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なぜ人工甘味料は「悪者」にされるのか? 添加物は危険の大ウソ

せっかくの楽しい食事でも「これ食べても大丈夫なのかな…」なんていちいち気にかけていたら全然美味しくないですよね。とは言え、巷で言われる「食品添加物」の恐ろしい噂を耳にすれば気にせずにはいられないもの。無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさんは、添加物有害論者の出すデータには無理のあるものも多く、そこまで神経質になる必要はないと述べています。

暮らしと科学:ゼロカロリー飲料の中身と有害性論

ゼロカロリードリンクは健康に良いのか悪いのか?

ネットには様々な情報が溢れ、書店にも人工甘味料は発がん性物質で飲むだけで死ぬ…みたいな本がアホみたいに売れています。

まず人工甘味料を含め、あらゆる添加物と言われる物に「発がん性なんてものはありませんし、多少体に入っても何も気にしなくて良いと言っても過言ではありません。

「食品添加物は危険」ブームのまやかし 毒性を示す明確なデータなし

それに関してはこちらに記事を書いているので参照してもらうとして、添加物をごく少量とるだけで危険というのはかなり飛躍したオカルト論で、もしそれをひっくり返す実験データがあるならば、わけのわからないクソみたいな本を出してないで、きちんとデータをとって論文で反証を示し、多くの専門家の査読を受けるべきなのです。

冷静に俯瞰で見ると笑えるのは添加物有害論者が使っているデータ自体が安全性テストのデータであるということです。つまり、どこまで投与すると有害作用が出るのかというのを試験して安全性を算出する工程自体はどんな添加物にも存在します。そこで毒性が出るまで投与することで危険値が見えるわけです。それが塩だろうが砂糖だろうが同じで、大量に摂取すれば有害な量はあるわけです。

そのデータを鬼の首をとったように本にしてわめき散らすのは、なんとも哀れなレベルで救いようのない感じしかしません。なのでそういうのを「痛い人」と認識することはとても大事だと思います。

では、人工甘味料に限って、インスリンの分泌を過剰にしてII型糖尿病を促進する…という話です。

いくつもの論文があり、近年ではネイチャーに掲載されたり、フランスの科学誌「Journal of Clinical Nutrition」に掲載された、過去20年の6万人の食生活を調査した結果では、人工甘味料入りのソフトドリンクを飲むグループは100%果汁ジュースを飲むグループに対して有意にII型糖尿病が多いという大規模な調査結果も出ています。

こういう結果だけを見ると、人工甘味料が糖尿病を引き起こしているように見えますが、こうした研究レポートはあくまでそういう一面があるというだけで、因果関係があるとまで結論付けていません

つまり、もともと肥満がちな人は少しでも摂取カロリーを抑えようとダイエット飲料を好み、もともと健康的な体型を維持して健康な人は、もともと食生活に気を遣っているし、間食も控えている…という根本的な部分が検証が難しいので、因果関係自体を証明することは困難なわけです。

では因果関係が不明瞭なら安全なのかと言うと、たまに飲む分には何も気にしなくて良いと思います。ただ甘いという味覚への刺激は食欲を増進させる働きがあるので、ついついポテチもモリモリいきやすくなったりするのでそういう二次的な間食増進なんかには気をつけるべきだと思います。

しかしそれは、人工甘味料が悪い…のではなく、不摂生が悪いのであって、問題のすり替えにしてはいけないえわけです。

ちなみに自分は血統的にII型糖尿病因子を持っており、甘い物も大好きですが、甘味の摂取量を減らすために、人工甘味料のドリンクはかなりガブガブ飲んでいます。体重は平均以下で、体脂肪率も低めです。

人工甘味料の毒性が、もしなんらかあったとしても日々の運動で完全に帳消しできるレベルだと思います。逆に言えば、食生活のバランス調整もせず、脂っこいものを食べ、運動不足でも人工甘味料を避けていれば健康かというと…そんな甘い話は無いわけです。

体は日々食べるもので構築され、25歳以降は運動しなければ急激に衰える。食のバランスをしっかり体質にあわせて管理して、あとは紫外線老化防止のためにスキンケアをしっかりして…、そこまでやって、さらなる健康を望むならようやく人工甘味料の毒性を気にするレベルだと思います。タバコを吸っているとか、休肝日を作らず日々飲酒がある人はそもそも論ずる権利は無いでしょう。

ちなみに添加物有害論者の人たちはみんなしてブクブク太って肌も汚く醜い人が多いのですが…気のせいでしょうかネ?(笑)

image by: Shutterstock

 

アリエナイ科学メルマ
著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。
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