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日本もやられ放題。台湾の選挙にも介入し妨害する中国の「姑息」

先日の米中間選でも疑われた、中国による選挙への介入ですが、11月末に台湾で行われる地方統一戦にも中国の影がちらついているようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんは、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、「中国の介入は事実」との報道を引きながらその手口を紹介。さらに中国の選挙妨害は世界各国で行われており、「スパイ天国でもある日本はやられ放題」だと警告しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年11月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】台湾の選挙に介入する中国の実態

中国、来月の台湾・統一地方選に介入「事実」=頼行政院長

台湾では11月24日に、9種類の地方公職人員選挙が同日実施される統一地方選挙「九合一」選挙が行われます。

11月末の統一地方選挙、立候補届の受付は27日から31日まで

選挙の結果も当然重要ですが、今回は「公民投票」についても世界が注目しています。以下、重要な内容なので報道を長めに引用します。

台湾で過去14年間に実施した公民投票は6項目。2017年12月の「公民投票法」改正により、発議、実施、成立要件などが大幅に緩和されたことから、今回の公民投票はさまざまな記録を生み出している。まず、1回の公民投票で問われる議題が過去最多であること。投票権年齢が初めて18歳に引き下げられたこと。統一地方選挙と公民投票を合わせると、同時に受け取る投票用紙が過去最多となることなど。

 

中央選挙委員会によると、有権者はまず統一地方選挙の投票用紙を受け取り、投票を行う。それから公民投票の投票用紙を受け取って投票を行う。統一地方選挙の投票用紙は最も少ない人で3枚、最多は5枚となる。これに公民投票の投票用紙を加えた場合、投票用紙を最も多く受け取る人は15枚、最も少ない人でも13枚となる。公民投票は議題が10項目に上ることから、3項目、3項目、4項目に分けて、それぞれ用意された3つの投票箱に投入する。

(中略)

公民投票の10項目の議題は以下のとおり。

 

  • 「毎年平均少なくとも1%引き下げ」という方法で火力発電所の発電量を徐々に引き下げる方法に同意するか否か。
  • 「あらゆる火力発電所あるいは発電機(深澳火力発電所の建設含む)の新たな建設、拡充工事を停止する」というエネルギー政策の策定に同意するか否か。
  • 日本の福島県をはじめとする東日本大震災の放射能汚染地域、つまり福島県及びその周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)からの農産品や食品の輸入禁止を続けることに同意するか否か。
  • 民法が規定する婚姻要件が一男一女の結合に限定されるべきであることに同意するか否か。
  • の段階(中学及び小学校)で、教育部及び各レベルの学校が児童・生徒に対して「性別平等教育法(=ジェンダー平等教育法)施行細則が定めるLGBT教育を実施すべきではないことに同意するか否か。
  • 民法の婚姻に関する規定以外の方法で、同性カップルが永続的共同生活を営む権利を保障することに同意するか否か。
  • 台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に出場参加するとに同意するか否か。
  • 民法の婚姻章が同性カップルによる婚姻関係を保障することに同意するか否か。
  • 「性別平等教育法」が義務教育の各段階でジェンダーの平等に関する教育を実施するよう明記し、且つその内容が感情教育、性教育、LGBT教育などに関する課程を盛り込むべきだとすることに同意するか否か。
  • 「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある原子力発電所は2025年までにすべての運転を停止しなければならない」の条文を削除することに同意するか否か。

過去最多10項目の公民投票、11/24の統一地方選挙と同時実施へ

こうした事項を国民に問う国は世界各国を見渡しても、そう多くはありません。つまり、台湾の民主主義はかなり深く社会に浸透しているということであり、そのことに世界は注目しているわけです。

ただし、ここには「台湾の未来を決める」と主張して注目される喜楽島聯盟が訴える「台湾の独立が削除されています。今回もまた、「中華民国の政権体制内」での行政問題のみを問うものであり、ごまかしの意味が見え見えです。

真の公民投票とは何かをもう一度問うべきですが、私には投票権がありません。台湾を出て1年以上が経つと戸籍は自動消滅」するという新しい規定があるからです。それでも私は24日は台湾に行く予定をしています。投票権がないため見るだけです。

そして、選挙を目前に控えた今、台湾メディアでは中国の選挙妨害についてのニュースが目につきはじめています。中国が他国の選挙を妨害するという事実については、先ほどのアメリカの中間選挙の時にも話題になりました。

トランプ大統領は、目くじらを立てて中国の選挙妨害を批判しましたが、確たる証拠もないため、中国にのらりくらりとかわされてしまいました。

それどころか、中間選挙の結果、アメリカ国会がねじれ国会になってことについて、中国外務省の華春瑩報道官は、皮肉まじりに「選挙結果について言及する立場にはない。言及すれば、また内政干渉だと言われるからね」、などと涼しい顔でせせら笑っていました。

「中国が米中間選挙に介入を企て」 トランプ大統領が非難

そして、まさに今、同様のことが台湾に対しても行われているわけです。頼行政院長はかなり強い語気で、台湾の統一地方選挙に中国が介入してきていることを批判し、立候補者や有権者に注意を喚起しています。以下、引用します。

法務部(法務省)調査局の呂文忠局長は今月22日の立法院内政委員会で、中国が選挙に介入した疑いのある案件はすでに33件把握していると明かした。支援者を中国への旅行に招待するという手段が多く、それ以外にも資金を提供するなどの方法で選挙干渉を行っているという。境外の調査で困難な面があるとしつつも、すでに得ている証拠もあり、調査を進めていると説明した。

中国、来月の台湾・統一地方選に介入「事実」=頼行政院長

フェイクニュースを流して人心をかき乱す。これは、9月に台風21号の影響で関西国際空港に多数の旅行客が取り残された問題をめぐり、台湾人旅行客への支援が不十分だったとして、日本にある台湾の出先機関の対応が批判されていたことが原因で、台北駐大阪経済文化弁事処領事館の蘇啓誠処長が自殺した事件を思い出します。このときも、中国のフェイクニュースが原因でした。

台湾人「外交官」を自殺へと追い込んだ、中国の卑劣な偽ニュース

フェイクニュースは、場合によっては人の命まで奪ってしまうのです。頼行政院長が深刻に注意喚起するのもわかるというものです。

以前の中国は、台湾の周辺海域で軍事演習という名目で実弾による演習をしたりして、軍事というわかりやすい形で台湾を脅していました。しかし、昨今はフェイクニュースの流布や観光客の台湾渡航禁止など、あらゆる方面からより陰湿な手段で台湾いじめを展開しています。

中国に居住する台湾人に対して、中国人と同等の待遇を与える居住証の発行を開始したのも、選挙妨害のひとつではないかと台湾メディアはみています。ビジネスで中台を往復している台湾人は多く、台湾と中国の両方に居住しているケースも多くあります。

そうした台湾人に「居住証」を発行し優遇するという甘い言葉で囲い込み、選挙に行かせない、あるいは選挙で国民党に投票させるといった根回しです。台湾の大陸委員会の陳主任委員は、この事実について以下のようにコメントし、やんわりと中国から引き揚げたらどうかと提案しています。

居住証を取得した人の台湾の戸籍を即座に取り消すことはないと改めて約束し、取得者に対しては、政府に知らせるよう呼び掛けた。

 

陳氏は、米中貿易戦争が激化していることに触れ、台湾企業にとって中国大陸での発展の先行きが不透明になっているとし、「現在はまさに台湾企業が投資先を考え直す重要な時期」と語った。

中国大陸が台湾人居住者に「居住証」発行 北京への監視強化へ=大陸委

ほかにも、中国側が暴力団を使って何かしらを画策したり、支援者や候補者を航空券代を負担するという形で中国に招待したりといった事実が明るみになっているようです。

11月末の統一地方選「中国の介入防止を徹底」=頼行政院長/台湾

中国のこうした卑劣な選挙妨害の証拠をつかむことはなかなか難しいですが、台湾人は甘い誘惑やフェイクニュースなどに惑わされず、誇りをもって台湾の民主主義を死守して下さい。そして、間違っても中国の妨害工作によって死者が出るような事態が起こらないよう祈るばかりです。

「選挙」という言葉は、約2,000年以上も前に出てくる「漢字語」です。そのため、学者の中にはこの言葉が出てくる2,000年前の漢の時代からすでに中国には民主主義制度があったと説く人がいます。

しかし2,000の「選挙」の言葉の概念は今とは全く違うものでした。もともとの意味は、民衆の選挙ではなく、地方で「名声」を得ている賢人と有能な人々を、政府が選出して登用するという意味でした。

名声ある地方の賢人は、「親孝行」で名を売る豪族の指定に限りました。「選挙」という漢字は同じでも、意味は全く逆でした。「漢字」の性格としては、保守性と虚飾性を持つもので、「選挙」の意味も同様です。今の中華人民共和国でさえ、民意を問うシステムは今だに確立していません。ちなみに「人民」は和製漢語です。

中国の選挙妨害はかなり組織的で、台湾以外にも日米をはじめとした世界各国に使われています。日本の政治機構は「スパイ天国」と言われるように、じつに甘いので、やりたい放題です。

2013年に特定秘密保護法が制定されましたが、主に公務員による特定秘密の情報漏洩を防ぐものであって、スパイ活動そのものを取り締まるものではありません。

世界でスパイ防止法がないのは、日本くらいなものです。スパイは情報戦も含めてさまざまな工作活動を仕掛けてきます。中国やロシアによる選挙への介入がこれだけ世界で騒がれているわけですから、日本も「スパイ防止法を早急に設けるべきです。

image by:Drop of Light / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年11月13日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込648円)。

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