「熟年離婚」は突然に。悠々自適なハズの夫婦に何があった?
「ねえ、私たち離婚しましょう」
「ん? なんだよ、唐突に。り、離婚って……お前正気なのか?」
「ええ。なんか、いろいろと疲れちゃって」
「……疲れがたまってるだけなら、少し横になったらいいんじゃないか?」
突然だった。妻の口から「離婚」の二文字が出るなんて。
つい先週まで、これからお互いの老後の楽しみ方を話し合っていたばかりじゃないか。
私は65歳、長年勤めた会社の嘱託も今年の3月1日に終わり、これで晴れて自由の身となった。
一人息子の長男(30歳)も数年前に家を出て独立、夫婦水入らずで「悠々自適」の老後を始めるはず、だった。
妻の老後の夢は、自宅で「編み物教室」を開くこと。
大した資金もいらないし、顔馴染みのお友達とお喋りしながらワイワイやれるし。
お茶でも飲みながら楽しい老後を過ごしたいと言っていたから、反対はしなかったし、むしろ賛成だ。
私の夢はといえば、趣味の模型を作りながら、飼い猫とたまに昼寝をすること。
瓶の中に船を作る「ボトルシップ」が趣味で、今までもいくつか作ってきたけど、これからは時間を気にせずに飼い猫とゆったりとした時間を過ごしながら作品作りに励むつもり、だった。
それなのに、ああ、それなのに。なぜ妻は「熟年離婚」を口にしたんだ……?
妻はソファに座り、普段は読みもしない新聞で顔を隠して、何かを読んでいるフリを始めた。
私が青い顔をして真横に立ち尽くしているというのに。
身に覚えがないわけじゃない。私たちの老後資金が潤沢かと言えば、それは嘘になる。
家のローンはあと数年残っている。ちょうど家を買った頃はバブルの絶頂期。
少し背伸びして、郊外に大きめの家を購入したけど、それがいけなかった。
この30年、住宅ローンを必死で返し続けてきたけど、その間にボーナスは減るし、給料も少しづつ下がって返済額はなかなか減らない。あと数年で完済するが、退職金もそのお金で消えるだろう。
老後の資金なんて何も残らないし、頼みの綱はわずかな年金だけだ。
妻は専業主婦、子育てや家事で苦労をかけた。やっと息子が独立したと思ったら、今度は私が会社を退職。
やることもない私が、家でゴロゴロして掃除の邪魔だし、一日中いるから朝昼晩のごはんも作らなきゃならない。
退職してここ2週間近く、何もせずに家にいる私といた妻は最近、なんとなく浮かない顔をしていた。
そういえば去年、趣味のボトルシップ用にと、街の酒屋の裏に置いてあったワインやウイスキーの空き瓶を数十本も大量に持ち帰ってきた時も、
「こんなガラクタどうするの?」と、怒るのを通り越して呆れ顔をしていたっけ。
そんな妻が「離婚」を口にした。
これからの老後を想像するだけで気が遠くなり、嫌気がさしたのかもしれない。
熟年離婚なんて映画やドラマの中だけの話だと思っていたけど、実際に口にされるとショックなんだよなぁ。
妻は両親のいる故郷に帰るつもりなのだろうか、それとも新しいパートナーでも見つけるつもりなのか。
初めて目にした「選択肢」
ショックのあまり動揺した私は「少し考えさせてくれ」と捨て台詞を残して、書斎にこもった。
そして、これまで真剣に考えたこともなかった老後資金や家のローンについて、いろいろ調べてみることにした。
不慣れな手つきでインターネットを見ていたら、ある方法にたどり着いた。
「セゾンのリースバック……?」
初めて聞いた言葉だった。
リースバックとは愛着のある家に住みながら、その家を売却できるというシステムだ。
家を売っても家賃を払えば住み続けることができるから引っ越しもいらないし、老後資金のお金だって家を売却したお金で手に入る。
まとまった資金ができるから、そのお金で家のローンも完済できる。
これで、妻の夢だった「編み物教室」の費用だってまかなえるし、老後の不安もとりあえず解消される。
「セゾンのリースバック」なら、家賃や初期費用もできるだけ抑えているらしく、低額で済むらしい。
クレジットカードの「セゾンカード」でおなじみの、クレディセゾングループのセゾンファンデックスという会社が買主になって家を購入し、家主になって賃貸してくれるから安心感が違う。
この家に妻と、そして猫と、これからも一緒に住み続けたい。私の心は決まった。
「おい、この家を売るぞ!」
私は書斎から出て、笑顔で妻に叫んでいた。
まだキョトンとしている妻に、さっき知ったばかりの「セゾンのリースバック」について話した。
妻の顔に少しだけ笑顔が戻ったような気がした。「さっきは離婚なんて言ってごめんね」だってさ。
明日からは、私が家の洗濯か掃除を手伝ってみようかな。いや、料理もいいな。
きっと、「下手くそね!」と怒られるかもしれないけれど。
家を売っても、引っ越さずにそのまま愛着のある家に住み続けることができる「セゾンのリースバック」。
「今の生活を大事にしたい」、その思いを大切にしたい。
● 「セゾンのリースバック」に関する詳細はコチラから
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