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コロナ禍から世界恐慌へ。誰もが予想した破滅(ホワイトスワン)が本当にやってくるぞ

感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。このままでは有効なワクチンが供給されるよりも前に、日本はおろか世界経済が沈没しかねない状況です。日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんは、自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』の中で、近い将来に予想される世界大恐慌や紛争といった「ホワイト・スワン(※)」への警戒を呼びかけるとともに、コロナ禍の日本が早急に打つべき2つの具体策を挙げています。

(※)ここで言う「ホワイト・スワン」とは、予期せぬ危機が起きる「ブラック・スワン」に対して、予見された危機が本当に起こってしまうことを指す

NY大 ルービニ教授が警告する「予想どおりの悲劇」

新型コロナの全国的な感染爆発を起している。一方、企業決算では大恐慌のようである。経済を回すにはどうしたらよいか検討しよう。

第1四半期の企業決算を見ると、JR東日本が1500億円の赤字、飲食業界やコンビニ業界、日産などの製造業も大幅な赤字となり、このままでは日本経済は大恐慌となり、日本沈没になる。

現時点で休業者が600万人もいるので、今年の秋口には、失業者が200万人以上になる可能性も出てきた。この失業者をどうするのかという議論もしないといけなくなる。

飲食業や交通・観光業は成り立たないので、産業構造改革も必要になる。それらに依存した地方の企業倒産が増えて、地銀の破綻も多くなる。この地銀再編も待ったなしになるだろう。それに、地方では生活ができなくなり「地方崩壊」のスピードが上がる可能性もある。

つまり、2008年のリーマン・ショック以上の経済危機が、日本や世界に押し寄せることは確実だ。

経済危機を予測するニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は、「今年は『ホワイト・スワン』が来る」と警告している。予想通りの世界的な危機が押し寄せると言うのである。

よって、少なくとも日本の経済危機を小さくしたい。そのために、Go Toトラベルをおこなう必要も分かる。65歳以上の退職者が旅行者の多くを占めている事も分かる。この人たちが旅行に出ないと、観光業が成り立たないことも理解できる。また、昼から飲みに行ける65歳以上の人々に飲食を自粛させる訳にもいかない。

しかし、この65歳以上の高齢者たちは、重症化の危険性が高い。

そのため、政府は65歳以下の会社員をターゲットにした「ワーケーション(観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワークする働き方)」なるものを持ち出してきた。これも、この状況下では理解できる。若い人たちが飲食したり旅行したりして日本経済を回すことが必要だが、このままではその若い人たちが最初に失業してしまうことになる。

日本は能力主義ではないので、日本の大企業では中間管理職、中堅幹部の多くが50歳以上で、上級幹部は65歳以上である。そのため、経済的に余裕があるのは50歳以上となる。若い人が始めるベンチャー・小企業などは、資金繰りがつかなくなり、休業倒産になる確率も高い。

日本が「コロナ禍」を生き延びるために急ぐべき2つの策

一方、7月31日に東京は463人の感染者が出た。全国では中等症&重症者の数も多くなってきた。これは「ウィズコロナ時代」の有効策が見つかっていない証拠でもある。

といった具合に、新型コロナの感染拡大で経済回復の解決策が見つからない。そのため「基本」に戻るしかないようだ。

1つは、「根本的な治療法の確立を急ぐべき」である。現在、それに必要な重症化プロセスは分かり始めている。それは、そのプロセスのどこかを直せばよいか、ということになる。一番良いのは、治った人の血液中の抗体を重症化した人や重症化しそうな人に注入する治療法である。これは米国での治験でも有効性が証明されているという。日本の武田薬品が現在、その治療薬を治験している。それを早く承認することだ。

キューバの医師たちは、T細胞の指示物質「インターフェロンβ」を持ってイタリアに行き、コロナの感染拡大を静めたが、これが次の候補となる。これも英国で治験中である。

最後に、日本の花王と埼玉大学関連ベンチャー、北里研の発表した「VHH抗体」が、コロナウィルスを的確に認識して無効化するという発表があり、これも候補になりえる。これはまだ治験を開始していないが、常温での保管が可能であり、かつ大量生産が可能である。非常に取り扱いが簡単だという。

そして、ワクチン6000万人分が2021年6月に米製薬大手ファイザーから供給されるが、ワクチン自体が3カ月しか効力を発揮しないため、一般人までワクチンが行き渡るのは、早くて2021年末になるだろう。

どちらにしても、65歳以上の人や基礎疾患を持つ人で、T細胞が減少している人たちの治療法を早く確立してほしいものである。

経済を回すために作るべき「安全な環境」

2つ目が、「コロナウィルスの完全な抑え込み」である。中国や韓国の方法を参考にして、カラオケ店、飲食店、特にキャバレー、バーでのクラスター発生店舗の店名を開示することだ。そして、その店に行ったことがある人たち全員のPCR検査、抗原検査を行うのである。

そして、感染者名は開示せずに感染者の行動を開示する必要がある。そして、感染者が多い地域全体でPCR検査をするしかない。感染者の早期発見、早期隔離を行い、安心できる環境を作り、経済を回すことが必要だ。感染の心配があれば65歳以上の高齢者は行動することができない。今は憲法の制約があり、政府は中途半端な対応に終始している。

感染者の発生した店舗へのピンポイント対策を打ち、有効な感染防止策をおこなって、感染者が出ていない店舗の休業自粛はさせないようにすべきではないか。コロナ感染対策の中途半端な対応では経済が回らないだろう。

経済を回そうとするなら、コロナ感染を心配しないで済む「安全な環境」を作るしかない。

そのためには、公共の利益のために私権の制限ができるという憲法の条文を利用して、室内、車内のマスク義務化や有効な感染防止策をしない店舗の休業・廃業命令、感染者の行動開示などができるようにするべきである。いまは、私権を制限する強い対策を打ち出すしか方法がない。

世界が恐れる「ホワイト・スワン」とは

「ブラック・スワン」は予期せぬ危機のことだが、現在、世界が心配するのは「ホワイト・スワン」である。これは、現時点で危機が起こりそうだという予見事象が、本当に起きてしまうという意味だという。

ありうるのは、米中対決によるアジア地域戦争、米イラン対決による中東地域戦争、気候変動による大災害、世界的大恐慌、米国の分断などで、予測できる事象が起こるだけで世界は大混乱する。

このうち「世界的大恐慌」は現に起こっているが、大規模な経済対策で見えないようにしているだけである。これが今後、大企業の倒産などで明確に見えるようになるだろう。

もう1つが、米トランプ大統領の行動である。トランプ大統領は、自分が不利であることから11月の大統領選挙を延期すると言い始め撤回したりしている。コロナ感染拡大の影響で、郵便による投票となると不正が蔓延るため、選挙結果を信用できなくなるという。しかし、大統領選挙を延期する権限は議会にあり、民主党も共和党の両議会ともに延期させない方向なので、いまのところ大統領選挙は11月3日に予定通りおこなわれるだろう。

しかし、大統領選挙で負けても、トランプ大統領がホワイトハウスに居座る可能性も出てきた。「選挙自体が不正であり、選挙無効だ」と言い始める可能性である。これで米国の分断が明らかになる。

中国とアメリカが「裏で交渉していた」可能性が浮上

元側近のボルトン氏は、トランプ大統領が11月の大統領選で再選すれば、対中強硬から一転して融和姿勢を示し、さらなる貿易合意を模索する可能性があると指摘した。中国と米国は、いまでも裏で交渉をしている可能性があるようで、選挙向けの対中強硬ポーズの可能性を指摘している。

ボストンの中国総領事館閉鎖に対抗して、成都の米国総領事館を閉鎖させた後、米国は対抗措置を出していないし、ポンペオ国務長官も口では対中強硬策を言い、米国で「TikTok」を使用禁止するなど、あまり中国自体に影響がない対策だけはしている。

しかし、中国への影響が強烈な「ドル取引停止」などという手段は使わないし、香港立法会選挙を1年延期したことで、ドル調達先の香港のペッグ制の停止もしない。何か裏で交渉していた可能性を感じる。

という訳で、中国がトランプ大統領の当選を熱望するのも分かるし、これの良い点は、アジア地域戦争を回避する可能性である。

聖書に「アジア地域戦争が最終戦争」とは書いていないことで、福音派が米中戦争を阻止するようである。トランプ大統領も熱烈な支持者の意向を無視できないだろう。

しかし、同盟国には厳しい。マーク・エスパー米国防長官は、トランプ大統領の決定に伴い、ドイツの駐留米軍を今年中に1万2000人削減する計画を発表したが、11月にトランプが大統領でなくなるのであれば、計画を中止する含みもあるようだ。

この他にも、シリアにいるヒズボラが、イスラエルとの国境でイスラエル軍と交戦したが撤退したという。イランの原子力発電所の火災は、イスラエルのハッカー攻撃によるともいう。このように中東でも火の手が上がる可能性はある。

また、トルコは、シリア領内のトルコ族を支援し、かつクルド人を攻撃。ギリシャ領内に軍を派遣して資源調査したり、アヤソフィアをモスクにしたり、リビアでは、トリポリ地域政府を支援してトルコ軍を派遣、支配地域拡大のための攻撃を仕掛けている。この攻撃に対して、エジプト軍やロシア軍が東部軍を支援してトルコに参戦する可能性もある。広範な中東地域にトルコ軍を派遣し始めているのだ。

中東では、トルコのエルドアン大統領が、コロナ感染拡大の国内の不満を解消するために、中国と同じようにオスマントルコを再現するような覇権主義を取り始めている。

という訳で、中東地域で聖書にある大規模な戦争が起きる可能性を感じる。

このように見ると、2020年は国内も世界もどちらも「最悪な年」になりそうである。

さあ、どうなりますか?

image by: shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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