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【書評】なぜビジネス英語文書では「I」を主語にしない方がいいのか

日本語であれ英語であれ、ビジネスで使う文章はフォーマットとボキャブラリーが重要―。そう語るのは、『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の土井英司さん。そんな土井さんが紹介してくださるのは、ビジネス英語における「書き方のルール」を詰め込んだ充実の1冊です。

ビジネス英語ライティング・ルールズ』 森田修、マルコム・ヘンドリックス・著 日本経済新聞出版社

こんにちは、土井英司です。

最近、ビジネス英語というのは、つまるところフォーマットとボキャブラリー語彙力)だということに気づいてきました。

日本語でビジネスをする際も同様で、相手方が通常ビジネスで使うのと違うフォーマットで文章を書いてきたら違和感を感じますし、通常使用する用語と違う用語を使ってきたら、やはり違和感を感じます。

問題は、英語ではなくてフォーマットとボキャブラリーなのです。

そこで本日ご紹介したいのが、森田修氏、マルコム・ヘンドリックス氏の共著、『ビジネス英語ライティング・ルールズ』。

タイトル通り、ビジネス英語における書き方のルールをまとめたもので、これが新書とは思えないくらい内容が充実しています。

日本人がやりがちな「I think…」で始まる文、「I」が主語の文の多用を戒めるところから始まり、カンマやピリオド、コロン、セミコロン、丸カッコと角カッコ、ハイフン、引用符、エリプシス(…)などの使用ルールについて、じつに絶妙な解説をしてくれています。

どうすれば恥をかかないか、どうすればより丁寧な表現になるか、正しい表現、決まった表現はどれか、かゆいところに手が届く、素晴らしい内容です。

PC表現(Politically Correct)について、また最近SNSで多用される「BYOB」「lol」などの略語についても一覧が載っており、これ1冊でビジネスコミュニケーションのフォーマットはひと通りマスターできます。

さっそく、いくつかポイントをご紹介しましょう。

ビジネスライティングでは、なるべく「I」を主語にしないほうがよいとよく言われます。これも、「主観」よりも「客観」という一般的傾向によるものです

何度かやりとりをして、お互いをファーストネームで呼び合う関係になっていたら、Thanks for…を用いるのが「当たり前」。Thank you for…では、「よそよそしい」感じになってしまいます

カンマをandの代わりとして用いることがあります。2つの項目を並列して示す場合に限られます。文の意味を強調することができるので、うまく使うと相手に強い印象を与えることができ、効果的です。

 

Three people on our production team are out sick today and two more are wearing masks.

 

Three people on our production team are out sick today, two more are wearing masks.

概要を述べた後で、その詳細をリストアップする場合にも、コロンでいったん区切ります。(中略)

 

Garwood released three new products last month:OD903, BD812 and CH701.

 

「ガーウッド社は先月、新製品を3つリリースしました。OD903、BD812、そしてCH701です」

My subordinates (George and Yuriko [who just transferred from a different division]) have their hands full with our current project.(中略)

 

「丸カッコの中で補助的なカッコが必要になったときには、角カッコを使う」というのが基本

引用文中で、補足的説明などのためにカッコを使う場合、引用符の「内側」であれば角カッコを、引用符の「外側」であれば丸カッコを使うのが一般的です。

 

During his presentation, she said, “We are seeking to increase our international B2B[business to business] deals.”

 

During his presentation, she said, “We are seeking to increase our international B2B deals.”(business to business)

「エリプシス」とは、「省略符号」とも呼ばれるもので、ピリオドを3つ並べて示します(…)。文の一部が省略されていることを示すための記号です。日本語の「…」や「~」などの全角文字を使ってしまわないように注意しましょう。

 

Her e-mail said, “…meeting will be cancelled until further notice….”(中略)

 

文末が省略されている場合、文末のピリオドを含め、ピリオドを4つ打つのが正式です

本当はもっともっとご紹介したいのですが、スペースの都合上、このぐらいにしておきます。後は現物を見てご確認ください。

ずっと探していて、やっと出会った、納得のビジネス英語本。新書サイズなので、持ち運びも便利です。日本の教育でひと通り英語は勉強したけれど、ビジネスで使われるフォーマットがいまいち理解できていない、という方におすすめの内容です。ぜひ読んでみてください。

image by: Shutterstock

 

毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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