ビジネス書に冠された魅力的なキャッチコピーの数々は、「読めば本当に成功するかも」と思わせるものばかりですが、残念ながら、そう簡単にはいかないようです。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、「90%以上の人はうまく行かずに成功法則難民になる」とした上で、本当に成功するための秘訣をレクチャーしてくださっています。
コンサルタントがいう成功法則や魔法の言葉とは?
「一瞬で売上が伸びる法則」
「成約率が10倍!魔法のフレーズ」
などなど、一見するととても魅力的なキャッチコピー。こうしたコピーが書籍のタイトルになっていることがよくあります。あなたもネットや書店でたくさん目にしてきたことでしょう。
このようなコピーやタイトルには、ワクワクするし、ついついその本や情報を入手してしまう、という方も多いのが現実です。そして、実際に書かれている内容も体系立てられたものや感情を揺さぶるようなフレーズがずらりと並べられています。
「ほんとにこのとおりにやれば上手くいきそう!」
なんて風にテンションも上がります。そして「自分に当てはめよう」とします。さらに、当てはめることで期待値が高まります。
ですが、実際にやってみるとわかりますが、そうそう簡単に上手くいくものではありません。90%以上の人は上手く行かないのです。そして「他にないか?」とまた同じようなフレーズの本や情報を探しさまようようになります。
いってみれば、成功法則難民です。これこそが、思うツボなのです。
みんながみんな上手く行ったら、そのような類の本や情報は1つで良いはずですから、難民向けに次から次に同じようなコピー、タイトルのものがが溢れ、売れるのです。
逆にいえば、難民は、同じような類のものを次から次へ求め無駄な時間とお金をどんどんと注ぎこんでしまい、挙句、自分にはなんの成長や学びにもならないということに気がつかないのです。かつての僕がそうだったように…。
つまり、法則とか方程式、魔法という言葉を使うのは、出版社、販売者、情報提供者側が、売れるからそうしたタイトルやコピーにしているだけ。それ以上でも以下でもありません。従って、法則や方程式、魔法などというものはあくまで他人のものである、と割り切っておくことです。売り手による「魔法の言葉である」と肝に銘じておくことです。
よしんば、法則や方程式に当てはめて上手く行っても所詮、そこまでか、一過性で終わるかがオチです。それ以上の成功を手にすることはできません。みんなやっていることですから、まだまだ他の人と同じレベルです。抜きん出た成功を手にすることはできません。
抜きん出た成功を手にしたいというのであれば法則や方程式にのかっるのではなく、法則や方程式がどのように出来ているのか?という本質部分に焦点を絞り、自ら、自分自身のためだけの法則や方程式を創り出すことです。それが出来ると、他より抜きん出た成果が出せるのです。
難しく聴こえるかも知れませんが、難しいことでもなんでもなく、目の前の仕事、現場にヒントはいくらでも転がっています。
以前こんなことがありました。僕が某営業会社で営業マンのコーチングをさせていただいたときのことです。5人の新人営業マンがいました。会社が作ったマニュアル「成約率を高める営業トーク」を使い、日々ロープレをしていたのですが、一向に成果が上がりません。
理由は、はっきりしていました。営業の現場ではマニュアル通りにことが進まないからです。そのマニュアル通りに話を進めようとしても最後まで行き着かないからです。そもそも面談が出来なかったりするからです。
そこで、僕はこういいました。「マニュアルを捨ててください。マニュアルを覚えても意味がない。営業で断られるのは当たり前。なので、断られた言葉を覚えて帰ってきて下さい」と。
それからです。毎日毎日、外回りからショボンとして帰ってきた営業マン5人に「今日はどんな風にどんな言葉で追い返されましたか?」ということを聞くと
「間に合ってる」
「もうその手のサービスは他で使っている」
「忙しいから来るな」
「必要があれば連絡する」
「時間がないから」
などのレスポンスがありました。これこそが、宝なのです。「????」となったかも知れませんが、上記の断り文句を見ていると、大抵が同じような断り文句であることに気がつくでしょう。つまり、断る方は、何も考えておらず、とりあえず断っているのです。
このことを知るだけでも、営業マンにとっては「人格を否定されたような」とか「何もかもダメだ」とか「自分は営業に向いていない」なんていうような精神的苦痛から逃れることができるのです。要は、“断られて当たり前”を体感していることを実感することができるのです。しょんぼりする必要は無いということが理解できます。
そして、次に行ったのが、こうした断り文句に対して自分だったらどう対応するか?ということをみんなで1つ1つディスカッションしてもらいました。これを繰り返し、自分達の手でリアルな台本を作ってもらうことにし、それを基にロープレではなくショートコントをしてもらったのです。ロープレというと堅くなるので、みんなで楽しんでやってもらうためにショートコントにしました。
それからというものの、断られてもみんなショボンとして帰ってくるのではなく、「今日のショートコントのネタを見つけてきたぞ」と笑顔で意気揚々と会社に戻ってくるのです。まぁ、成約できてないのに笑顔で帰ってくるなんて…という声もあるでしょうが(汗)。
こうしたことを1ヶ月、2ヶ月と繰り返していくと、3ヶ月目から徐々に成約ができるようになっていきました。うち1人は、全国で200名ほどいる営業マンの中でトップ3入りを果たしたのです。入社3ヶ月で、です。これはこの会社では前例が無いことでした。他の4人もベテラン営業マンに遜色ない成果を上げるようになっていました。
おそらく最初に会社が用意したマニュアル通りにやっていたら今でも断られ続ける営業マンだったことでしょう。自ら考え、行動して、初めて他人とは違う結果が出るのです。方程式や法則に当てはめていては得ることができない成果です。
他より抜きん出た成果を出したいという意欲があるのであれば、法則や魔法に踊らされず、実践の中で何を感じ、どう考え?どう学びに変えるか?です。
最後にもう1度、法則や方程式という言葉は、コンサルタント含め売り手の為の法則、方程式であり、魔法という言葉は、本、情報を売るための魔法なのです。
■今日のまとめ
「成功法則や魔法の言葉は、所詮、売り手に都合の良い言葉」
- 仕事の中で学び、成長していくとはどういうことか?社内で話しあう
- 上記の声をまとめ、社内がそういう学びやすい環境にあるか?検討する
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