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不定期
最終発行日
2017年09月24日
 
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153部
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行政・政治・地域情報 > 地域の情報 > その他

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  【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】


【J】 2017年9月24日国民投票
   1) 食糧安全保障連邦令
   2) 消費税引き上げによる国民年金追加資金調達連邦令
   3) 国民年金改革2020連邦法

                      明子 ヒューリマン

【E】 The Popular Vote on September 24, 2017
   1) "Food Security by Federal Decree"
   2) "Additional Funding of National Pension Fund by raising
  Consumption Tax by Federal Decree"
   3) "National Pension Reform 2020 by Federal Law"

                      Akiko Huerlimann


□━━━━━━━━━━━━【 日本語 】━━━━━━━━━━━━━━□


   2017年9月24日国民投票
   1) 食糧安全保障連邦令
   2) 消費税引き上げによる国民年金追加資金調達連邦令
   3) 国民年金改革2020連邦法

                     明子 ヒューリマン


2017年4月12日、連邦評議会(連邦政府)が2017年9月24日に行う国民投票 *1)
を決定、食糧安全保障と国民年金改革案2議案計3議案について民意が問われ
ることになった。

1) 食糧安全保障連邦令:
撤回された国民発議「食の安全保障の為に」の対案として提起された議案で
、3議案の中では最も論争が静かだ。それもその筈で、全ての大政党、農業
団体、環境保護団体が賛成しており、労働組合と若干の政党が反対している
という構図による。食糧自給率を確保するという主張に殆ど異論は無い。し
かし新聞読者の意見にはやはり賛否両論があった。

年々人口が増え続ける中、耕作地や水源が減少し、気候変動が更に不安定要
素をもたらす。しかし新憲法条項には、他の国に依存するのではなく、基本
理念は例えば「持続可能」と明文化されているので、賛成すべきという意見
がある。一方反対意見には、元の発議案である、国内食料生産振興とは異な
り、対案には食料の輸入自由化が謳われている。ヨハン・シュナイダー=ア
マン経済相はFDPの代表団への演説で、「憲法上の条項が農業物の市場開放
の前提条件を作り出した事を再確認した。」と述べている点を指摘して警戒
感を示している。

報道によると、スイスの食糧自給率は60%と「皿の半分」程度しか賄えてい
ないし、完全自給は出来ないと報じられている。 [追記: 日本の食糧自給
率は40%程度] 今回の議案は、農業団体が「食料安全保障の為に」の国民発
議を撤回し、その対案として提案された。発議した農業団体が賛成している
事から、国内の農産物が確保され、耕作地を維持し、環境に負荷をかけない
農業が保障されると見られている。「議案は予想よりも多くの中身が盛り込
まれており、市場の開放で新しいチャンスがもたらされる。」とヨハン・シ
ュナイダー=アマン経済相は2017年8月26日付TA紙に寄稿して、世論の説得
に努めた。

然し、2017年9月19日付TA紙の報道は、議案に反対勢力は無いが、注意を喚
起する内容が報じられた。「種苗・肥料を含めた食料生産から販売に至るま
での過程で環境保護に資する対策を確実に求める」と明記されている議案を
見ると、農家の負担は確実に増えるものと考えられる。そもそも国内の農業
生産を守る為の議案だったが、農家の負担が増える恐れが懸念される。

年金改革の議案は二つ。

2. 「消費税引き上げによる国民年金追加資金調達連邦令」と3. 「国民年金
改革2020連邦法」で、概要は次の通り。

「国民年金(AHV)」は2018年から0.3%「障害者年金(IV)」から注入される。
2021年からは消費税の標準税率を0.3%引き上げて8.3%とし、ここから年間20
億スイスフランの資金を得る。徐々に女性の年金受給年齢を65歳に引き上げ
て、企業年金の転換率6.8%を6%へ引き下げて対策の一部とする。これによっ
て、現在の少なくとも45歳以上には年金を保証する。又将来年金を70フラン
増額、夫婦の受給額も引き上げられる。二つの議案が揃って承認される事が
望まれている。改革の背景には「国民年金AHVが2015年から赤字になり、人
の移動の自由 *2) の協定がなかったら2009年から既にそうした事態になっ
ていた」という連邦政府経済事務局(SECO) *3) の調査が示すように、財源
への将来不安がある。

投票日がじわじわと迫る2017年9月2日、TA紙の編集長2人による説得力ある
賛否両論が掲載された。*4) 賛成のアルトゥール・ルーティスハウザー氏は
次の3点に争点を絞って改革の必要性を説いた。1.AHVは月額70スイスフラ
ン増額される。2) 女性の年金受給年齢は64歳から65歳に引き上げられる。
3) 企業年金の転換率を6.8%から6%に引き下げる。

反対のアルミン・ミュラー氏の解説は詳細に亘った。今回の改革は年金水準
の確保、国民年金の均衡と年金の資金状況を改善するもので、現在の年金受
給者と1973年以前に生まれた移行世代の年金水準は維持される。その財源負
担は若い世代に負わせる。彼等は年金を受給するまでに、自分達の受け取る
年金の何倍も負担することになる。AHV基金のバランスを取るという目標が
欠けている。月額70スイスフランの分配は、低収入の人々には全く不十分で
、高収入の人々には取るに足らない額だ。今回の改革案は年金基金と税金の
増額に限られており、根本的な改革にはなっていない。

SP国民議会議員で元連邦消費物価監視人のルトルフ・シュトゥラーム氏は年
金年齢引上げには反対で、妥協は新たな解決策無しよりはましと言う。改革
を実効あるものにするには、両議案が共に承認される必要があり、今回の改
革案はこれで終わりにはならないとも述べた。

消費者保護の雑誌「K-Tipp」の編集長が今回の年金制度改革に反対ののろし
を上げた。これについて連邦社会保障制度の責任者が危険な議論だとの批判
を新聞に投稿した。しかし同誌の最新号は更に、「老齢年金は充分な基金が
あるので無用な危機を煽るものではない」と報じた。FDP(自由民主党)の
ペトラ・ゴッシ党首は在外スイス人の年金受給額削減を提唱して、強い反論
を受けた。新聞の読者投稿欄には、「賛成、、反対、全く分からない」とい
う国民夫々の正直な感想が寄せられている。

3議案とも、連邦評議会並びに連邦議会は国民に承認を推奨している。公共
放送SRGの世論調査によると、「食糧安全保障連邦令」は70%が賛成という傾
向だが、「老齢年金改革案2020」は8月初めに実施された1回目の調査より反
対が51%に増え、形勢は一進一退だ。*5) 調査会社"gfs.bern" *6) の共同
代表ルーカス・ゴルダー氏は、「複雑な議案であり、多くのカントンで趨勢
は未だ不明。中道派がキャスティングボードを握っている。女性の年金受給
年齢の引き上げは単独では判断出来ない」と解説している。個人的に今回の
年金改革2議案は、不器用な印象を受ける。


【 参照 】

*1) 2017年9月24日国民投票議案:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-66373.html
*2) "Citizens' Rights Directive" (bilateral agreement on free
movement with the EU):
https://en.wikipedia.org/wiki/Citizens%E2%80%99_Rights_Directive
*3) SECO連邦政府経済事務局/ State Secretariat for Economic Affairs:
https://www.seco.admin.ch/seco/en/home.html
*4) 国民年金改革案を承認すべきか?/Soll man die AHV-Reform annehmen?
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/standard/soll-man-die-ahvreform-annehmen/story/27425405
*5) スイス公共放送世論調査: 年金改革2020 - 結果は不透明:
http://www.srf.ch/news/schweiz/abstimmungen/abstimmungen/rentenreform/altersreform-2020-es-wird-denkbar-knapp
*6) 調査会社gfs.bern:
http://www.gfsbern.ch/de-ch/Das-Institut/Team/lukas-golder


【 編集後記 】

年金問題は国民にとって最大の政治的関心事と言えよう。スイスでは「AHV
番号」* が住民1人1人に与えられ、担当の社会保険事務所は職種別になっ
ている。スイスの国民年金制度は被保険者に対して、担当の社会保険事務所
に自分と雇用者が払い込んだ年金の口座履歴を請求できる機会を与えている
。個人はこの口座履歴を時折閲覧して、記載漏れが無いか、雇用者が年金を
当該社会保険事務所に確実に送金しているか確認する事が出来る。優れた制
度で大きな事故はこれまで報告されていない。若い頃年金の事等全く念頭に
無かった我が身を恥じ入る次第。家庭を持って初めてその重要性に気付かさ
れた。長い老後を支えてくれる命綱だったのだ。
* AHV/IV (Alters und Hinterlassenen Versicherung/Invaliden
Versicherung):
https://www.bfs.admin.ch/bfs/de/home/register/personenregister/registerharmonisierung/minimaler-inhalt-einwohnerregister/ahv-versichertennummer.html


□━━━━━━━━━━━━【 English 】━━━━━━━━━━━━━□


   The Popular Vote on September 24, 2017
   1) "Food Security by Federal Decree"
   2) "Additional Funding of National Pension Fund by raising
  Consumption Tax by Federal Decree"
   3) "National Pension Reform 2020 by Federal Law"

                    Akiko Huerlimann


The Federal Government (Bundesrat) decided on April 12, 2017 to hold
a Popular Vote *1) on September 24, 2017. On that date, the Swiss
voters will be questioned about a total of three proposals, the Food
Security Decree and two issues about a National Pension Reform Plan.

1) "Food Security by Federal Decree":
The bill is a counter proposal for the withdrawn citizen's
initiative "For Food Security"; it has created the most quiet debate
among three bills. The reason for it is, that all major political
parties, agricultural organizations, and environment protection
groups agree on it. Only labor unions and some political parties
oppose it. There is almost no objection to the assertion of securing
Food Self-Sufficiency. But, the opinion of newspaper readers have
still controversial arguments.

As the population continues to increase year by year, cultivated
land and water resources decrease, climate change brings further
unstable factors. However, the new constitutional clause does not
rely on other countries, but the basic idea is clearly stated as
"sustainable", therefore, there is the opinion that we should agree
on it. On the other hand, as opposed to the original proposal, which
is different from the promotion of domestic food production, the
bill suggests a liberalization of food imports too. The initiative
committee emphasized a cautionary feeling to Mr. Johann Schneider-
Ammann, the Minister of Economic Affairs, who indicated in a speech
to the delegations of the Free Democratic Party of Switzerland
(FDP), "I reconfirm that the constitutional provision creates the
prerequisite for opening up the market for agricultural products."

According to the media, the food sufficiency-rate of Switzerland is
only 60%, only "half of the dish" can be covered, and full self-
sufficiency is not possible. [PS: The food sufficiency rate of Japan
is just about 40%.] The bill of this time was proposed as counter-
proposal for the withdrawn popular initiative "For Food Security"
launched by agricultural groups. As agricultural organizations
agreed on it, it is understood that based on the bill, domestic
agricultural products are secured, farmland is maintained, and an
agriculture that does not stress the environment is guaranteed. Mr.
Johann Schneider-Ammann, Minister of Economic Affairs posted on
Tages-Anzeiger dated August 26, 2017 an article, trying to convince
the public with the words "The bill contains more content than
expected and new opportunities are brought by opening up the
market."

However, Tages-Anzeiger dated September 19, 2017 reported that there
is no opposition to the bill, but there is content to call
attention. Looking at the proposal, which is clearly stipulating
"the measures are surely sought to contribute to environmental
protection in the process of Food Production, including sowing and
fertilizing, up to sales", it can be considered that the burden on
farmers will surely increase. Originally, the bill was thought to
protect domestic agricultural production, but the increasing burden
on farmers causes concerns now too.

The bills about Pension Reform are two.

2. "Federal Government ordinance to increase National Pension by
rising the consumption tax (VAT)" and 3. "National Pension Reform
2020 by Federal Law". The outline is as follows:

The "National Pension (AHV)" will be injected by a funding 0.3%,
which comes from the "Disability Insurance (IV)" as from 2018. The
standard tax rate of the consumption tax (VAT) will be increased
by 0.3% to 8.3% as from 2021. From that, a fund of CHF 2 billion
shall be obtained annually. Also a gradual increase of the female
pension age up to 65 years old, and a lower conversion rate of the
corporate pension from 6.8% down to 6% are part of the provisions.
By taking this measures, the pension level shall be guaranteed at
least for people at the age of 45 at present. Also, the new
pensions shall be increased by CHF 70 per month in the future, and
the amount for couple's shall be raised too. It's hoped that the
two bills will be approved together. In the background of the
reform, there is the future concern about the financial resources,
as a survey by the Federal Government (Seco) *2) showed. The
"National Pension (AHV) has been in deficit from 2015, without the
agreement of the free movement of persons (EU), *3) such a situation
had already happened from 2009".

On September 2, 2017, when the voting day gradually approaches, a
persuasive pros and cons debate by two chief editor of Tages-
Anzeiger was posted. *4) Mr. Arthur Rutishauser who agreed with the
bill, focused on the following three points and preaching necessity
of the reforms. 1) AHV shall be increase by CHF 70 per month. 2)
Women's AHV-pension age shall be elevated from 64 years to 65 years.
3) Conversion rate of the corporate pension shall be reduced from
6.8% down to 6%.

Dissentient Mr. Armin Mueller's explanation goes into details. The
Reform of this time is to maintain the national pension level, and
to improve the equilibrium of the national pension scheme and the
funding situation of pensions; the pension level of the current
pension recipients and the transition Generation born before 1973
shall be maintained. However, the younger Generation has to owe the
financial burden. They will have to finance a multiple of their own
pension until retirement. The goal of balancing the AHV-budget is
missing. The distribution of CHF 70 per month is totally inadequate
for low-income people, and an inconsequential amount for high-income
people. This Reform plan is limited only to increasing pension funds
and consumption tax (VAT) and is not a fundamental reform.

Mr. Rudolf Strahm, a former "Federal Consumer Price Watcher" and
National Parliament Member of the SP-party, is opposed to rise the
pension age, and says a compromise is better than no new solution.
He also said, in order to make the reform effective, both bills need
to be approved together, and this Reform plan is not the final one.

The chief editor of the consumer protection magazine "K-Tipp" sent
out a signal against the pension reform. The head of the Federal
Social Security System posted criticism about this on the newspaper
saying, this is a dangerous debate. However, the latest issue of
the magazine reported further, the "Old age pension system has
sufficient funds, therefore an unnecessary crisis should not be
inflated." Mrs. Petra Goessi, Party President of the FDP (Liberal
Democratic Party), advocated a deduction in the pension benefits of
Overseas-Swiss, then she received strong opposition. Readers
submission column in the newspaper, showed honest feelings of
citizens "I agree or oppose, and I don't know at all".

The Swiss Federal Council (Bundesrat) and the Chambers of Parliament
recommend the three bills for approval to the people. According to a
public opinion survey by the public TV/Radio broadcasting company
SRG, the voters tendency of the "Food Security by Federal Decree"
showed an approval of 70%, however, the opposition to the "Old age
pension reform plan 2020" has increased to 51%, more than the first
survey, conducted in early August, the views are seesawing. *5) Mr.
Lukas Golder, Co-Chairperson of the Research Company "gfs.bern" *6)
explained, "It's a complicated bill, the trend is still unknown in
many Cantons. Centrist political parties have the casting board. We
cannot judge the raising age of pension for women alone".
Personally, I got a clumsy impression about the two pension reform
bills of this time.


[ Reference ]

*1) Bill for popular voting on September 24, 2017:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-66373.html
*2) State Secretariat for Economic Affairs (SECO):
https://www.seco.admin.ch/seco/en/home.html
*3) "Citizens' Rights Directive"
(bilateral agreement on free movement with the EU):
https://en.wikipedia.org/wiki/Citizens%E2%80%99_Rights_Directive
*4) Soll man die AHV-Reform annehmen? (Should the AHV reform be accepted?):
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/standard/soll-man-die-ahvreform-annehmen/story/27425405
*5) SRG-Survey "Old age pension 2020 - the vote will be tight.":
http://www.srf.ch/news/schweiz/abstimmungen/abstimmungen/rentenreform/altersreform-2020-es-wird-denkbar-knapp
*6) Research company "gfs.bern": http://www.gfsbern.ch/en-us/Home


【Editor's Comment】

The Pension matter is the greatest political concern for the people.
In Switzerland, the "AHV number" * is given to each resident and the
compensation office (AHV-Ausgleichskasse) is based on the relevant
job category. The Swiss AHV-System provides the possibility, that
the insured person can ask to the compensation office an individual
account statement (IK), indicating the contributed AHV-premiums paid
by employee and employer. Based on the account statement (IK), the
individual person can check from time to time, whether there is no
payment gap and if the employer has remitted all contributions to
the relevant compensation office. It is an excellent system, and no
major fault has ever been reported so far. I am ashamed of myself
that when I was young, I was not concerned about the Pension System
at all. I noticed the importance of it for the first time, when I
had my own family. It is a lifeline that supports our long old age.
* AHV/IV (Old-age and survivor's insurance (OASI))/
Disability Insurance (DI):
https://www.zas.admin.ch/zas/en/home.html

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