クラン・コラ:アイルランド音楽の森

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メルマガ名
クラン・コラ:アイルランド音楽の森
発行周期
ほぼ月2回刊
最終発行日
2018年01月20日
 
発行部数
315部
メルマガID
0000063978
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
エンターテイメント > 音楽 > 洋楽

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    クラン・コラ Cran Coille:ケルト・北欧音楽の森
     
__________________________________________________________________________
Editor : hatao      January 2018  Issue No.262
ケルトの笛屋さん発行   http://www.celtnofue.com/
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 クラン・コラは月に2回、ケルト音楽、北欧音楽に関する話題をお届けする
国内でたったひとつのメールマガジンです。10日はライブ情報号として全国の
ライブスケジュールを配信、20日は読みもの号として各ライターからの寄稿文
をお届けします。
 この音楽にご興味のある方ならどなたでも寄稿できますので、お気軽にお問
い合わせください。


               CONTENTS

(1)勇気その2 field 洲崎一彦

(2)Colleen Raney――アメリカで伝統をうたう試み・その6 おおしま ゆたか

(3)第1回 アイルランド組曲・スコットランド組曲 吉山 雄貴

(4)ざっくり学ぶケルトの国の歴史(8)ゲール文化の天敵現る 上岡 淳平

(5)編集後記


■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 勇気その2

■            field 洲崎一彦
■──────────────────────────────────

 今回は2018年最初のクランコラ読み物編記事ですね。今年もよろしくお願い
いたします。

 さて、前回は勇気の話で終わりましたね。でもしかし、これも誤解が多い表現
だったかもしれません。人前で演奏するからと言って、びびって直前までちまち
ま練習するなんてそういう臆病な精神がダメなのであって、勇気を持ってがっ
つーん!と一発かましてやれ!とか、人前でびびってしまうぐらいなら勇気を出
して乱暴に振る舞う方がいい、とか、そんな事を言ってるのではありません。決
してありません。

 前回は、例えばアメリカの人などに見られる他者に対する距離感というかイ
メージの違いを例に取ってお話をしましたが、そこはやはり文化なんですね。ノ
ウハウでこうしたらこうなるというものでは無いと思うんです。でも、そういう
部分が音楽をやるとか楽器を弾くという作業にメンタルな部分で非常に大きな何
かとして関わってくるのではないかというお話なのです。
 昨今、海外では日本の文化というのは非常に独自性が高いのではないかという
論調が増えています。そのには良い部分も悪い部分もあるのでしょうが、ここで
は良い悪いは置いておきます。少なくとも西洋とは違うという現実はやはりある
のだと思います。それが、アメリカ人の初心者さんがセッションに入ってきて何
にも臆さずに堂々とギコギコフィドルを弾ききってしまうあの雰囲気なのではな
いかと思ったのです。

 場合によれば、何て無神経な奴なんだ!とまわりが閉口してしまう事もあるか
もしれません。でも、無神経だと思うのはこちらの日本的文化というか習慣を軸
に見ているわけで、彼らは彼らの方法でちゃんとまわりの人間をリスペクトして
いるのではないでしょうか。そして、そういう文化ではぐくまれた西洋の音楽を
私達もやろうとしているわけです。私達の方法でその表面だけをなぞっているこ
とでその楽しさを充分に満喫することができるのかできないのか。

 これは、西洋音楽をやるのならその文化を理解しなければやる資格はない!と
いうような角度の話をしているのではないのですよ。ここが、一番誤解の多い所
ですね。

 そうではなくて、自分はこれでどこまで楽しんでやろうか、というような楽し
む事に対する欲みたいな、そんな方向の話だと思って欲しいのです。例えば、と
ある楽器の技術がどうしてもするっと出来ない。フィドルで言えば、例えばロー
ルという左手の技法ができない。じゃあ自分にはリールを演奏することができな
い。こんなんじゃセッションに入れない。みたいな発想ばかりしてると楽しめな
いじゃん?というような軽いニュアンスのことが言いたいのです。


 上記のような発想の雰囲気は多分に日本人的なマジメさというか硬直性という
か、そういう所から来ているのではないかと私は考えたのです。では、この発想
を転換するにはいったいどうしたらいいのか、という部分で、難しい事は考えず
に、ただ勇気があればいいのではないか。と、まあこのように考えたというわけ
なのです。

 先日、昔のウチのスタッフが15年ぶりぐらいに顔を見せてくれたという出来事
がありました。そして、ちょうどその時店内ではセッションをしていた。彼は当
時も音楽をする人ではありませんが、すごいですね!まだセッションは続いてい
るのですね!と反応してくれました。そして、ずっとこうやって若い人たちがこ
このセッションに集うのですねと言いつつ、当時に比べると皆すごく上手ですよ
ね!と感激しきりです。
 が、でも、昔のセッションはもっとつたない感じがあったけど、何と言うか、
元気があったというか迫力がありましたよね。と一言。

 なるほどねと思ったものです。ウチでセッションをやり始めた頃というのは、
ああ、バイオリンのことはフィドルって言うんですか?とか、ロールっていう技
術があるみたいなんだけどどうやるのか知ってる人いる?とか、そんなやりとり
をしていました。ごくたまにアイルランド旅行に行った人が現地のパブでセッ
ションをやってたよとそれをカセットテープに録音して来たのを皆で回し聴きし
て、CDで聴くのとだいぶ雰囲気が違うなあとか、常にああでもないこうでもない
というような会話をしていたものです。ひとことで言えば、ぜんぜん知識がな
かったわけです。無知なんですから怖い物知らずで当たり前ですね。
 が、この怖い物知らずの状態というのは勢いだけはめちゃくちゃあるのです。
リールのテンポをどんどん揚げて行ってスピード競争なんかやったりしたもので
す。今のセッションでは考えられないような遊びもしてました。

 そんなの、本当のセッションではないよ、と言われればそれまでなのですが、
その頃の私達はそういうセッションがもの凄く楽しかったし、週2回もセッショ
ンしているのに待ち遠しくて仕方なかった。それは勢いだけはあって当然でし
た。

 そして、やがて、いろいろと情報が入ってきてモノの一旦を知ってしまった私
達は、言わば、怖い物を知ってしまって萎縮の方向に振れて行ったのではないか
という感じが今から思うとするのです。別にインターネットの普及だけがその原
因ではありません。当時は、繰り返し繰り返し本国の著名なミュージシャンも
やって来て、私達のセッションで、隣で普通に演奏するような場面も出現して来
るわけで、知識や情報というようなものではなくて直接ガツーン!と音でノック
アウトされる。

 別に、無知が良かったと言っているのではありませんよ。ここで萎縮の方向に
向かう一種のベクトルが生まれたというのが今となってはとても残念な空気を醸
し出してしまったのではないかと思うのです。
 怖いものを知ってしまった以上、それに萎縮しないで立ち向かうにはどうすれ
ばいいかですよね。これって、勇気を持つということしか考えつかない。
 と、まあ、そういうお話なのでした。

 エモーションと勇気シリーズ、ちょっと引っ張り過ぎましたね。(す)


■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ Colleen Raney――アメリカで伝統をうたう試み・その6

■          おおしま ゆたか
■──────────────────────────────────


 コリーン・レイニィのアルバムを聴く試みを続ける。3作めはギタリストの
Colm MacCa/rthaigh との共作名義だ。

 "cuan" はアイルランド語で小犬または仲間、一党、バンドを意味する。この
アルバムでは前2作から一転して、2人だけで、時にバゥロンが入るだけの、
シンプルな編成だ。それで「仲間、バンド」というのは、なかなか意味深なよう
でもある。

 コルム・マカーシィはシアトル在住のミュージシャンで、うたもよくし、ここ
でも3曲リード・ヴォーカルをとっている。いずれ劣らぬ優れた歌唱だが、今回
はあくまでもレイニィのうたを聴くので、マカーシィには悪いがそのトラックは
無視させていただく。なお、マカーシィは最近ソロ・アルバムを完成し、それは
レイニィがプロデュースして、参加もしている、と先日レイニィ本人が言ってい
た。やはりミニマルな編成の、とても素敵な出来というので期待しよう。

2011-09, CUAN
Colleen Raney & Colm MacCa/rthaigh

Colleen Raney - vocals
Colm MacCarthaigh - guitars, cittern, vocals
Matty Einion Sears - bodhr〓n

Tracks List
1. Belfast Mountains 04:32 Ireland
2. Lord Franklin* 04:30 England
3. The Flower of Magherally 03:54 Ireland
4. Bound for Caledonia 04:09 Scotland
5. Western Highway 03:41 Gerry O'Beirne
6. Fonn Mall Acla 03:18 Scotland
7. Night Visit 03:44 不明
8. Roger the Miller* 04:35 England
9. Mary and the Soldier 02:49 Ireland
10. Annachie Gordon 06:12 England
11. Lads of the Fair 03:03 Brian McNeill
12. Wild Mountain Thyme* 04:03 England

* lead vocals by Colm MacCarthaigh

 バゥロンの人の正体は不明。いずれ、シアトル周辺の人であろう。

 選曲は例によってアイルランド、スコットランド、イングランドの混成。
[07] はこのタイトルのうたはほとんど無数にあるので、どこのものか、今
一つ分明でない。あとで一応このタイトルで録音されているものと聴き比
べてみよう。

 やはりほとんどがトラディショナルと思われるが、[05]はアイルランドの
Gerry O'Beirne の、[11]はスコットランドの Brian McNeill の作。[05]の
本人による録音は《HALF MOON BAY》(1999) だが、モーラ・オコンネル
の歌唱の方が先で、また有名だろう。モーラのものは1987年のセカンドの
タイトルにもなっている。[11]は Battlefield Band の6作め《HOME IS
WHERE THE VAN IS》(1980) が初出で、かれの最初のオリジナル作品に
して、最も有名な曲。バトルフィールド・バンドは鍵盤奏者の Alan Reid
がマクニールらと語らって結成し、1976年にレコード・デビューした。
Silly Wizard と並んで、スコットランドを代表するバンド。[04]と[06]は
他に録音が見当らず、出自は不明。曲名からしてどちらもスコットランド
産ではあろう。

 [09]は有名な《PAUL BRADY, ANDY IRVINE》(1976) のブレディによる
歌唱がほとんど決定的ではある。[10]はイングランドの伝統歌だが、これも
メアリ・ブラックがうたって世に広まった。彼女のヴァージョンのもとに
なったニック・ジョーンズのうたはスタジオ録音はなく、後に編集された
ライヴ・アーカイヴ集で陽の目をみる。

 ということで、次回から具体的に聴いてゆく。(ゆ)



■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ オーケストラアレンジで聴くケルト・北欧の伝統音楽
■ 第1回 アイルランド組曲・スコットランド組曲
■            吉山 雄貴
■──────────────────────────────────

 伝統音楽をオーケストラアレンジでたのしもうという本連載。トップバッター
は、「アイルランド組曲」と「スコットランド組曲」という作品。

 いずれも、作曲者はルロイ・アンダーソン(1908-1975)。
 アメリカ合衆国の作曲家で、代表作は「ラッパ吹きの休日」、「シンコペーティ
ッド・クロック」など。特に「そりすべり」なんか、名前は知らずとも、誰しも
1度は聞いたことがあるんじゃないかな。

https://www.youtube.com/watch?v=t_2BmZ6ELaI

 ちなみに組曲とは、歌なしで演奏する楽曲であって、複数の曲を合わせて1つ
の作品としたものをいいます。
 有名どころは、J. S. バッハの管弦楽組曲。これの第3番に含まれるアリアを、
後世の人物が編曲したのが、かの「G線上のアリア」であります。

「アイルランド組曲」は、アイルランド伝承曲6曲を、オーケストラ用に編曲した
組曲です。長さは全体で、20分あまり。
 下記の動画で、全曲を視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=XxQzD9A7Iso

 6曲それぞれの名前はコチラ。

第1曲:The Irish Washerwoman(アイルランドの洗濯女)
第2曲:The Minstrel Boy(ミンストレル・ボーイ)
第3曲:The Rakes Of Mallow(マローの道楽者)
第4曲:The Wearing Of The Green(緑が野に)
第5曲:The Last Rose Of Summer(夏の名残りのばら)
第6曲:The Girl I Left Behind Me(去りにし娘)

 いずれの曲名も、使用された伝承曲の名前そのままです。カッコ内の日本語
名は、国内で販売されるCDのジャケットに、よく書かれているもの。

 さて、このうち4曲目のThe Wearing Of The Green。「緑が野に」という訳
が定着しています。
しかし、これはおそらく誤り。だってこの歌、こんなリフレインなんですぜ?

For the wearing of the green(緑の服を着たばっかりに)
For the wearing of the green(緑の服を着たばっかりに)
They’re hanging men and women (あいつら男も女も絞首刑にしやがるんだ)
For the wearing of the green(緑の服を着たばっかりに)

 他にも、かなりカゲキな歌詞のオンパレード。
「イングランドの残酷な赤をまとわなきゃならなくなったんだからな」とか、
「アイルランドのはらからは、流された血をけして忘れまい」とか。

 セント・パトリックス・デイ祝えないじゃん、ですって? はい。そのことも
歌ってます。

 親切にも、カラオケ機器のように、音楽と連動して歌詞が表示される動画。

https://www.youtube.com/watch?v=RZku2REI-Xs

 どうやらこの曲、18世紀末イギリスがフランス革命への対応に追われるのに乗
じて、アイルランドで独立運動が盛り上がり、これが武力で鎮圧された、という
できごとを歌っているようです。

 なんでも、活動家たちがシンボルとして、緑色の上着やリボンなんかを身にま
とったので、イングランド側がこれをきびしくとり締まった、とか。
 ちっとも「緑が野に」なんて、のどかにうたた寝でもしたくなるような内容
じゃないよう……。
 
 以上、本当は怖い「アイルランド組曲」でした。

 一方の「スコットランド組曲」は、あたかも「アイルランド組曲」の姉妹作の
ような作品。

 スコットランド伝承曲4曲で構成されます。全体の長さは約10分。
 残念ながら、You Tubeでこれを全曲きける動画は、みつかりませんでした。
どうもこの作品、「アイルランド組曲」と比べて、いちじるしく知名度が低い
ようです。なぜなのさ。

 曲目はコチラ。

第1曲:Bonnie Dundee
第2曲:Turn Ye To Me
第3曲:The Bluebells Of Scotland
第4曲:The Campbells Are Coming

 いちじるしく知名度が低いためか、確立した邦題はありません。

 さて、1曲目のDundeeはスコットランド東部の地名で、Bonnie Dundee
とはその領主だったジョン・グレアムの愛称。彼はイギリスの名誉革命(1688)
でフランスに亡命したジェームズ2世の支持者、通称ジャコバイトの指導者
でした。

 そもそもこのジェームズ2世の家系、本来はスコットランドの王家で、エリ
ザベス1世の死で王朝が途絶えたイングランドに、新たに招かれたのでした。
ジェームズ2世はイングランド王としての呼び名で、スコットランド王として
はジェームズ7世にあたります。

 で、Bonnie Dundeeことジョン・グレアムは、名誉革命に反対して挙兵し、
キリクランキーという場所でイングランド軍を破るも、自らは戦死します。

 そして4曲目のThe Campbells Are Coming。
 Campbellって誰かっていうと、アーガイル公ジョン・キャンベルのこと。
彼は、ジェームズ2世の子ジェームズ・ステュアートが王位を要求して1715
年に反乱をおこした際、これの鎮圧に貢献した人物。この楽曲は、そのとき
に作られたといいます。

 Bonnie Dundeeに始まり、The Campbells Are Comingに終わるこの組曲。
私などは、なんらかの意図を感じてしまうのですが……、考えすぎか。
 以上、本当は怖い「スコットランド組曲」でした。

 それにしても、The Wearing Of The Greenといい、The Campbells Are
Comingといい、なにかとヤバめな曲ばかりセレクトするルロイ・アンダーソン。
 アイルランドやスコットランドにルーツがあるのかと思いしらべてみると、
意外にもスウェーデン系移民の子孫だとのこと。「マク○○」じゃなくて「○○
ソン」だもんね。

 ところで、私「アイルランド組曲」を収録しているCDは、これまでに何枚か
見たことがあります。一方、「スコットランド組曲」に関しては、ほとんど目に
しません。

 その「スコットランド組曲」を聴ける、私の知るかぎり唯一のCDが、コレです。

【L・アンダーソン管弦楽作品集 第4集】
 BBCコンサート・オーケストラ
 指揮:レナード・スラットキン
 録音年:2007年
 レーベル:ナクソス

 ジャケットによれば、「スコットランド組曲」全曲を録音したのは、この
ディスクが世界初だとのこと。どうりでYou Tubeに動画がないワケだ!
 相方の「アイルランド組曲」も収録されています。


■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ ざっくり学ぶケルトの国の歴史(8)ゲール文化の天敵現る

■            上岡 淳平
■──────────────────────────────────

 エリザベス時代、イングランドの芸術は飛躍的に進化した。

 古楽奏者に聞いたところ、女性がリーダーの時代は芸術がグンと伸びるんだっ
て!すばらしい!かのシェイクスピアはこの時代の劇作家だし、人気俳優や
劇団、それに音楽なども含めて大いに盛り上がった。

 ちなみにエリザベス女王の臣下によって、アイルランドにもジャガイモがもた
らされ、一躍アイリッシュの主食になった。(アイルランドの土地と良く合った
んだね)

 エリザベス女王が亡くなると、スコットランド王が次の王になった。非常に
おとなしく、争いを好まない王様だったようで、大きな問題は起こらなかった
けれど、それでも片付かない問題があった。

 そう、宗教問題である。

 国教会、ローマ・カトリック、ピューリタン(プロテスタントの過激派)の
三つ巴の争いが続き、国会議事堂爆破騒動まであって、ついに、イングランドの
王様もブチ切れてしまった。

 「おうおう、てめぇら、国教会に宗旨替えせんかったら、全員沈めん
どぉぉ!」的な感じで、本気で怒り狂ったもんだから、さすがに焦って、みんな
船に乗り込み島から脱出、その先でなんか広めの土地を手に入れた。そして、
ニューイングランドと名付けたんだって。そう、もちろんアメリカだね。(今も
あるよ、アメリカのいっちばん右上)

 アイルランドは、お隣さんで盛り上がり始めた宗教戦争に、基本的に無関心を
決め込んでいた。ちなみにこの頃までは、まだゲール人もたくさんいたし、イン
グランド化されているといってもそれなりにゲール文化を保てていたんだ。

 さて、その頃イングランドは目の色を変えて世界の隅々へ出かけては植民地を
開き、貿易の拠点を作ることに没頭しはじめた。遠くの国までも自分のものにし
てやろうとやっきになるんだから、すぐお隣さんのアイルランドはもちろんすぐ
に攻められた。

 攻め方も姑的なネチネチした地味ないやがらせだったもんだから、我慢も限界
に達したアイルランド。先日「ハウス!」といってリズに追い出されたスペイン
に協力を求めた。そしてアンチイングランド精神を焚き付け、見事スペイン軍と
連携を組みイングランド軍を迎え撃った!んだけど、あえなく敗北。歴史的に、
ここで濃ゆいゲール文化は途絶えてしまう。

 その後、二度の大規模な戦闘と、各地で起こった抵抗運動などの影響で、多く
のアイルランド人、とりわけゲール人が死んじゃったそうだ。(ひどいことするわ)

 さて、実はイングランドが植民地を血眼になって探しはじめたのには、理由が
ある。それは、ヨーロッパの国々はすでに多くの植民地を持っていたのに、イン
グランドはまだ海にも出れていなかったからなんだ。

 なんでもスペインとの海戦で船がボロボロになってたのに、時の王様がケチで
修理しなかったんだって。(国家レベルのケチだね)

 定期的に現れるバカ殿の影響で、イングランドは疲弊していった。やたら金遣
いが荒く「スペインと戦争したいからお金ちょーだい!」的なノリで、国民や議
会からお金をもぎとり、果てはスコットランドの宗教問題にまで首を突っ込み、
えらいことになってしまった。まさに内乱カーニバル開催だ。

 そんな中、突如現れたのがクロムウェルというおじさんだ。

 この男、アイルランドでは悪魔の如く恨まれ、しまいには自国のイングランド
にまで嫌われてしまうほどの超自己チュー男。(通称ピッコロ大魔王)

 彼は精鋭ばかりを集めたエリート軍隊(タンバリンとかシンバルン)を結成
し、バカ殿を処刑。思うように進まないアイルランド問題にもピッコロ軍団で
攻め入り、アイルランド人を容赦なく虐殺して決着をつけた。

 改めてスコットランドに戦争をふっかけ、こちらも制圧。そして自らを「イン
グランド、スコットランド、アイルランド、および植民地連合国歌護国卿」と名
乗った。ピッコロ大魔王のイングランド統合思想はいまだに根強く残っているん
だから恐れ入るね。ほんと「やな奴、やな奴、やな奴!・・・やな奴!!」だね。

 ちなみに、かの有名な魔女狩りもこの時期にあたります。紀元1650年ごろの
悪魔降臨なお話をしたところで、また次回。


★編集後記

 今年も定期配信ができるよう心がけます。何かしら反応があると編集者も
やりがいが感じられてよいかと思いますので、ぜひツイッターやFBでご感想を
お書き下さい。次回号からは、ケルトの笛屋さんの松尾祐樹が担当します。

★ライブスケジュールは以下のページでカレンダー形式で掲載していますので
ご利用下さい。

https://celtnofue.com/community/event/

★全国のセッション情報はこちら

https://celtnofue.com/play/session_info.html

★全国の音楽教室情報はこちら

https://celtnofue.com/play/lesson_wide.html



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クラン・コラ:アイルランド音楽の森(月2回刊)
発行元:ケルトの笛屋さん
Editor : hatao 

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