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急増する「ヤミ民泊」。大都市圏では98%が許可ナシ運営の実態

新たに「年間の営業日数は180日まで」という上限が設けられる一方、許可制に比べてハードルの低い「届出制」が採用されるなど、今ひとつ焦点が定まっていないようにも受け取れる「民泊新法」が、まもなく国会で成立しようとしています。そんな中、無許可で部屋を貸し出す「ヤミ民泊」が増え続け、マンション管理の大きな悩みの種となっているという現状も。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、広がるヤミ民泊と民泊許可取得の現状を伝えています。

マンション民泊問題第2幕が開く

こんにちは! 廣田信子です。

民泊新法が3月10日に閣議決定、国会での成立が目の前に迫っています。合法、非合法にかかわらず、民泊禁止を管理規約を早々盛り込んでいるあるタワーマンションの理事さんが言います。

民泊禁止の規約があっても、民泊はいっこうに減らないよ。仲介業者が、どんどん利口になって、物件の特定が難しくなっているし、仲介業者の数も増えているので、正直、もう追い切れない。しかも、業者側の自己防衛が進み、当初に比べれば、宿泊者や管理業者の迷惑行為も減ってきているので、実態が見えにくくなり、厳しい対応が難しい。投資目的の区分所有者も多いので、もう、このままなし崩しになるんじゃないだろうか…。

しかし、セキュリティに対する不安は一向に減っていないのだから非常に怖い。防犯カメラや警備員を増やすことを考えなければいけないんじゃないかと思うが、民泊は規約で全面禁止なので、民泊があることを前提にした対応策も立てられない。テロも怖いので、東京オリンピック前の最高値で売って、引っ越そうかと本気で考えている

これが実態だと思います。

昨年、10月~12月に厚生労働省が行った民泊仲介サイトに登録されている情報抽出による民泊実態調査の結果によると、許可取得の状況は、全国では、許可を受けているのが16.5%無許可が30.6%物件特定不可が52.5%となっています。その中でも、大都市圏中心市に限ってみると、許可を受けているのは1.8%しかなく、無許可が32.8%、物件特定不可が65.3%となっています。

まず、正確な住所が記載されているものはほとんどなく、物件の特定すら非常に困難だったといいます。特に、大都市圏で、許可を受けているのは1.8%しかなく、その他は、ほぼヤミ民泊と考えられます。そして、無許可物件の54.2%は共同住宅ですから、都市部のマンションのヤミ民泊の実態を裏付ける結果となっています。

また、観光庁によると、2016年の延べ宿泊者数は5億408万人泊となり、前年比6.5%増で、過去最高値となっています。うち、外国人の宿泊数は6,561万人泊で、なんと、前年比46.4%増です。

外国人の宿泊者数は2012年~2016年の4年間で3.7倍に増えています。このままいくと、みずほ総研試算で2020年時点で4万室以上の客室が不足するとされています。マンションの居室を外国人向けの宿泊施設にしないと、需要を満たすことができないのです。

管理規約で明確に民泊禁止をうたわないと民泊を防げないという話を何度も書いていますが、民泊新法の制定とともに、市場のニーズに応えるように民泊関連ビジネスは過熱し、合法、非合法入り混じって怒濤のように民泊がマンションに入り込んでくる未来が見えてしまいます。

規約で禁止しても民泊を止められない時代がすぐそこに来ている…、その状況で、どうやってマンション住民の安全を確保していくのか、マンション民泊問題、第2幕が開こうとしています。

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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