小池都知事は25日午後に開かれた会見で突如、若狭氏らが結成する新党名が「希望の党」に決定したと発表、さらに自身が都知事と兼務で代表に就任すると宣言しました。これにより、次期衆院選の流れが大きく変わるのは必至です。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係研究者の北野幸伯さんが、安倍総理と一部重なる部分もある「希望の党」にどれほどの票が流れるかも含め、選挙戦について詳しく分析しています。
希望の党の政策と戦略
小池さんが25日、「希望の党」を立ち上げました。この党の政策と戦略は、どうなのでしょうか?
今までにわかっていることを書きます。
まず、希望の党は、「憲法改正」に賛成である。安倍総理と同じですね。次、「消費税再引き上げ」に消極的である。
消費税率10%への引き上げについては「まだ実感が伴っていない景気回復を解決しなければ、むしろ水を差す恐れがあるのではないか」と述べ、消極的な考えを示した。
(時事 9月25日)
これは、安倍総理と違いますね。総理は、消費税を引き上げると断言しています。次、希望の党は、「脱原発」である。これも安倍総理と違います。総理は、「原発容認」です。
というわけで、安倍総理と小池さんの同じところと違うところは?
まず同じところ。
- 小池さんは、「希望の党は保守だ!」と宣言している。
- 安倍さんも保守。
- 小池さんは、改憲を支持している。
- 安倍さんも改憲推進。
違うところ。
- 小池さんは、消費税引き上げに消極的である(もっとはっきり「反対だ!」と宣言するべきでしょうが)。
- 安倍さんは、消費税再引き上げに賛成である。
- 小池さんは、脱原発である。
- 安倍さんは、原発容認である。
で、どうなる?
小池さんは、「保守」で「憲法改正支持」である。これは、安倍さんと変わりません。それで、「最近まで安倍さんを支持していたが、森友・加計問題で幻滅した保守層」が、希望の党に流れる可能性がある(狙いがある)。
さらに、小池さんは、「消費税再引き上げに反対」である。安倍総理を支持していた有名人で、「消費税引き上げに反対して離れた人」は、たくさんいます。昔の総理支持者で、「消費税再引き上げに反対」の人たちが、小池さんに走る可能性があります。
小池さんは、「脱原発」である。安倍さんは、「原発容認」である。これは、「保守層」だけでなく、「リベラル票」も稼ごうと。ちなみに、小池さんは、いまや「脱原発派のトップ」になった小泉元総理と会っている。小泉さんが、積極的に動きはじめれば、これも大きな追い風になります。
こう見ると、希望の党が票を奪うのは、
- 自民党
- 民進党
- 日本維新の会
でしょう。特に、民進党は壊滅的打撃を受けそうです。固定票の多い公明党と共産党は、あまり変わらないでしょう。
小池さん、最大の戦略
そうはいっても、国民の大半は、「政策」を吟味しないかもしれません。要するに、今回の選挙は、「安倍さんか小池さんか?」ということですね。そういう構図にしたのは、もちろん小池さんです。そう、小池さんの戦略は、国民の頭を
「安倍 対 小池」
にしてしまうこと。安倍さんは、森友・加計問題で傷を追い、長期政権で飽きられてきている。しかし、小池さんには、まだまだ勢いがある。(それで、続々と希望の党に人が集まってきている)。
流れは「希望の党」にありそうです。第2党は手に届くところにありますね。第1党も可能性はありそうです。
ちなみに私は、「外交」「安全保障」の実績から、安倍総理の続投を願っています。
image by: 首相官邸