零細ベンチャー企業が大躍進を遂げ、大をなす優良企業となった一番の例が「京セラ」ではないでしょうか。今回の無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、その創業者である稲盛和夫氏の言葉から、同社の戦略、そして大きな成果を生み出すための基本である「コアコンピタンス」とは何なのかを紹介しています。
普遍のコアコンピタンス
京セラの「戦略」について、そのあり様を見て行きます。零細でしかなかったベンチャー企業が、どんな手立てでもって現在のような大をなす優良企業になったのか。
さらりと京セラの「戦略」を概略します。稲盛和夫さんが同志7人と「自分たちの技術を世に問う」として創業を決断したのは「ファインセラミックス」に大いなる将来性があったからです。ターゲットはそのころ勃興してきたエレクトロニクス産業です。そしてポジショニングは、自分たちの培ってきた技術が活かせてかつ他メーカーが参入困難な「絶縁セラミック」部品の供給でした。
「『戦略』こそ、賢い経営者が行わなければならない最も基本的な経営手法である」と言おうとして、少し躊躇するものがチラリと頭を過ます。と言うのは、いつもいつもそうなのですが「大いなる成果」が成されるについては、そこには手法などといった合理性だけではどうにもならない「大いなる苦闘」があり、それを乗り越えて行かなければならないからです。
稲盛さんはこのように言っています。
私は、京セラが他の事業分野の参入しても同様に成功したはずだと思っている。なぜなら、京セラは新しいビジネスにチャレンジし、成功するために必要なものをすべて備えているからである。それを果敢に挑戦する姿勢だ。
私は、新しい事業チャレンジし続けた。どのような困難に遭遇しようとも絶対に諦めはしなかった。
松下幸之助さんは、
失敗すればやり直せばいい。やり直してダメなら、もう一度工夫し、もう一度やり直せばいい。
経営をする時になにが一番大事かといえば、その仕事をすすめる人、その経営者の、熱意やね。溢れるような情熱、熱意。そういうものをまずその人が持っておるかどうかということや。熱意があれば知恵が生まれてくる。
と言われています。稲盛さんも松下幸之助さんも「大いなる成果」を生み出させる基本の「コアコンピタンス」を「情熱、熱意」だと言っています。
稲盛さんの言葉を拾い上げて行くと。
ベンチャー企業の経営者というのは、停滞していること、安定していることを望まない人でなければならない。あふれる希望と、限りない夢を未来に描ける人でなければならない。常識にとらわれないで努力をすれば可能性が開かれるのだと信じている人でなければならない。
続けて
「こうありたい」「こうすべきだ」という強い意志は、その人の奥底にある魂そのものからほとばしり出るものでなければならない。
どんな困難に出会っても、決して諦めない、必ず実現させるという強烈な思いがなければ、新規事業の成功も、多角化も不可能である。
潜在意識まで透徹するほど願望を持ち続けることによって、自分の立てた目標を貫徹しよう。
と。
「マルチレイヤー(積層)ICパッケージ」、これは京セラのエポックメーキングになった製品だと稲盛さん自身が言われていますが、この製品は、それまでの京セラの技術水準をはるかに超えるもので、それもわずか3か月の内に完成させてほしいとの依頼であったのでした。結果から言えば、2か月間の不眠不休の末、何とか試作品を作り上げました。
ベンチャー企業が大飛躍させる「普遍のコアコンピタンス」は当然のこととしての「情熱、熱意」ということになるのでしょうか。また、松下幸之助さんなのですが「知識なり才能なりは必ずしも最高でなくてもいい、しかし『熱意』だけは最高でなくてはならない」「才能なきことを憂うる必要はないが『熱意』なきことをおそれなくてはならない」とします。
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