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たった7文字でスムーズに交渉の主導権が握れる、魔法の言葉

交渉を有利に進めるためには「主導権」を握ることが肝要です。とは言えそれが簡単なことではないのもまた事実。交渉事のプロ・弁護士さんはどのようなテクニックを使うのでしょうか。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者で現役弁護士の谷原さん自らも使うという「ある言葉」を紹介しています。

本題に入る前に

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

交渉では、様々な条件について、双方とも自分が納得できる、なるべく有利な合意に持ち込むことを目指して行われます。そして、その駆け引きは、具体的な条件についての話し合いをする前から始まっています。

意外と大きく結果に影響するのが、どのような順番でどの議題を話し合うか。先手を取って順番を決め、交渉の主導権をつかむため、論点を整理し、紙に書いたものを冒頭に提示するといった工夫をする人もいます。

しかし、ある程度交渉に慣れている相手だと、相手もまた自分が決めたテーマから話し合おうと工夫します。このような状況で、小競り合いになるのではなく、スムーズに自分が主導権をとるための便利な言葉をひとつ紹介します。

それは「本題に入る前に」という言葉です。

交渉において「本題」とは何でしょうか。それは人によって異なります。たとえば売買の交渉の場合は、価格が本題となることが多いでしょうが、必ずしもそれだけではありません。求められる商品の品質はどの程度なのか、保証期間の長さと保証内容、納期等々、諸条件が複雑に絡み合っています。

どの条件が最も大切な「本題」であるのか、またどのテーマから話し合いたいかは、双方異なることが多いのです。たとえば、相手が、金額から決めていきたいと考えているとします。こちらとしては、納期などの条件が整ってから、最後に金額を決定しなければ、後になって苦しい条件を飲まされるのではないかと懸念しているとします。

相手が金額の話をはじめる前に、先手を取り「本題に入る前に、まず納期について決めておきたいのですが」ときりだし、自分が最も気にしている話を始めます。自分にとっては納期が本題といえるものあっても、そう言うのです。

これと反対の表現として「単刀直入に本題からまいりましょう」といった言葉があります。状況によっては、そう言ったほうが良いこともあります。ただし、この言い方は、相手を身構えさせることになります。「まあ、その話はあとにしましょう」といわれることも多いでしょう。

「本題に入る前に」という言い方は、「そのテーマはさほど重要なことではない」という前置きになります。相手としては「いや、それが一番重要なことですので」と否定しにくくなり自然にこちらが望む議論の場を設定することができます。

この言葉を有効に機能させるためには、その交渉において、自分にとって重要なポイントがどこにあり、どう先手を取りたいのか、事前に整理しておくこと。また、相手が重要だと考える部分をなるべく予測しておくことも必要となります。自分と相手の重視するポイントが異なるときに特に効力を発揮することになります。

「本題に入る前に」は、いつも使える言葉ではありませんが、交渉の主導権をとるための、ひとつのテクニックとして覚えておくとよいでしょう。

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

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人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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