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そこまでやるか。安すぎるホテル「ウィークリー翔」のありえない戦略

1泊1900円からという圧倒的安さを売りするホテルが人気を集めています。そんな低価格を実現させたウィークリーホテルの、「顧客の協力で成り立つ」という業界では前代未聞とも言えるシステムと、徹底したコスト削減ノウハウを、無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者・青山烈士さんが詳しく分析しています。

常識にとらわれない

圧倒的な安さで人気のホテルを運営している企業を分析します。

ウィークリー翔 (ウィークリーホテル)

運営しているのは「希望社」という岐阜県の企業です

戦略ショートストーリー

とにかく安さを重視される方をターゲットに「コスト削減ノウハウと過剰な利益を求めない文化」に支えられた「安い」「簡素という強みで差別化しています。

最低限のサービスと設備、備品のみを残し、顧客の協力を得ながらコスト削減を実現し、圧倒的な安さで、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

常識にとらわれない

一般的なホテルでは、

といったことは、当たり前、つまり常識だと思います。しかし、ウィークリー翔は、これらをすべて満たしていません。一般的なホテルの考え方からすると非常識といえるでしょう。

常識というのは、顧客のニーズに応えていくことで定着化していくことが多いですから、顧客ニーズに応えようとすれば、常識に従う行動打ち手をとるのが自然です。

一方で、常識というのは、多くの人が望んでいるとは限らないという見方もあります。だからこそ、常識にとらわれないウィークリー翔のような企業が注目を浴びているのでしょう。

ではなぜ、ウィークリー翔が非常識な打ち手が打てるかというと、ひとつは、希望社は、建築設計・施工・コンサルティングを提供している会社ですから、ホテルの経営を専門で行っているわけではありません。だからこそ、ホテル業界に属する企業とは異なる視点を持っており、常識にとらわれない打ち手が打てているといえます。もうひとつは、戦略を理解していて、それをしっかり実行できているということでしょう。

重要なのは、戦略と戦術の関係です。戦術は、戦略を実現するために具現化したものですので、あくまでも戦略が主で、戦術は従という関係です。

ウィークリー翔は低価格を強みにして戦う戦略をとっており、戦略の実現を徹底的に突き詰めていることが、コスト削減につながる様々な打ち手につながっているのです。これは簡単なようで、できている企業は少ないです。

いまの自分の行動、打ち手(戦術)が、自社の戦略の実現につながっていると自信を持って言える方は少ないですし、そこまで意識できている方も少ないと思います。そもそも自社の戦略がわかっていない、わかりにくいということもよくあります。

ウィークリー翔は、一般的な常識は一旦置いておいて、戦略を実現するためにどうするかを追及しているからこそ、格安のホテルとして、顧客から注目されているわけです。

そもそも、後から参入してきた企業が先行企業と同じような平均的なホテルで参入しても自社が選ばれるのは難しいでしょうから、理にかなった戦略・戦術をとっているといえるでしょう。

今後、ウィークリー翔がどのような成長を遂げるのか楽しみです。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.安い

2.簡素

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「コスト削減ノウハウと過剰な利益を求めない文化」

上記のような独自のノウハウがあるからこそ、強みを実現できているといえます。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

「ウィークリーホテル」

■売り値

「1泊1,900円~」
→7泊以上で1泊1,700円~、30泊以上で1泊1,500円~

■売り方

「低料金は、お客様の協力で成り立っています」

■売り場

岐阜県を中心に出店
→直営店が12、姉妹店が2店舗
 出店地域は岐阜、大阪、富山、宇都宮、名取、青森

※売り値や売り物などは調査時の情報です。
 最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: Shutterstock

 

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