月刊バロック通信

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バッハ・ヴィヴァルディ・ヘンデルが活躍した時代へようこそ! チェンバロ奏者で『古楽でめぐるヨーロッパの古都』の著者が バロック音楽を中心とした古楽の世界へ、まったりのんびりご案内します。

 

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月刊バロック通信 Vol.72
こんにちは。いにしえの宮廷楽師です。今月は以下の内容をお届けします。
=<< 目次 >>=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
++01 音楽家の処世術 その1 旅する人生
++02 “音”でめぐる ヨーロッパの古都
++03 おすすめコンサート情報
++04 これからの公開講座
++05 突撃!バッハの昼ごはん
++06 編集後記
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

++01 音楽家の処世術 その1 旅する人生

今月は少し趣向を変えて、18世紀の音楽家がどのようにして成功の足掛かりを掴んだかをみていきましょう。

現代の音楽家は演奏旅行で各地を廻りますが、飛行機も自動車もない18世紀の音楽家も実に長い距離を移動しました。旅する音楽家の筆頭に挙げられるのは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91)。彼は生涯で17回の長距離旅行をし、その積算移動距離は約17,820km(※1)、35年の生涯(のべ13,097日)のうち、旅をしていた日数は3,720日で、一生の約三分の一を旅に費やしていたことになります。(※1大阪大学/神戸大学 野澤和男氏の試算による)

彼の17回の長距離旅行のうち、3回目の西方の大旅行(長距離旅行の3回目)は3年半近くに及び、1763年6月9日 7歳の時にザルツブルクを出発、ミュンへン、アウクスブルク、ハイデルベルグ、マインツ、フランクフルト、ボン、ケルン(以上ドイツ)、ブリュッセル(ベルギー)、パリ(フランス)、ロンドン(イギリス)、デン・ハーグ、アムステルダム(以上オランダ)、パリ(フランス)、ジュネーヴ、チューリッヒ(以上スイス)、アウグスブルク、ミュンヘン(以上ドイツ)などを廻り、1766年11月29日10歳のときにザルツブルクに帰郷。
この旅は父レオポルトがヴォルフガングとその姉ナンネルを連れた「神童お披露目旅行」で、各地の王侯貴族に天才少年としてのヴォルフガングを紹介することが目的でした。

また10回目のマンハイム・パリ旅行は、1777年9月23日21歳のときに出発し、1779年1月中旬に23歳で帰郷しています。この旅では当時ヨーロッパで最高といわれるオーケストラを擁したマンハイム宮廷に「楽長」として雇ってもらうことが目的でしたが、失敗に終わったうえ、初恋・失恋・母との死別を経験した辛い旅でもありました。

モーツァルトの生涯の総移動距離(約18000km)を、一世紀前のスペインの音楽家、フアン・グティエレス・デ・パディーリャ(1590頃-1664)と比べてみましょう。パディーリャはアンダルシア地方のカディス大聖堂の楽長で、当時の音楽家としてはなかなかの出世コースを歩んでいましたが、さらに良い待遇を求めたのか、メキシコのプエブラへと大西洋を渡りました。その移動距離は約9000km。こうしてみると、海を渡ったわけでもないのにパディーリャの2倍ほどの距離を移動したモーツァルトには目を見張るものがあります。
ちなみにモーツァルト家は自家用の馬車を持っていましたが、長距離移動には乗り合い馬車を使い、他人と長時間、狭い空間を共有する馬車の乗り心地は、とても良いと言えるものではなかったようです。

音楽家が旅をする理由は何でしょうか。

17・18世紀の音楽家には、大きく分けて2つのタイプがあったと思われます。一つは、仕事と演奏技術を確保するためにほぼ世襲の楽師の家に生まれ、親の仕事を受け継いである街にとどまるタイプ。もう一つは、よりよい地位と待遇を求めて都市間を移動するタイプです。大聖堂や宮廷の「楽長」や「楽師長(コンサートマスター)」といった、地位も俸給も格段に高いポストはとても限られていたため、特に優秀で野心的な音楽家たちはそうしたポストを得るために、長距離移動を厭わなかったのです。

モーツァルト子供時代の神童お披露目旅行も、将来ヴォルフガングが音楽家として高い地位を得るために有力者に顔を売っておく「根回し」でした。これを仕組んだ父レオポルトにしてみれば、息子が待遇の良い地位を得れば自分の将来も安泰なわけで、マンハイムの就職活動に際しても、相当な借金をして息子と妻を旅へと送り出したことが分かっています。
残念ながらモーツァルトのマンハイムでの就職は叶いませんでしたが、当時の音楽家たちは、就職先のリサーチを怠らず、隙あらばより待遇のよい職場に移ろうと目を光らせていました。(次回「音楽家の処世術 その2 結婚するならプリマドンナ」に続きます。)

☆今月の一曲☆
モーツァルト作曲
レチタティーヴォとアリア《アルカンドロよ、私は告白する/どこから来たかは知らない》KV294
(モーツァルトがマンハイムで出会った初恋の人、アロイージア・ウェーバーのために1778年に作曲)
https://www.youtube.com/watch?v=Xd7fsOh6f3w&feature=youtu.be

++02 “音”でめぐる ヨーロッパの古都 

このコーナーでは、書籍『古楽でめぐるヨーロッパの古都』からの抜粋とともに、知られざる名曲をご紹介します。今月は第9章ヴェルサイユより。ヴェルサイユ宮殿を増改築し、ヨーロッパ中の王侯貴族の憧れの城に仕立て上げたルイ14世(在位1643-1715)。そのお気に入りの音楽家はイタリア出身のジャン=バティスト・リュリでした。今日はリュリがフランス宮廷で発展させた「音楽悲劇」(オペラ)の中の一曲です。

ジャン=バティスト・リュリ作曲 音楽悲劇《アルミード》
https://www.youtube.com/watch?v=2zrbaEHomag

ルイ14世の時代のヨーロッパで流行していたのはイタリア・オペラでした。しかしフランスでは、イタリア・オペラの音楽様式自体は好まれませんでした。
ところが一六五九年、宮廷詩人ピエール・ペラン(1620頃―1675)とアンヌ・ドートリッシュ皇太后の音楽監督ロベール・カンベール(1628―1677)が、初のフランス語によるオペラを創作しました。彼らは一六六九年に国王より「王立音楽アカデミー」設立の許可を受け、「すべての台詞に音楽が付けられて歌われる芝居=オペラ」というジャンルの、フランス国内における独占上演権を得ました。

しかしペランたちの成功を、宮廷音楽界の頂点に立ったリュリが黙って見ていたわけはありません。折しもペランは借金を抱えていたうえに、《ポモーヌ》の上演で赤字を背負い、債権者に支払いができなくなったために投獄されていました。
そこでリュリは、それまでに築き上げた財力にものを言わせ、ペランの借金を肩代わりして返済し、彼を獄中から救い出しました。そのうえで、彼からオペラの独占上演権を買い取りました。こうしてリュリはその後、劇作家のキノーと組んで、フランス独自のオペラである「音楽悲劇」を創始・発展させる素地を作りました。
(『古楽でめぐるヨーロッパの古都』p.231-232より抜粋)

++03 おすすめコンサート情報

中央大学混声合唱団 ロ短調ミサ曲演奏会
2017年6月24日(土) 17:00開演
パルテノン多摩 大ホール
指揮:飯坂純 ソプラノ1:岩本麻里 ソプラノ2:石田亜希子 アルト:上杉清仁 テノール:大島博 バス:大森いちえい オルガン:渡邊温子
管弦楽:アレクテ室内管弦楽団 
合唱:中央大学混声合唱団
チケット:S席 2,500円/A席 2,000円
ご予約、お問合せ:中央大学混声合唱団まで
http://c-konsei.lolipop.jp/TheChuoUniversityChorus/concert/

++04 これからの公開講座

ケーテンのバッハと宮廷音楽
(チェンバロ生演奏、バッハ時代の歴史的再現料理つき)
※現在満席。キャンセル待ち受付となっております。
お話と演奏 渡邊温子
調理担当 「音食紀行」遠藤雅司氏(歴史的再現料理研究家)
日時 2017年5月28日(日)14:00~16:00(開場 13:30)
会場 古楽研究会 Space1F http://space1f.jp/access
アクセス 東京メトロ有楽町線・副都心線「要町駅」3番出口から徒歩9分前後、
「池袋駅」西口より国際興業バス・熊野町循環または中丸町循環にて「中丸町」下車徒歩1分
参加費 2,500円(30名限定)
【内容】バッハが活躍したドイツ・ケーテンの街の投影画像を見ながら、バッハの活動と音楽について解説します。また、バッハも味わっていたであろう料理を、「音食紀行」主宰・料理研究家の遠藤雅司氏に再現していただきます。五感すべてでバッハの生きた時代と街をご体験ください。
【演奏予定曲】J.S.バッハ 管弦楽組曲第1番より、J.S.バッハ フランス組曲第6番より ほか
お申込み・お問合せ cembalonko2002@excite.co.jp まで。

朝日カルチャーセンター新宿
『古楽でめぐるヨーロッパの古都』~チェンバロの街・アントウェルペン
日時 2017年5月29日(月)10:30~12:00
会場 朝日カルチャーセンター新宿(新宿住友ビル内)
受講料 会員 3,024円、一般 3,672円
お申込み https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/2f610d6e-19ca-d5b3-aa17-587f448ae58b
お問合せ 朝日カルチャーセンター新宿 03-3344-1945
【内容】ベルギーのアントウェルペン(英語読み・アントワープ)は、大西洋に開かれた交易の街。17世紀にチェンバロ界のストラディヴァリ、ルッカース一族が活躍しました。フェルメールの絵画に描かれたチェンバロや長方形型のヴァージナルは、まさにルッカースの様式のもので、裕福な市民たちがそれらに親しんでいた様子が偲ばれます。この活気ある街に鳴り響いた音楽と、アントウェルペンの街の歴史とのかかわりを、街の風景の画像や音楽の実例を聴くことで紐解いていきましょう。

タニタ楽器北浦和東口センター 春の講座
『古楽でめぐるヨーロッパの古都』
【内容】新刊書『古楽でめぐるヨーロッパの古都』をテキストに、以下の日程で公開講座を行います。一回ごと完結の講座ですので、ご都合とご興味に合わせてご参加くださいませ。(各木曜日・10:30-12:00)
日時とテーマ
 5月11日 第6章 クレモナ(イタリア)-終了
 5月25日  第7章 ツェルプスト(ドイツ)
 6月 8日  第8章 マンハイム(ドイツ)
 6 月22日 第9章 ヴェルサイユ(フランス)
 7月 6日  第10章 ヴェネツィア(イタリア)
会場 タニタ楽器浦和支店北浦和東口センター(JR北浦和駅徒歩4分)
http://www.e-tanita.jp/onkyo/kaijyo/center/higashiguti.html
参加費 2,500円(2名様同時申し込みで1名様2,000円)
お申込み・お問合せ タニタ楽器浦和支店 Tel. 048-831-0910

++05 新コーナー 突撃!バッハの昼ごはん

『月刊バロック通信』通算70号を記念して始まった新コーナー。ここでは1745年にライプツィヒで出版されたベストセラー『ライプツィヒの料理本』に掲載されたお料理をご紹介します。もしかしてJ.S.バッハも味わったかもしれない料理のレシピを、ちょっとのぞいてみませんか。

その3 <鳩のサワークリーム煮>
1. 鳩を入手し、きれいにし、耐熱性の平鍋か陶器製のパイ鉢に入れる。
2. サワークリームとブイヨンを混ぜ、そこにナツメグと少しの生姜と胡椒を加える。
3. 2を1に注ぎ、ゆっくりと煮詰める。最後に多めのバターを加える。
4. 3に湯がいたレモンを切って添えてもよい。

食用の鳩は、日本ではなかなか目にすることはありませんが、ヨーロッパ・中近東・アジアで広く食されているようです。18世紀の鳩料理は、どんなお味だったのでしょう。手羽先などで代用できるか、試してみたいです。

++06 編集後記

木々の緑が色濃くなって参りました。いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

5月20日には朗読と音楽のコラボレーション「風流楽(ふる~ら)」第41回目のコンサートが、素晴らしいお天気に恵まれた中終了いたしました。プログラムの初めに、チェンバロのために書かれた現代曲・田中カレン女史作曲「香草の庭(1989年)」より《ニオイスミレ》を演奏しましたが、その時にハーブ研究家のご協力を得、貴重なニオイスミレの精油を会場に炊いていただきました。
その香りは甘く、マリー・アントワネットも好んだとのことで、作曲者の田中カレン女史が曲に添えられた“Early spring flowers with seductive scent”という言葉どおり、スミレから想像される「可愛らしさ」ではなく「大人っぽさ」を感じる香りでした。

今月はまだイベントが続きます。5月25日(木)「古楽でめぐるヨーロッパの古都 第7章ツェルプスト」(タニタ楽器北浦和東口センター)、28日(日)「ケーテンのバッハと宮廷音楽」(古楽研究会Space1F、現在キャンセル待ち受付)、29日(月)「チェンバロの街アントウェルペン」(朝日カルチャーセンター新宿校)が開催されます。この一週間は、私の人生の中でもまれにみる充実度かもしれません。お近くの方はぜひ、ご来場いただければ幸いに存じます。

今月も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
また来月もお元気でお会いいたしましょう。
よろしければ、ご質問・ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せ下さい。
→ http://form.mag2.com/mouwuuanio

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最終発行日
2017年05月22日
 
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