秋の味覚の王様「マツタケ」の人工栽培の研究中に偶然誕生したという「松きのこ」。風味はマツタケにそっくりだそうですが…、そもそも「タケ(茸)」と「きのこ」には、どのような違いがあるのでしょうか。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さんが、その謎に「納得の答え」を出しています。
「きのこ」と「たけ」
収穫の秋。美味しいものがたくさん採れる時期ですが、秋の味覚の代表格の一つが松茸(マツタケ)。なかなか庶民の口には入ってこない食材ですが、あのなんともいえない香りは、日本の秋らしい…と私は感じます。
さてこのマツタケの一大生産地だった広島県世羅町では、天然のマツタケの収穫量が減少していったことから、人工栽培の研究に着手しました。残念ながらその研究はうまくいかなかったのですが、なんとその過程で別のきのこが生まれました。
名付けて「松きのこ」だとのこと。
これが風味はマツタケのように豊かで、無農薬、無菌栽培。生食も可能ということで、注目を浴びています。
松茸ならぬ松きのこ。
ん? 「茸(たけ)」と「きのこ」って何が違うの?
という疑問が湧いてきました。そもそも「きのこ」とはなんでしょう? 簡単に定義を書くと、菌類がつくる子実体(しじったい)の比較的大型のものを指します(あるいはその菌類も)。朽木や木に出てくることが多いので「木の子」というのがその語源だと思われます。しいたけ、まいたけ、えのきたけなどなど、みなさんがイメージするものを指してまとめて「きのこ」です。
おやおや? 名前の後ろに共通して「たけ」が付いていますね。
そうなんです。きのこ類の名前には、その種類を表す接尾辞として「たけ」がつくものが非常に多いんです。つまり「たけ」は種類の目印なんです(関西では「たけ」できのこを意味する語として使うこともあるとされています)。
あらためて思い返すと、「○○たけ」はあっても「○○きのこ」という名前のきのこはありませんね。
自然界にはないけど、人工栽培の研究過程で生まれた新しいきのこ。だから「松きのこ」という名前になったのでしょうか。なかなか面白いものです。
「たけ」はある程度独立性の高い接尾語なので、「しいたけ」「まつたけ」のように、濁りません。時々「えのきだけ」と濁りをつけた表記がありますが、本来は「えのきたけ」と濁らないのが正しいのです。
濁ってしまうのは、それだけ古くから人々の食用として親しまれてきた結果だろうと思いますが。
あと、きのこ類には、食べると非常にきつい中毒症状を引き起こすものがあります。きのこ狩りに行って採ってきたものは、必ずきちんと食用かどうかを確認してから食べましょうね。
image by: Shutterstock.com