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錯乱の菅政権。コロナ「変異種」蔓延も検査なし入国を進める愚行

イギリスで発見された従来の1.7倍もの感染力を持つという新型コロナウイルスの変異種に、世界が警戒を強めています。既にアメリカにも到達されているとも言われる中、菅政権は「我が国での確認はない」としていますが、どこまで信用できるのでしょうか。今回のメルマガ『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、感染者がゼロという根拠になど到底なりえない日本のPCR検査数の少なさを指摘。さらに各国が入国規制を強化する現状にあって、日本だけが規制緩和を続けている事実を批判しています。

変異種と奇行種

おめでたい「第100号」、今年最後の通常版なので、できれば楽しい話題を取り上げたかったのですが、ワクチン接種を始めたばかりのイギリスで新型コロナウイルスの変異種が検出され、EUに広まり始めてしまいました。しばらく前に、デンマークで毛皮用に飼育されていたミンクに新型コロナが広まり、1,700万匹が殺処分になったというニュースを取り上げた時、ミンクの中には変異種に感染した固体もいて、それが人間にも感染したということも紹介しました。

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この変異種というのは「突然変異種」のことで、ウイルスが増殖する時には、そのウイルスの設計図であるDNAをそっくりコピーして増えて行くのですが、中にはDNAの一部が正しくコピーされず、部分的に別の特性を持った個体が生まれてしまう、というものです。動物や植物でも突然変異は起こりますが、ウイルスの場合は突然変異が頻繁に起こるため、もの凄い種類の変異種が発生します。

今回の新型コロナウイルスの場合は、これまでの約1年間で、確認されただけでも1万2,000種を超える変異種が見つかっています。しかし、その大半は、元のウイルスより感染力が低かったり毒性が低かったりする「劣化バージョン」なので、必要以上に恐がらなくても良いものでした。でも、今回イギリスで検出されされた「B.1.1.7」という変異種は、それまでのものより感染力が1.7倍も高いと報告されています。

現時点では、感染力が高くなったこと以外の変化は報告されていませんが、イギリスのゲノム研究センター「ウェルカム・トラスト・サンガー研究所」のジェフリー・バレット博士によると「B.1.1.7」には23の変異が確認されており、このうち17はウイルスの特性に変化を与える可能性があるそうです。もしかすると今後、感染力の他にも人間にとって厄介な変化が見つかるかもしれません。バレット博士も「ウイルスの変異が人間の細胞内の浸透力を強くさせる可能性がある」と述べています。

今のところ「これまでのワクチンが有効」「重症化率は変わらない」と言われていますが、まだ治験が少ないので絶対とは言い切れません。それに、仮に感染力しか変化がなかったとしても、感染力が1.7倍なら、単純計算で感染者数も1.7倍になり、重症者数も死亡者数も1.7倍になります。これだけでも、十分に脅威的です。

そのため、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、スウェーデン、アイルランドなどのEU各国は、速攻でイギリスからの人の入国や飛行機、フェリーの乗り入れを規制しました。また、中東諸国もイギリスやEU諸国からの飛行機の乗り入れを規制しました。しかし、イギリスで検出された変異種は、日本時間20日の時点で、オランダ、デンマーク、イタリア、オーストラリア、南アフリカなどで確認されており、すでに世界中に広まりつつあります。

何故なら、今回の変異種は、イギリスでは9月から広まり始めていたからです。最初は1つだった変異種は、感染を繰り返しながら増えて行くので、9月から10月に掛けての感染者は僅かでした。しかし、11月の半ばにはロンドンの感染者のうち28%が変異種の感染者となり、12月9日には62%と急増しました。この推移を見ただけでも、感染力の高さが分かります。世界中に広まりつつある変異種、日本は大丈夫なのでしょうか?「ジャパンライフの広告塔」こと官房長官の加藤勝信は、21日の会見で次のように述べました。

「国立感染症研究所によると、わが国において同様の変異をしたウイルスは確認されていない」

しかし、日本の検査数はOECD加盟国36カ国の中で35位です。EU諸国が1,000人中25~135人も検査しているのに対して、日本は1,000人中わずか1.8人しか検査していません。これだけしか検査せずに「確認されていない」と言われても、変異種の感染者がゼロという根拠にはなりません。また「歩く他人事」こと官房長官の加藤勝信は、イギリスからの入国者に対する水際対策について、次のように述べました。

「英国からの入国については、我が国は元々英国を上陸拒否の対象国にしている。特段の事情のない限り、新規入国は原則禁止としている」

さすがは「歩く他人事」、この人って本当に何も考えていませんね。世界中で感染が拡大し、多くの国々が入国規制を強化している中、日本は逆に、中国や韓国や台湾など11カ国・地域からPCR検査なしで入国できるという規制緩和を続けているのです。つまり、イギリス人やイギリス滞在者が、こうした第三国を経由して日本にやって来るという可能性をまったく考えていないのです。事実、英国籍の人は、10月だけで330人も日本に入国しているのです。

いくら自民党政権にとって国民の命より目先の経済のほうが大事だとしても、国内の感染が拡大する中で「GoToキャンペーン」を強行したり、世界中に変異種が広まりつつある状況下で入国の規制緩和を続けたり、もはや正気の沙汰とは思えません。ま、使い物にならない布マスクを2枚配るだけで3カ月以上も掛かるのですから、そもそも自民党政権には何も期待していませんが、新型コロナの変異種ならぬ『進撃の巨人』の奇行種のようなガースーおじさん、せめて感染拡大に拍車を掛ける奇行だけは自重してください。

(『きっこのメルマガ』2020年12月23日号より一部抜粋・文中敬称略)

image by: 首相官邸

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