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破ったのは200年の常識。日本発ニュータイプ聴診器の姿と実力

世の中で「アタリマエ」と思われていることに疑問を持った人・企業が成功を収める例は枚挙に暇がありません。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者・青山烈士さんが紹介するのは、実に200年もの間変わることのなかった「聴診器」のデザインを一変させ好評を得た上に、世界有数のデザイン賞を受賞するという高い評価をも受けた企業。その戦略・戦術とは?

デザインの価値

200年変わることのなかった「聴診器」を リ・デザインしたことで注目を浴びている企業を分析します。

クラシコ(医療用品の 企画・製造・販売)

今回はクラシコの新しい聴診器「U scope(ユースコープ)」にフォーカスをあてます。

戦略ショートストーリー

医師をターゲットに「専門家を集めた共同開発体制」に支えらえた「美しいデザイン性」「機能性」などの強みで差別化しています。

デザインに徹底的にこだわったからこそ、世界三大デザイン賞のうち2つで受賞するなど、高い評価を得ることにつながっており、注目を浴びています。

分析のポイント

ザインの価値

「なぜ聴診器は常にこのカタチなのか?」
「本当にこれが理想のカタチなのか?」

というデザインへの疑問から、聴診器「U scope(ユースコープ)」は生まれたようです。約200年間、ほとんど形状(デザイン)に変化がなかったことを考えるとクラシコのように聴診器の「見た目」に疑問を持てることはすごいことだと思います。

今回の事例からみても、世の中に常識として認識されていることに疑問を持つことが、大きなビジネスチャンスにつながることが多いように感じます。

本メルマガでも、Vol.16にて紹介した腕時計メーカーKnotノット)」は腕時計の本体とベルトはセットという業界の常識を疑ったことが成功につながっていました。

Knot(ノット=カスタムオーダーできる国産腕時計メーカー)

また、有名なところでは、パイロットコーポレーションはボールペンは消せないという常識を疑い、消せるインクのボールペンを開発し、大ヒットとなりました。

ぜひ、一度、ご自分のビジネスについても疑問を持って見てみてはいかがでしょうか。

また、クラシコは機能だけでなく、デザインで勝負していることがポイントです。機能や価格を売りにする企業が多い中で、クラシコは業界に新しい競争の軸を持ち込んだということです。

これは、自分たちの得意な土俵で勝負しているということでもあります。強みを活かして戦うという戦略上、重要なことを実践できていますね。

最後にデザインの重要性について紹介しておきましょう。ベストセラー作家のダニエル・ピンク氏の名著「ハイコンセプト」より引用↓

ロンドン・ビジネススクールの調査によると、製品デザインへの投資が1%増えるごとに、売上と利益は平均して3~4%増加するという。同様に、他の調査によると、デザインを非常に重視している会社の株価は、さほどデザインを重視していない同業他社の株式を大幅に上回っていることがわかる。

いかがですか。ビジネス上、デザインが無視できない要素であることをご理解いただけたのではないでしょうか。さらに驚きの調査結果が同書に紹介されていました↓

デザインの良い部屋に入院していた患者のほうが、あまり感じの良くない病室にいた患者よりも、鎮痛剤の投与量がすくなくてすみ、平均して2日早く退院できたという。

デザインの力はすごいですね。もしかしたら、クラシコの聴診器「U scope(ユースコープ)」も患者に良い影響を与えているのかもしれませんね。

今後、世界にクラシコの聴診器が拡がっていくのを期待したいです。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.美しいデザイン性

2.機能性

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「専門家を集めた共同開発体制」

上記のような「共同開発体制」と「技術」が強みを支えています。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

「聴診器『U scope(ユースコープ)』」

■売り値

■売り方

「世界三大デザイン賞のうち2つで受賞実績』」

「U scope クラシコメンバーズ保証」

■売り場

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: 「U scope」公式ホームページ

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また、これから社会人になる方には、就職活動で避けては通れない(面倒な)企業分析に役立てていただければと思います。
テキストのみでなく、図表を用いてわかりやすさを大事にしています。

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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