生涯現役を貫き、「望ましい生き方と人生の終え方」を提唱し多くの方に影響を与えた聖路加国際病院名誉院長・日野原重明先生が、105歳の天寿を全うされました。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、「よど号ハイジャック事件」を境に大きく変わったという日野原先生の人生観を、先生ご自身が詠まれた俳句などを引きながら紹介しています。
追悼・日野原重明先生
聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が、105歳の天寿を全うされました。その追悼の意味を込めて、日野原先生について紹介した『致知』2012年4月号特集総の一部を紹介します。
100歳はゴールではなく…
人生は順逆の連続という。順逆をこえるとは、順境にも逆境にも負けない自分を創るということである。
日野原先生の100年の人生にも、順境逆境は繰り返されたろう。それをこえ、いまなお使命に生きておられるお姿には神々しさがある。
1970年、日航機よど号ハイジャック事件があった。日野原先生はその機中にいた。58歳だった。事件四日目、乗客は全員無事、韓国・金浦空港で解放された。
靴底で大地を踏みしめると、「無事地上に生還した」の思いが膨らみ、これからの人生は与えられたもの、人のために生きよう、という決意に繋がっていったという。
帰国した日野原先生を、1,000人を超す人たちからのお見舞いやお花が待っていた。その礼状に奥さまが書き添えられた。
いつの日か、いづこの場所かで、どなたかにこの受けました大きなお恵みの一部でもお返し出来ればと願っております。
この言葉が日野原先生第二の人生の指針となった。
昨年末、NHKテレビで日野原先生のドキュメンタリー番組が放映された。インフルエンザで39度の熱がありながら、子供たちとの約束だから、と地方講演に向かわれる姿をテレビは映し出していた。その先生が作られた俳句がある。
100歳は ゴールではなく 関所だよ
人生の順逆にほほえみを持って立ち向かわんとする姿が、この句に表れている。