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中国に関税25%。大統領選支持率No.1のトランプ氏に見る米国の本音

アメリカの次期大統領選に立候補を表明したドナルド・トランプ氏。不動産王として世界に名を馳せる氏ですが、暴言王としても世間に認知されています。実際、今回のキャンペーン中も言いたい放題ですが、支持率はトップ。高城剛さんはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』で、そこには現在のアメリカの真の姿が隠されていると分析しています。

米次期大統領選、トランプ氏の本気とアメリカの真の姿

今週は、2016年米国大統領選共和党候補首位に躍り出たドナルド・トランプ氏について、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

今年69歳になったドナルド・トランプ氏は、米国を代表する不動産王として世界的に知られています。自身が建造、もしくは買収した物件に「トランプ・タワー」、「トランプ・プラザ」など自身の名を冠することからわかるように、自己顕示欲の強さで知られる人物でもあり、メディアの露出も多くあります。

このトランプ氏は、事あるごとに大統領選に共和党候補として出馬表明およびそのそぶりを見せ続けてきましたが、今回は年齢的にもどうやら「本気」であるようだ、というのが多くの識者の見方です。この「本気」とは、「本気で大統領になる」こととは少し違います。トランプ氏は、「言いたいことを本気で言う」ことを誓ったようだ、と今回言われているのです。

当たり前ですが、「言いたいことを本気で言う」と、大統領候補への道は閉ざされてしまいます。かつてのトランプ氏は、それなりに大統領になるつもりで、それなりに控えめに発言していましたが、今回は違います。あらゆる禁忌を破り、大胆な発言をし、しかし、それが混沌とする米国で評価されているのです。

共和党にはキリスト教の「十戒」にひとつ加えた「十一戒」と呼ばれるものがありまして、それは「選挙キャンペーン中に共和党の悪口を絶対に言ってはいけない」というものです。しかしトランプ氏は、共和党から出馬表明し、共和党の指名を獲得しようとしているのにも関わらず、共和党についての暴言がかなり目立ちます。マケイン議員をバカにするような発言はまだしも、共和党内の公開討論で対面する議員に、実業家として「彼にお金を渡したことがある」と露骨に話すのです。

さらに、メキシコとの国境に万里の長城を築き、中国製品に関税を25%かける計画を堂々と話すなど、どこまで本気なのかわからない発言も目立ちますが、多くの米国人が感じていることを代弁して人気を博していることは事実です。

この背景には、いくつものアングルがあります。

ひとつは、現在共和党候補が10人以上いるため、テレビ討論には上位5-10名程度しか出ることができません。すなわち、過激な発言だろうがなんだろうが、注目を集めなければ出演機会を得られないことになり、事実上「そこまで」になってしまいます。

続いては、今回の出馬表明も単なる自己顕示欲の表れに過ぎないという見方です。そして最後は、昵懇であるヒラリー・クリントンに勝たせるために、わざと共和党内をかき回している、というものまであります。

面白いのは、トランプ氏が「アメリカを取り戻す」と大きく喧伝している点で、これは安倍首相が「日本を取り戻す」と発言することに似ており、その実、この2人の考え方には共通点も多く見受けられ、隣国や中国との関係性の見直しは最たるものだと思います。

現在、次点のジェブ・ブッシュ氏に2倍以上のポイント差をつけて戦闘を突っ走るドナルド「暴言王」トランプ氏。そこには、現在のアメリカの真の姿が隠されているのです。

 

高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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