ネット販売の勢いが加速するなか、SEO対策などに代表される「WEBマーケティング」に関心を示す経営者の方も多いのではないでしょうか。無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者・梅本泰則さんは、そんなWEBマーケティングの技術や得られる成果を紹介した上で、「大事なのは中身である」と力説しています。
■WEBマーケティングに振り回されない
ネットショップZOZOタウンの2017年の商品販売高は2,705億円になりました。この3年間で約3倍と、すごい伸び率です。また、楽天の商品取扱高は約3.4兆円とのこと。これも毎年伸びています。そして、アマゾンにいたっては、日本での売上は1兆円を超え、米国ではインターネット販売市場の47%のシェアに達しているそうです。
このように、ネット販売の勢いはものすごいものがあります。ですから、多くの企業、店舗がホームページやネットショップに力を入れるのは当然でしょう。
しかし、ネットは新しい世界です。従来とは違った知識や手法が必要となります。そこで、「WEBマーケティング」を得意にする人たちの登場です。彼らは、ホームページにお客様を吸い寄せたり、ネットショップで売上を上げる方法を伝授してくれます。その方法の一端を見てみましょう。
まず最初に「SEO対策」を勧めてきます。誰かが検索をしたとき、自社のホームページアドレスを上位に表示させる手法です。上位に表示されれば、ホームページを見てくれる確率が高くなります。とはいえ、ホームページの作り方がまずければ逆効果ですのでデザインの変更を勧められることもあるでしょう。
次は「アクセス解析」です。グーグルアナリティクスなどのソフトを使って自社のどのページがよく見られているかを分析します。ページごとの滞在時間や、どの曜日のどの時間帯に見られているかということも時系列のグラフで分かるので便利です。その結果、見られているページをさらに強化するか、見られていないページを変更するといった検討がされます。
その次は「リスティング広告」です。
■WEBマーケティングの成果
リスティング広告は、検索ページの上部にある広告ゾーンに広告主のページアドレスが表示されるしくみになっています。一見、検索ページと同じように見えますので、興味のある人は思わずクリックをしてしまうかもしれません。これもWEBマーケティングの専門家にとっては、得意中の得意技です。
「リターゲティング」という広告手法もあります。これは、あなたがあるサイトのページを見たとき、別のサイトに移っても前のサイトの会社や商品が小さく表示される広告手法です。しばらくの間追いかけられている気分がするので、個人的には好きな広告手法ではありません。
また「リマインダー」という広告方法は、アマゾンでよく経験されているように、個人の好みを分析して商品を勧めてくる手法です。当然、広告ですからどれもそれなりの費用がかかります。
その次は「コンバージョン率」です。これが、WEBマーケティングの成果となる指標でしょう。コンバージョン率とは、ホームページ(サイト)を訪れた人が実際に商品やサービスを購入したり、会員登録や資料請求を行った人の割合のことです。この比率が高いほど、良いホームページを作ったことになりますし、良い広告を出したことになります。
SEOにしても、ページを見てもらうのが目的ではなく結局のところ購入や請求につなげることが目的なのです。そして、最近では購入につなげるために「WEB接客」という手法まで現れてきています。ページを訪れた人に、実際のお店のような対応をしていくツールです。
このように、WEBマーケティングは進歩をしながらより細かい世界に入っていっています。
■ホームページの本質
いかがでしょうか。WEBマーケティングに興味のない方には、何のことやらさっぱりわからないことでしょう。私は、それで構わないと思っています。なぜなら、WEBマーケティングに詳しくなったとしてもそれで本当にお客様や売上が増えるかどうかは分からないからです。
WEBマーケティングにはまっていくと、どんどんとそこに時間を費やすことになります。次から次へと新しい知識や手法が出てくるので、いちいち対応するのが大変です。「SEO対策」ひとつとってみても、頻繁に検索表示のルールが変わっていっています。その都度「SEO」のやり方を変えなくてはなりません。
アクセス解析もそうです。便利なツールですから、その解析結果ばかりにとらわれるとページの修正をしたくなります。仮にワードプレスのような無料の作成ソフトを使っていてもページの修正に時間はかかるのです。しかも、その成果は明確には分かりません。コンバージョン率をあげようと、試行錯誤を繰り返すことにもなるでしょう。ですから、あまりWEBマーケティングの手法にのめりこむことはお勧めしません。
それよりも大切なことは、ホームページの中身そのものです。ホームページの役目は、検索上位やコンバージョン率にあるのではありません。あくまでホームページは、訪れた人に自社や自社の商品のことをよくわかってもらうことです。そして、訪れた人の役に立つページであることが大切なのではないでしょうか。
そうした意識でホームページの内容を更新し続けていけば、SEOに力を入れなくても検索されるはずです。役に立つページであれば、勝手に人が訪れてくれます。そして、そこで提供される商品やサービスが良ければ、きっと購入してくれることでしょう。
所詮WEBマーケティングはテクニックでしかありません。大切なのは、ホームページの本質を考え実行していくことなのではないでしょうか。
■今日のツボ■
・WEBマーケティングの手法は日々進歩している
・WEBマーケティングに一生懸命になると、振り回される
・ホームページの本当の役目を考えれば、成果につながる
image by: Shutterstock.com