ココロにしみる読書ノート

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つらいことが多い世の中ですから、ホッと一息ついたり、元気が出たりするような、ジーンと心に沁みる本にめぐり合いたいもの。そんなあなたにお勧めの本の書評をおとどけします。 このメルマガがきっかけになり、書評集『泣いて 笑って ホッとして…』を2007年に発刊し、それがきっかけになり月刊「宝島」誌に書評を隔々月連載し、それがきっかけになり日経ビジネス本誌&オンライン版「超ビジネス書評」に書評連載し……。 セミプロ書評ライターのお勧めを参考に、ココロにしみる本をお選びください。

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メルマガ名
ココロにしみる読書ノート
発行周期
不定期
最終発行日
2017年07月21日
 
発行部数
1,866部
メルマガID
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形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 批評・論評

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┃コ┃コ┃ロ┃に┃し┃み┃る┃読┃書┃ノ┃ー┃ト┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛2017/07/21(Fri)

◇ 今日の一冊
  書名:七帝柔道記
  著者:増田 俊也
  出版社:角川書店  2013年2月刊  \1,944(税込)  580P
  ISBN:4041103428

--------------------------------------------------------------------

    苦しい練習と、試合で勝てない悔しさと、不甲斐なさと
   ──────────────────────────

著者の増田俊也氏は「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞
受賞者で、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で世間の
注目を集めた小説家、らしい。

あまりスポーツ系の本を読まない僕には縁のなかった作家だ。
なのに、この本を読むことになったのは、先輩から「おもしろいぞ~」
と勧められたからだ。

勧めてくれた先輩と僕は、大学2年生の時に出会った。

先輩は、格闘技が大好きで、プロレスの技の名前が会話の中に
ポンポン飛び出してくるような人だった。

卒業後に入社した会社にもその先輩は一足先に入社していて、同じ
ソフトウェアプロジェクトに参加していたこともある。

3ヶ月前から、また同じオフィスで仕事するようになったその先輩
から、「おい、浅沼。この本面白いぞー」と勧められたのが本書で
ある。

もう40年以上の付き合いなのに、本を勧められたのは初めてだ。
格闘技系の本は読んだことがないが、まずは読んでみることにした。


主人公は1986年(昭和61年)に北海道大学に入った増田俊也という
大学生。

愛知県立旭丘高等学校の柔道部員だった彼は、大学でも柔道部に入る
つもりで札幌にやってきた。

2浪している彼を、ひとあし先に1浪で入学していた鷹山が出迎え
てくれる。

鷹山は、「北海道の人は本州のことを内地って言うんだぞ」とか、
「北大は二回生とか三回生とか言わずに二年目とか三年目って言う
んだ。三年在籍して二年生だと三年目二年って言うんだぞ」などと、
名古屋人の知らない話を教えてくれた。

高校の柔道部で同期だった鷹山は、北大でも柔道部に入部したが、
1年経たずにやめてしまったという。

「ほんとにきついんだ。寝技ばっかりやってんだから……」

高校の柔道部では想像もできなかった辛さだったという。

  「寝技はほんとにきつい。練習時間が長いし、寝技乱取りばっ
  かりで体力がついていかない。合宿になるとその何百倍も何千
  倍も何万倍もきつい。それが年に何度も何度もあるんだぞ。合
  宿以外にも二部練とか延長練習とかいつもいつもそんなんばっ
  かりだ。柔道以外、勉強も合コンも旅行もなんにもできん。な
  んのために苦労して北大入ったかわからんくなっちゃって……
  他の体育会の部とも違う異様な雰囲気なんだ……」

北大の柔道部は「講道館」ルールとは違う「七帝柔道」という寝技
中心の柔道をやっているのだ。

「七帝柔道」は戦前「高専柔道」と呼ばれ、井上靖の自伝小説
『北の海』にも登場している。

「練習量がすべてを決定する柔道というのを、僕たちは造ろうと
している」

金沢の第四高等学校の柔道部員の熱意にうたれ、夏合宿に参加した
主人公の耕作(井上靖)は高専柔道の魅力に引き込まれていく、と
いう小説だ。

あまりにも過酷な練習の様子を聞かされ、柔道部に入る決心がなか
なかつかない増田だったが、練習を見に行って先輩につかまり、
「もう逃げられない」と観念した。

同期の鷹山が言っていたことは本当だった。

一年目は全部の乱取りに参加しなくてもよかったし、はじめは先輩
たちも遠慮してくれていたが、ともかく練習時間が長い。

やがて、練習中に“落とされる”ようになった。

“落とす”というのは柔道の絞め技で意識を失わせることだ。
腕や胴着、脚などを使って相手の頸動脈を圧迫して脳へ行く血流を
止めると、脳内に血液がいかなくなって、相手は意識を失うのだ。

高校の柔道部で落としたことも落とされたこともなかった増田だが、
北大柔道部では「参ったなし」が暗黙の了解で、「参った」と合図を
しても離してくれない。

  落ちることがこれほど苦しいとは思わなかった。地獄のような
  苦しみだった。いや、死んだほうがましだと思った。離してく
  れないのがわかっていても必死に片手で岡田さんの体を叩き続
  けて参ったし、口から泡を吹き、涎(よだれ)をたらしながら
  悶絶するうち闇のなかへ吸い込まれて意識を失った。

1年目と2年目以上はこんなに実力差があるのに、それでも北大の
柔道部は七帝戦(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、
京都大学、大阪大学、九州大学の旧七帝大で実施する大会)で2年
連続最下位になっている。

1年目も苦しい。が、それ以上に2年目も3年目も4年目も苦しい
練習の様子が、このあと延々と綴られていく。

女子大生との恋愛も、もちろん濡れ場も全く登場せず、増田が
2年目になってやっと女子マネージャーが入部するだけ。

ひたすら苦しい練習と、強くなれない悔しさと、試合で勝てない
不甲斐なさが続く小説なのに、なぜか最後まで目が離せない。

何かに真摯に向きあうというのは、こういうことなのか。
命がけで何かに挑むというのは、こういうことなのか。

自分が体を動かしてもいないのに、本を閉じると疲労感と開放感が
やってくる。

格闘技好きの人だけでなく、人生に不完全燃焼を感じている人にも
お勧めしたい。

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◇ 今日のひとこと

増田俊也氏は1986年(昭和61年)に北海道大学に入っていますので、
1976年に北大に入学した僕から見ると10年後輩(年齢は8つ下)と
いう計算になります。

旭川市の旭山動物園を日本一の動物園にした小菅正夫氏(旭山動物
園の前園長)は1969年(昭和44年)に入学と同時に北大柔道部に入部
し、やはり柔道に明け暮れたといいます。
増田氏と小菅氏の真ん中にあたる僕の同期にも、きっと柔道部に
学生生活を捧げた人がいたはずです。

広い北大キャンパスの一画で、こんなに命がけで柔道に向き合って
いる学生たちがいた、ということをまったく知りませんでした。

増田氏から見れば、僕も「チャラチャラした」学生の一人だったかも
しれません。
別世界に住んでいたような私ですが、ひとつだけ共感した箇所があり
ました。

それは、僕も増田氏のように食欲旺盛だったことです。

寮の1日の食費が420円(朝食70円、昼食150円、夕食200円)だった
僕は、いつもお腹をすかせていました。

安くて量が多い店があると聞くと、よく食べに行っていました。

『七帝柔道記』にも、当時通った懐かしいお店が登場しています。

主人公の増田が札幌に到着した翌日、高校柔道部で同期だった鷹山と
北24条の中華料理屋「宝来」へ晩飯を食いに行きました。

「宝来」の盛りの大きさを、増田氏は次のように書いています。

  鷹山は私に見せたいと行ってチャン大と呼ばれるチャーハン
  の大盛りと餃子を頼んだ。(中略)運ばれてきたチャン大は
  丼三杯分はあった。

「鮨の正本(まさもと)」のおにぎりのように大きいお寿司も懐かしい。

本書には登場しませんが、北17条「キャッスル」のカツカレーもよく
食べにいきましたねぇ。

店のマスターが無愛想で、席についてすぐに注文しようとすると、
「水持って行ってから!」と叱られるお店ですが、皿からこぼれ
そうな盛りの良さは最高でした。

もっと満腹できたのは、札幌駅の地下街にあった「コロンボ」と
いうカレー屋さんの「ジャンボ」というメニュー。

ごはんとルーが何杯でもおかわり自由なので、店を出るときには
動けなくなるほど食べてしまいます。

10年くらい前に札幌へ行ったときに探してみましたが、札幌駅が
北に移動して駅舎も駅地下も大きく変わってしまい、見つけられま
せんでした。

また行く機会があったら、ぜひ訪ねてみようと思います。

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◆発行者:浅沼ヒロシ(1957年生まれ、東京都在住のITエンジニアです)
 ・ブログ http://d.hatena.ne.jp/pyon3/ もご覧ください。
  (身辺雑記・読書ノート等を載せています)
 ・日経ビジネス コラム「1分間で読める超ビジネス書レビュー」
  2010年11月~2011年9月 不定期連載
 ・月刊「宝島」コラム「書評アルファブロガー厳選2冊」
  2008年12月~2009年9月 隔々月連載
 ・日経ビジネスオンライン「超ビジネス書レビュー」に寄稿(2009年6月~2011年9月)
  http://qq3q.biz/osbd
 ・技術者を応援する日経BP社「Tech-On!」の書籍レビューに寄稿(2011年7月~2014年3月)
  http://nkbp.jp/pXNkEJ
 ・IT系情報サイトTechWave「BookReviews」に寄稿(2010年3月~2011年6月)
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