とともになぞを解い
てゆく。ユーモアと皮肉にあふれた冒険物語。2017年コスタ賞児童書部門ショートリ
スト作品。

 Will Hill は "After the Fire" で初めてのショートリスト入り。1993年アメリカ
テキサス州ウェーコで、宗教団体への強制捜査から銃撃戦になり、突然の出火で信者
80人が死亡した。この事件に着想を得て、本書は執筆されたという。教団の生き残り
である少女を語り手に据え、罪悪感に苦しみながら悲劇と向き合い、これまで信じて
きた世界を疑う姿を描いたサイコスリラー。

 Geraldine McCaughrean は "A Pack of Lies"(『不思議を売る男』金原瑞人訳/
偕成社)で本賞を受賞しており、今回選ばれれば2度目の受賞となる。"Where the
World Ends" は、成人男性3人と少年9人のサバイバルストーリー。スコットランド
のヒルタ島沖には、「スタック」と呼ばれる、海にそびえ立つ断崖絶壁の巨岩がある。
そこに鳥猟に出かけた一行だったが、予定の3週間が過ぎても迎えの船が来なくて…
…。1727年に実際に起こった出来事を元にしている。

 大人向けのスリラー小説から児童書まで、幅広く活躍している Anthony McGowan。
"Rook" は、脳に障害を持つ兄の Kenny と、兄の面倒を見る弟 Nicky を主人公にし
たシリーズの3作目。兄弟は瀕死のミヤマガラスを保護する。ミヤマガラスの命をな
んとか助けようとする Kenny とは対照的に、Nicky は別のことで頭がいっぱいだっ
た。学校のいじめっ子や、初めての恋――。兄弟の日々と、その成長に伴う痛みを描
いた作品。

 これまでに "Monsters of Men"(『人という怪物』金原瑞人・樋渡正人訳/東京創
元社)、"A Monster Calls"(『怪物はささやく』シヴォーン・ダウド原案/ジム・
ケイ絵/池田真紀子訳/あすなろ書房)で本賞を2度受賞している Patrick Ness。
今回、史上初の3度目の受賞が期待される。"Release" の主人公は、17歳のゲイの少
年 Adam。父親が聖職者という信仰心の篤い家庭で育った少年は、完璧な兄をお手本
にし、恋人との仲を隠して息詰まる毎日を過ごしていた。そんな彼の人生を変える1
日となる、ある土曜日を描く。作者自身の経験を色濃く反映したという、大人への成
長物語。

 2000年のデビュー以来数々の賞を受賞し、本賞のショートリスト入りを何度も果た
してきた Marcus Sedgwick。"Saint Death" は、アメリカとの国境付近に位置するメ
キシコの貧しい地域を舞台にしている。Arturo のもとに、しばらく音信不通だった
友人 Faustino が突然やってきた。Faustino はギャングの一員となっており、36時
間以内に大金を用意しなくてはならないという。さもないと――。貧困、ドラッグ、
密入国、ギャングの抗争という、厳しい現実を織り込んだスリラー小説。

 アメリカの作家 Lauren Wolk は昨年に引き続いてのショートリスト入り。"Beyond
the Bright Sea" は、1920年代までハンセン病療養所として使われていたマサチュー
セッツ州ペニキース島を取り上げた歴史フィクション。新生児のときに小舟で漂って
いるところを、育て親の Osh に助けられた12歳の少女 Crow。海の向こうの無人島に
見た炎をきっかけに、自分の出生の秘密を追いはじめる。2018年スコット・オデール
賞受賞作品。

 Angie Thomas の "The Hate U Give"(『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれ
た憎しみ』服部理佳訳/岩崎書店)は、2018年プリンツ賞オナー、2018年コレッタ・
スコット・キング賞作家部門オナーに選ばれ、2017年ボストングローブ・ホーンブッ
ク賞フィクションと詩部門を受賞するなど、高く評価されている。内容については、
本誌2018年2月号外「2018年プリンツ賞」の紹介記事(以下のリンク)を参照いただ
きたい。
▽本誌バックナンバー(2018年2月号外)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2018/02g.htm#sokuho1

《参考》
▼Lissa Evans 公式ウェブサイト
http://lissaevans.com/

▼Will Hill 公式ウェブサイト
http://www.willhillauthor.com/

▼Geraldine McCaughrean 公式ウェブサイト
https://www.geraldinemccaughrean.co.uk/

▼Anthony McGowan 公式ウェブサイト
http://anthonymcgowan.com/anewsite/

▼Patrick Ness 公式ウェブサイト
http://patrickness.com/

▼Marcus Sedgwick 公式ウェブサイト
http://www.marcussedgwick.com/

▼Angie Thomas 公式ウェブサイト
http://angiethomas.com/

▼Lauren Wolk 公式ウェブサイト
http://www.laurenwolk.com/

▽パトリック・ネス作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/n/pness.htm

                                (森井理沙)

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【ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト】
       ~ The CILIP Kate Greenaway Medal 2018 Shortlist ~(画家対象)

"King of the Sky"         by Laura Carlin, text by Nicola Davies
                               (Walker Books)
"Night Shift"           by Debi Gliori (Hot Key Books)
"A First Book of Animals"     by Petr Horacek, text by Nicola Davies
                               (Walker Books)
"The Song from Somewhere Else"   by Levi Pinfold, text by A. F. Harrold
                        (Bloomsbury Children's Books)
"Town Is by the Sea"        by Sydney Smith, text by Joanne Schwartz
                               (Walker Books)
"Thornhill"            by Pam Smy (David Fickling Books)
"Under the Same Sky"        by Britta Teckentrup (Caterpillar Books)

【特殊文字】
「Petr Horacek」:「Horacek」の「a」の上に(´)が、「c」の上に(v)がつく

 "King of the Sky"(『空の王さま』さくまゆみこ訳/BL出版)は、イタリアか
ら越してきた少年がハトの訓練を通して自分の居場所を見いだすストーリー。Laura
Carlin の温かい絵が、隣に住むおじいさんとの交流、少年の心がほぐれるさまを静
かに描き出す。作家 Nicola Davies との共作は2015年ショートリスト作品 "The
Promise"(『やくそく』さくまゆみこ訳/BL出版)に次ぐもので、2作ともにニュ
ーヨークタイムズ・ベストイラスト賞を受賞している。

「クマとうさん」シリーズ(山口文生訳/評論社)をはじめ、日本でも多くの作品が
紹介されているスコットランドの絵本作家 Debi Gliori。本賞3度目のショートリス
ト入りとなった "Night Shift" では、自らの体験をもとに「鬱」を真正面から描い
た。黒い霧のようにじわじわと人を襲う憂鬱は、ドラゴンの形で表現される。モノク
ロの画面とシンプルな言葉の構成が切実さを際立たせる作品だ。

 "A First Book of Animals" は、動物を歌った Nicola Davies の詩に、チェコ出
身の Petr Horacek が緻密なイラストで応えた美しい絵本。「大きい/小さい」など
のテーマごとに登場する動物は50種類を超え、画面いっぱいに鮮やかな色彩で描かれ
る。幼い子どもから楽しめる本書は、1作ごとに異なるイラストレーターが担当する
"First Book" シリーズの2作目。2012年にも "Puffin Peter" にて本賞ショートリ
ストに挙がった実力者 Horacek が存分に腕をふるう大作だ。

 "The Song from Somewhere Else" は、詩人 A. F. Harrold による読み物。主人公
の少女 Frank をいじめっ子から助けてくれた少年 Nick には、秘密があった。ふた
りの友情を軸とした物語は、異世界との垣根を越えて不穏に展開していく。ふんだん
に用いられる白黒の挿絵は、"Black Dog"(『ブラック・ドッグ』片岡しのぶ訳/光
村教育図書)で2013年の本賞に輝いた Levi Pinfold によるもの。細かに描き込まれ
た情景が、読者の不安感をかき立てる。

 "Thornhill" は、線描を駆使したモノトーンの絵で、ある孤児院を舞台に時空を超
えたパラレルワールドを描いたグラフィックノベル。ミステリアスな絵が、多くを物
語る作品だ。作者の Pam Smy は主にイラストレーターとして活躍しており、2001年
にケンブリッジ美術学校で絵を学び始め、以降、精巧な描写力や、深い洞察力が光る
作品を発表している。邦訳では、挿絵を担当した『十三番目の子』(シヴォーン・ダ
ウド作/池田真紀子訳/小学館)がある。

 "Under the Same Sky"(『おなじそらのしたで』木坂涼訳/ひさかたチャイルド)
は表紙を含めた全ページに切り抜きを用いた仕掛け絵本。地球に暮らす生き物たちが
見上げる空はひとつ。Britta Teckentrup は画面を切り抜くことで、月明かりの夜空
から晴れ渡る青空を途切れることなくつなげ、同じ空の下で共に生きる素晴らしさを
描いた。ドイツのハンブルクに生まれ、英国で絵を学び、現在、ベルリンで家族と暮
らす。これまでに描いた作品は80冊を超え、20か国以上で翻訳されている。

 文字なし絵本 "Footpath Flowers"(『おはなをあげる』ジョナルノ・ローソン作
/ポプラ社)で2016年のショートリストに挙がった、カナダの Sydney Smith。今年
は "Town Is by the Sea"(『うみべのまちで』ジョアン・シュウォーツ文/岩城義
人訳/BL出版)でショートリスト入りとなった。作品の詳細は、本誌2017年12月号
「特集:第20回やまねこ賞」(以下のリンク)の絵本部門第5位紹介記事をご覧いた
だきたい。
▽本誌バックナンバー(2017年12月号)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2017/12.htm#tokushu

《参考》
▼Laura Carlin 公式ウェブサイト
http://www.lauracarlin.com/

▼Debi Gliori 公式ウェブサイト
http://www.debiglioribooks.com/

▼Petr Horacek 公式ウェブサイト
http://petrhoracek.co.uk/

▼Levi Pinfold 公式ウェブサイト
http://www.levipinfold.com/

▼Sydney Smith 公式ウェブサイト
https://www.sydneydraws.ca/

▼Pam Smy 公式ブログ
http://pamsmy.blogspot.jp/

▼"Thornhill" 作品公式ウェブサイト
http://thornhillbook.com/

▼Britta Teckentrup 公式ウェブサイト
http://www.brittateckentrup.com/

                           (小島明子/三好美香)

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●賞速報●
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★2018年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞発表
★2018年ドイツ児童文学賞ノミネート作品発表
★第23回日本絵本賞発表
★2018年CBI最優秀児童図書賞(旧ビスト最優秀児童図書賞)ショートリスト発表
                     (受賞作品の発表は5月23日の予定)
★2018年エズラ・ジャック・キーツ賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報●
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★展示会情報
 軽井沢絵本の森美術館「シンデレラ&プリンセス絵本展」
 東京都庭園美術館「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」 など

★講演会情報
 クレヨンハウス「落合恵子さん講演会」
 日本出版クラブ会館「こだまともこ氏講座『こどもの本の訳し方』」 など

★イベント情報
 上野公園「上野の森 親子ブックフェスタ2018」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                          (山本真奈美/冬木恵子)

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●お菓子の旅●第69回 チェコの復活祭に欠かせない ~マザネツ~
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Dala jim kazdemu hrnecek mleka a kus mazance a pejsek s kocickou sli
spokojene domu.
                       "Povidani o pejskovi a kocicce"
                            by Josef Capek (1929)
                               Albatros (2003)
             『こいぬとこねこのおかしな話』
             ヨゼフ・チャペック作/木村有子訳/岩波書店/2017年
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 復活祭の日曜日、こいぬのズボンが破けてしまいました(そう、あれはズボンだっ
たのです……)。こいぬとこねこは仕立屋さんのところへ行き、ズボンをつくろって
もらう代わりにネズミをたくさん捕まえます。ごほうびにミルクとマザネツをもらっ
て、うれしそうに家に帰っていくのが引用部分です。
 マザネツはチェコで復活祭に食べる甘いパンのこと。本コーナー第27回で取り上げ
たホットクロスバンのチェコ版といったところでしょうか。ドライフルーツが入って
いて、十字に切り込みを入れて焼き上げるところは同じですが、アイシングはかけま
せん。カラフルに色づけされたヴェリコノチュニー・クラスリツェ(復活祭の卵)を
棒に刺して、マザネツに立てて飾ることもあるようです。16世紀にはすでに作られて
いて、砂糖が貴重だった時代、貧しい家庭では砂糖なしで作ることもあったとか。キ
リスト教徒にとって復活祭は春を迎えるための重要なお祭りで、チェコの復活祭にマ
ザネツは欠かせません。
 バニラシュガーで香りをつけるのが一般的ですが、日本では手に入りにくいため、
バニラオイルで代用しました。

*-* マザネツの作り方 *-*

材料(7人分)
 強力粉       400g   バター     100g
 ドライイースト    5g   卵黄      3個
 グラニュー糖     75g   食塩      少々
 バニラオイル    少々   レーズン     50g
 牛乳        200ml   ラム酒   大さじ1/2
 アーモンドスライス  50g(飾り用に一部取り分けておく)
〈ドリール〉
 卵黄        1個   水     大さじ1

1.レーズンはラム酒に1日以上つける。バターは冷蔵庫から出してやわらかくして
  おく。
2.牛乳を40度程度に温め、グラニュー糖の1/3を入れてかき混ぜ、溶けたらドライ
  イーストを加えてさらにかき混ぜる。10~20分放置し、表面に泡が立ったら予備
  発酵完了。
3.別のボウルに強力粉を入れ、残りのグラニュー糖、食塩、卵黄3個分、バター、
  バニラオイル、レーズン、アーモンドスライスを入れてよく混ぜ合わせる。2を
  加えてさらに混ぜる。ボウルに生地がつかなくなったら、強力粉(分量外)をぬ
  った台にのせ、200回以上たたきつけて、なめらかになるまでよくこねる。
4.外から中へたたむように生地を丸め、合わせ目を下にしてボウルに戻し、ラップ
  をかけて40度のオーブン(予熱なし)に1時間入れる。オーブンから取り出し、
  生地の真ん中に指を入れ、くぼんだあとがそのまま残れば、一次発酵完了。
5.生地をげんこつで軽くたたいてつぶし、外から中にたたむように再び丸め、ガス
  抜きをする。固く絞ったぬれ布巾をかけて、10分間休ませる。
6.天板にクッキングシートを敷いて真ん中に生地を置き、生地とオーブンに霧を吹
  いてから、40度のオーブン(予熱なし)に25分入れ、二次発酵させる。
7.二次発酵が終わった生地の真ん中にナイフで十字に切り込みを入れる。卵黄を水
  でのばしてドリールを作り、はけで全体にぬる。残りのアーモンドスライスを散
  りばめ、170度に予熱したオーブンで30分焼く。

★参考図書・ウェブサイト
Mazanec - historie a vychytavky
https://www.pecenevarene.cz/mazanec-historie-a-vychytavky/detail/1690/
大使館の食卓
http://www.bsfuji.tv/embassy/
『チェコの十二カ月 おとぎの国に暮らす』(出久根育著・絵/理論社)
お菓子の旅 第27回「春の訪れを祝うイースターのお菓子 ~ホットクロスバン~」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2004/04a.htm#okashi

お菓子の話題は喫茶室掲示板へどうぞ。
★「やまねこ翻訳クラブ喫茶室掲示板」
        http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa

※一部表記できない文字をほかの文字で代用しています。

                        (赤塚きょう子/加賀田睦美)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
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※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
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集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm

 本号の html 版を4月18日に公開予定です。以下の URL よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/mgzn/bncorner.htm#html

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           ・☆・~ 次 号 予 告 ~・☆・

 詳細は10日頃、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに掲
載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ( yagisan@yamaneko.org )までお気軽にご相談ください。

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 独創的なデザインで世界120ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーのひとつと考え、カジュアルでポップなライン
からフォーマルなシーンにも使えるアイテムまで、年間300種類以上のモデルを発売
し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグや革小物な
どのラインを展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.com/     (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社

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 ※各掲示板の話題やクラブの動きなど、HOTな情報をご紹介しています。

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●編集後記●例年より早い桜の便りが届く頃、2018年国際アンデルセン賞が発表され、
日本の作家、角野栄子氏の受賞に編集部も大いに沸きました。本誌でお伝えでき大変
うれしく思っています。心よりお祝い申し上げます。編集部は、来月はお休みをいた
だき、英気を養い、6月号の準備に入ります。次号もどうぞお楽しみに。(み)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 三好美香/平野麻紗(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 牛原眞弓 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ
    蒲池由佳 小島明子 冬木恵子 森井理沙 山本真奈美
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    くらら コアラン ながさわくにお
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