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安倍外交の大勝利。トランプ会談に出遅れた中国は皮肉と焦りの発言

トランプ氏の大統領就任前にニューヨークで非公開の会談を行った安倍総理。終始和やかなムードだったと伝えられていますが、就任前の次期大統領に会いに行くという行動は、外交的に正しかったと言えるのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、今回の安倍総理の判断を「素晴らしい」と大絶賛、その理由として、トランプ氏が「中国の脅威」を遠ざける重要なキーパーソンであることなどを記しています。

対トランプ、安倍総理にできて、習近平にはできないこと

11月17日の安倍―トランプ会談、とてもうまくいったようです。

安倍総理は、トランプさんが大統領選で勝利すると、即座に電話した。そして、外国政府のトップとして、一番にトランプさんとの会談を果たした。見事です。

なぜトランプさんと仲良くすることが重要なのでしょうか?中国が日本には尖閣だけでなく沖縄の領有権もない!」と宣言しているからです。

※ 絶対証拠→反日統一共同戦線を呼びかける中国

中国は口でいうだけでなく、実際に「尖閣を奪うためのアクション」を起こしている。このことは、少しでも世界の動きを追っている人なら皆知っています。

そして、「証拠」には「反日統一共同戦線戦略に、『アメリカ』を引き入れなければならない」とはっきり書かれている。つまり、中国の重要戦略は、「日本とアメリカを分断すること」なのです。成功すれば、

  1. 中国は尖閣を容易に奪うことができるでしょう。
  2. 日米分断によって、中国は覇権にむかって大きく前進できるでしょう。

この戦略を阻止するためには、「反対のこと」をすればいい。つまり、「アメリカとの関係をますます強固にしていく」。それで、「ヒラリーさんが勝っても、トランプさんが勝っても、中国の戦略を破綻させるために、アメリカとの関係を強固にしなければならない」とRPEでは、100万回ぐらい書いてきたのです。

安倍総理がトランプさんと仲良くしなければならないのは、中国が「隙あらばまず尖閣、そして沖縄」と狙っているからです。

なぜスピードが大事なのか?

既述のように、安倍総理は、トランプ勝利が決まると即座に電話し、早速会うことを決めました。すばらしい! スピードが大事です。なぜか? こんなこと、書くまでもなく当たり前のことですが。

皆さんの人生で、何か良いことが起こった。親しい友人は即座に電話してきて、嬉しそうに「おめでとう!」と言います。「即座に」電話してくるので、「大切にしてくれているな~」と感じるのです。

しかし、遠い知人は、「10日後に電話してきて、あまり嬉しそうでもなく、「おめでとう」と言います。祝ってもらった本人も、「義理で電話してきたな」と思うので、低いトーンで「ありがとう」と言います。

即座に電話してきた親友は、こう言います。「会って、お祝いしようよ!」。10日後に電話してきた知人は、言います。「いつかお祝いしましょう」。そして、そのいつかは、決してやってこない。

誰かに良いことがあったら、すぐ電話しできるだけ早く会ってお祝いする。皆さん、これが「仲の良い人の行動パターン」ではないですか?

トランプさんだって同じことです。すぐお祝いの電話をした首相や大統領。3日後に電話をした首相や大統領。当然、その印象は全然違うことでしょう。

勝ったらすぐ、「あなたに会いたい!」といって即アポをとる安倍総理。「機会があればお会いしましょう」と社交辞令でいう他の首脳たち。当たり前ですが、全然印象が違います

もし私たちが誰かと親友になりたければ、「親友らしく振舞わなければなりません。安倍総理は、まさにトランプさんに対し「親友らしく」行動した。フェイスブックやっている人は、トランプさんのページを見てください。総理とトランプさんのツーショットが載っています。トランプさん、満面の笑顔です。

選挙戦中、世界からも国内からもあり得ないほどのバッシングを受けた。勝ったら、世界のリーダーもマスコミも、「最悪だ!」と嘆いている。そんな中、安倍総理は、即座にやってきて、「信頼できる指導者と確信した!と世界に宣言した。つまり、安倍総理は、トランプさんのイメージアップに世界一貢献した。これで喜ばれないはずがありません。

重要なのは、安倍総理の迅速な行動が、「日本国と日本国民の安全に大きく貢献した」ことです。

安倍総理にできて、習近平にできないこと

日米分断こそ中国戦略の柱。だから、中国は安倍総理の神速さにムカついたことでしょう。中国外務省は、「トンチンカン」なコメントを出しています。

中国外務省の耿爽(こう・そう)・副報道局長は18日、「第三者の利益を損なってはならず、地域の安全上の懸念を尊重すべきだ」と述べ、日米同盟の今後を注視する考えを示した。
(毎日新聞11月18日)

今回のようなフットワークの軽さは、日本のような「民主主義国家」だからできることです。こういうことは、習近平にはできません。彼は、一党独裁国家中国の「皇帝」である。皇帝は、皇帝らしく、いつも「偉そうに」していなければならない。気軽にトランプさんに電話したり、「会いましょう!」と即決したりできない。

今回安倍さんは、通訳と二人だけでトランプさんたちと会ったそうです。「皇帝」習近平には、そんなこともできません。安倍総理は、「人間皆平等」の「民主国家」の長所を活かして、是非ともトランプさんの親友になってほしいと思います。

ちなみに、トランプさん、日本、韓国、サウジ、NATO諸国には「守ってほしければもっと金を出せ!」と言っています。しかし、イスラエルにだけはそういう話をしない。そして、「イスラエルを1000%守る! 永遠に守る!」と言っています。なぜ? 娘のイヴァンカさんがユダヤ人大富豪と結婚した。イヴァンカさんは、ユダヤ教に改宗し、孫たちもみんなユダヤ教徒である。

もしトランプさんの子供の一人が日本人の男性か女性と結婚すれば、やはり、「日本を永遠に守る!」となるでしょう。しかし、それ(結婚)を強制するわけにもいきません。やはり安倍総理がトランプさんとゴルフをして、親友になってもらうのがいい。まさに、「安全保障ゴルフ」「希望の同盟ゴルフ」です。

image by: 首相官邸 , shutterstock

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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