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軍事費3.7倍。核保有の中国に日本が負けないため取るべき現実策

3月5日、中国の国会にあたる全国人民代表大会で、2019年度の軍事費などが発表されました。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、実に我が国の3.77倍の軍事費を計上した中国と単独で争うことは非現実的とした上で、今後日本が取るべき政策を提案しています。

中国の軍事費は日本の何倍?

「日本に沖縄の領有権はない!」と公言している中国。この国の軍事費は日本の何倍なのでしょうか?答えを紙に書いてから、つづきをみてください。

中国軍事予算、7.5%増の19兆8,500億円

読売新聞 3/5(火)9:35配信

 

【北京=中川孝之】5日に開幕した中国の第13期全国人民代表大会(全人代=国会)第2回会議に合わせ、2019年の中国の国防予算(軍事予算)が前年比7.5%増の1兆1,898億元(約19兆8,500億円)と発表された。伸び率は昨年(8.1%)より抑制されたが、19年の国内総生産(GDP)成長率目標(6~6.5%)を上回った。

約19兆8,500億円だそうです。では、日本の防衛予算は?2019年度は、5兆2,600億円だそうです。

19兆8,500億円 ÷ 5兆2,600億円 = 3.77

というわけで、中国の軍事費は日本の防衛予算の3.77倍です。ちなみにストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国の軍事費は2017年2,280億ドル。同年、日本の防衛費は、454億ドル。ここでは、中国の軍事費は日本の5倍(!)となっています。

というわけで、中国と日本の軍事費の差は3.7~5倍ある。これは「決定的な差」といえるでしょう。中国には核兵器もあるので、常識的に考えると、「日本単独で中国に勝つのは困難」という結論になります。

勝つために、防衛予算を4倍化する?北朝鮮のように過酷な経済制裁を覚悟して、核保有を目指す?「ただの経済制裁」だけでも大変ですが、もしエネルギーを止められたらどうすればいいのでしょうか?

こう考えると、日本は現状中国と単独で争うのは難しい。結局、「日米同盟を強固に保つことが日本にとっては最善最安の道であることがわかります。これ、「属国論者!」と怒りたくなる人もいるかもしれません。そんな人は、中国に対抗する現実的策」を示していただきたいと思います。

「アメリカに守ってもらっている国」は多い

「自分の国を自分で守れないなんて恥ずかしい!」という人は多いと思います。「自分の国を自分で守れる『普通の国』になりましょう!」という人も多いでしょう。

とはいえ、世界の現状を見ると、「アメリカに守ってもらっていることを恥ずかしがる必要はないことがわかります。たとえばNATOの加盟国は29か国。そのうち28か国は、「アメリカに守ってもらっている」といっていい。

なぜか?欧州の国々だけでは、ロシアに対抗できないからです。NATOには、イギリス、フランスのような核保有国もいる。ドイツのような経済大国もいる。それでも、核超大国ロシアに対抗するためにはアメリカに守ってもらうしかない

というわけで、「日本は中国に対抗するためアメリカに守ってもらっている」こと、別に恥ずかしくありません。あれこれ考えて、それが「戦略的にもっともいいからしてる」と思っていればいい。

軍事的自立は、アメリカの衰退を埋める形で

そうはいっても、やはり「いつまでもアメリカだよりというわけにはいかないでしょう。アメリカは長期的に衰退していく方向だからです。日本が長期的にすべきことは2つです。

軍事的自立にむかっていく。これはどうすればいいのでしょうか?

もし日本が突然、「我が国はもうアメリカの世話にはならない!軍事的自立の道をいく!」と宣言すれば?アメリカはとても警戒するでしょう。中国に、「日本は軍事的に自立したいそうだ。だから中国が尖閣に侵攻してもアメリカは関係ない」というかもしれない。そしたら、尖閣は確実に奪われるでしょう。こういうやり方はまずいですね。

ではどうすれば?トランプさんは、「アメリカは世界を守って損をしている」と考えています。それで、日本にもNATO諸国にも、「もっと金を出せ!」と要求している。日本はいいます。

「確かにアメリカの負担多すぎですね。我が国は、できることを自分でやるようにしますアメリカの負担を減らしたいのです」

そして、アメリカのお墨付きを得て徐々に軍事的自立にむかっていけばいい

もう1つやらなければならないこと。それは、近い将来中国に匹敵する大国に成長することが確実なインドとの関係をどこまでも強化していくこと。アメリカとの同盟を維持しながら、インドとの「事実上の」同盟関係をますます強化していく。それでこそ日本は安泰でいられます。

「自分の国は自分で守る」という気概は、尊いでしょう。しかし、それで負けて、中国の「小日本省」になるのはまっぴらごめんです。それなら、他国の力を借りてでも勝利したほうがいい。

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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