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室町時代から続く老舗製薬会社が、夏の「虫よけ」市場で起こした革命

夏のお出かけに欠かせない虫よけですが、汗などで流れてしまうため何度も塗り直さなければならないという手間や、小さなお子さんをお持ちの方、敏感肌の方は肌荒れも気になるところですよね。そこで注目を浴びているのが「肌に優しい」「8時間塗り直しなし」を謳うユッカ スキンプロテクター。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、この虫よけを販売する老舗製薬メーカーの戦略を分析しています。

相反する二つの価値の両立

今回は夏に欠かせない商品で注目を浴びている企業を分析します。

翠松堂製薬(創業1570年の製薬メーカー)

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.肌にやさしい

2.長時間、虫をよせつけない

3.虫よけ成分を吸い込まない

⇒上記の強みを支えるコア・コンピタンス
★独自の虫よけ剤配合技術

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

ユッカ スキンプロテクター(むしよけクリーム)

■売り値

■売り方

■売り場

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

まとめ(戦略ショートストーリー)

小さなお子さんがいる方をターゲットに「独自の虫よけ剤配合技術」に支えられた『肌にやさしい』『長時間、虫をよせつけない』という強みで差別化しています。

長時間虫よけできる裏付けとして、8時間の間に1匹も刺されなかったという強力なエビデンスを示すことで消費者の支持を得ています。

■分析のポイント

「相反する二つの価値の両立」

YUCCA(ユッカ)は「肌にやさしい」と「長時間、虫をよせつけない」という相反する二つの価値を両立することで、独自の価値を提供しています。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあるように、相反する二つの価値を同時に実現するということは、非常に難しいことです。YUCCA(ユッカ)は、この難しいこと(二兎を追いかけて二兎を得る)を実現しているからこそ、独自の価値を提供できているわけです。

YUCCA(ユッカ)と同様に相反する二つの価値を両立することで独自の価値を提供している有名な事例があります。それは、パイロットのフリクションシリーズです。消せるボールペンのフリクションシリーズは、「しっかり書ける」と「しっかり消せる」という相反する二つの価値を両立することで、爆発的なヒットにつながっています。

なお、パイロットについては、本メルマガのVol.3にて分析しています。

YUCCA(ユッカ)とパイロットに共通することととして、一見、無理だと思われることにチャレンジしていることです。何でもそうですが、「無理」だと考えると思考が停止してしまいますし、やる気もでませんので、成果に結びつきにくくなります。これは脳科学的にも実証されているようです。

例えば、会社から示された目標に対して、ほとんどの従業員が無理だと思ってしまったら、実現は難しいでしょう。難しいことにチャレンジするには、やはり、担当者に「自らやってやる」と思わせることが重要です。

ですので、おそらくYUCCA(ユッカ)やパイロットには、チャレンジを推奨する文化、無理だと思わせない文化があることが、独自の価値を生み出す土台となっているのでしょう。

image by: Shutterstock

 

MBAが教える企業分析
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