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政府は知らずに叩き墓穴? 前川前次官「華麗なる経歴」に元首相の名

「総理のご意向」文書のリーク元とされる前川前文科省事務次官に対して、個人攻撃とも言える対応を取り続ける安倍政権。さらにそれを国会で追及する野党も加わり、収まる様子のない「加計学園問題」。メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんは、この問題に関連して、安倍首相の妻・昭恵夫人のFacebookページに寄せられた、ある人物からのコメントを紹介しています。小川さんは前川氏の「華麗なる経歴」に驚き、「こんなに前川氏を貶めて大丈夫か?」と心配に。そして、その経歴を確認せずに個人攻撃を始めた安倍政権の「国家の危機管理」に疑問を呈しています。

SNSはおもろいなぁ!

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の面白さを日々、実感していらっしゃる向きも少なくないと思います。

むろん、フェイクニュースの元凶にもなっているわけで、怖い面もあります。

それでも、うまく使えば有益な情報の発信をはじめ、人々の役に立つことは間違いなく、諸刃の剣と言ってよいでしょう。

5月27日、このところのトップニュース「加計学園問題」について、気になるコメントがFacebookに載ったので、ちょっとご紹介しておきます。

安倍首相夫人・昭恵さんに対するある方の投稿です。

「前川喜平氏を貶めることは、氏の妹が中曽根博文議員に嫁いでいることから、父の中曽根康弘氏をも貶めることになりますよ。しかも喜平氏の祖父である喜作氏が目白に創設した学生寮『和敬塾』で世話になった卒業生たちは、政財界の要職に就く者も多く、三島由紀夫氏と一緒に市ヶ谷の自衛隊基地に突入できなかった『楯の会』の元メンバーも、喜平氏を貶めた事に憤ってますよ!どうでもいいような投稿を連日繰り返す貴女もまた、御主人同様、救いがたい人ですね!」(注・正しくは中曽根弘文)

もともとテレビのプロデューサーとのことで、仕事柄、それなりの情報を持っていてもおかしくないと思い、調べてみました。

そして、次のような情報が確認されました。

1)前川喜平前文部科学事務次官の父・前川昭一氏は、前川産業(現・前川)の元社長です。前川は前川製作所グループの不動産賃貸管理業の会社です。

2)前川前次官の妹・真理子さんは、確かに中曽根弘文参議院議員(元外務大臣)の夫人です。

3)前川前次官の父・前川昭一氏は、前川製作所の創業者・前川喜作氏の息子です。三男くらいの印象ですが、長男、次男が明記されているのに、記述がないので、ひょっとしたら…と思ったりもしています。

4)Wikipediaの説明を紹介しておきますと、前川製作所は次のような会社です。

・東京都江東区に本社を置く、日本の総合機械製造企業である。産業用冷凍機を始め、各種ガスコンプレッサーやそれらの周辺機器、食品加工機械などを製造・販売している。

・アンモニアを使った産業用冷蔵機では国内の60~70%、冷凍運搬船用の冷凍設備では世界の80%以上のシェアを占めており、世界三大冷凍機メーカーの一つと称される業界最大手

・年間売上は1238億円。会社概要による社員数(グループ全体)は4562人。

5)同じくWikipediaによれば和敬塾のほうは、次の通りです。

・公益財団法人和敬塾(わけいじゅく)は、東京都文京区目白台にある男子大学生・大学院生向けの学生寮。1955年(昭和30年)、前川製作所の創業者である前川喜作によって創設された。

・7,000坪の敷地に、東寮、西寮、南寮、北寮、巽寮、乾寮の全部で6つの寮がある。塾生は約600名、塾生の所属大学は約50校である。留学生もいる。

和敬塾の出身者は、私の周囲にもキャリア官僚、マスコミの役員など少なくありません。

そういえば、作家の村上春樹さんも出身者でした。

Wikipediaでは、大学1年の春から秋まで西寮生だったものの、和敬塾そのものが肌に合わず引っ越す。村上の代表作『ノルウェイの森』に出てくる寮は、和敬塾をモデルにしている、となっています。

このように、Facebookに上がった方のコメントをたどっていくと、大筋で間違いないことがわかりました。

そして、「前川喜平氏を貶めることは、氏の妹が中曽根博文(弘文)議員に嫁いでいることから、父の中曽根康弘氏をも貶めることになりますよ」という男性の指摘に副っていえば、安倍内閣というか、菅官房長官というかはともかく、前川前次官に関する情報収集に手抜かりがあったということかもしれない、と思ってしまうのです。

加計学園問題の展開、それに関する安倍内閣の対応とは別に、国家の危機管理という点から注目しています。(小川和久)

 

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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【著者】 小川和久 【月額】 初月無料!月額999円(税込) 【発行周期】 毎週 月・木曜日発行予定

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