つぶらな瞳の皮をなぜ剥ぐのか?ミンク1700万匹殺処分が問う人間の幸福

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北欧デンマークで毛皮用ミンクから新型コロナ変異型の感染が確認され、1700万匹が殺処分されるという報道がありました。人間の体を暖かく包む毛皮のために生産されたミンクはいずれ殺される運命にありますが、暖房器具の発達した現代に、まだ動物の毛皮を生産する意味はあるのでしょうか。この毛皮用動物の生産について異論を唱えているのが、メルマガ『きっこのメルマガ』の著者で人気ブロガーのきっこさん。きっこさんは、「世界幸福度ランキング」で常に上位をキープしているデンマークのミンク大量殺処分報道に触れ、日本とデンマークの「幸福」の感じ方について持論を展開しています。

人間の幸福は動物の不幸?

今回、あたしが取り上げるのは、15日付で報じられたデンマークのニュースです。あたしは、見出しを読んだだけで胸が張り裂けそうなほど悲しく辛い気持ちになったのですが、「毛皮用ミンクから新型コロナ変異型、デンマークで1700万匹殺処分へ」というニュースです。

デンマークは、北海道の半分ほどの面積の国土、人口が約580万人という小さい国ですが、毛皮用のミンクの生産が盛んで、国内には数多くの生産農場があります。今回は200カ所以上の農場で新型コロナウイルスの感染が確認されたのですが、そのうち5カ所のウイルスは、ワクチンが開発されても効かない恐れのある変異型だそうです。

何よりも恐ろしいのは、このミンクから人間への感染が12例も確認されているという点です。そのため、デンマーク政府は国内のすべてのミンク1700万匹を殺処分すると決定したのです。もちろん、これは仕方ないことだと思いますし、ミンクたちにしてみれば、遅かれ早かれ殺される運命です。でも、あたしの個人的な意見を言わせてもらえば、新型コロナうんぬん以前に、毛皮用に動物を生産しているという時点で完全に「アウト!」です。

百歩ゆずって、人間が食べるために動物を生産しているのならともかく、ファッションのための殺生など、この21世紀に許される理由は何ひとつありません。今は、動物を殺して毛皮を剥いで着るしか冬を越す手段がない原始時代ではないのです。毛皮より暖かい服はいくらでもあります。デンマークと同じく毛皮用のミンクを生産しているオランダは来年2021年に、フランスは5年後の2025年に、それぞれ生産と飼育を禁止します。デンマークも、この機会に禁止すべきです。

しかし、そんなデンマークも、今年2020年の「世界幸福度ランキング」では、堂々の世界第2位なのです。ここ3年はフィンランドが第1位ですが、デンマークは過去10年、ずっとトップ3をキープしていますし、そのうち2012年、2013年、2014年、2016年と4度も世界第1位に輝いています。一方、日本は、民主党政権時代の2012年には第43位でしたが、第2次安倍政権になってからすぐに下落し始め、2019年には58位、今年2020年には62位と、過去最下位になってしまいました。

まあ、これは「動物の幸福度」ではなく「人間の幸福度」ですから、どれほどファッションのために殺生を繰り返しても、それによって人間が儲かって幸福になればランキングは上昇するのです。だからと言って、決して日本は世界第62位という先進国の中で最下位の順位を誇ることはできませんが、それでもあたしは、自分の国に毛皮用の動物の生産農場がないことだけは、先進国として最低限の良識を保っていると思っています。あとは、毛皮を買うような日本人が1人もいなくなり、この国から間接的な殺生がなくなることを祈るばかりです。

(『きっこのメルマガ』2020年11月18日号より一部抜粋・文中敬称略)

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