「すでに成功している、あの人気店の姉妹店です」と聞けば、顧客にとってこれほど安心感のある情報はありません。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、そんな顧客の心をうまく掴むことで、競争の激しいスイーツ業界で成功した「さつまいも専門店」を紹介しています。
ノウハウの横展開
今号は、さつまいもスイーツ専門店を分析します。
● 石川県に本社がある株式会社ライデンペールが展開しているさつまいもスイーツ専門店「いもこ」
さつま芋好きな方やスイーツ好きな方をターゲットに「スイーツや素材へのこだわり」に支えられた「さつまいもとブリュレの香ばしい香りや味わい」等の強みで差別化しています。
さつまいもに特化することに加えて、既に人気となっている和栗モンブラン専門店「栗歩」との相乗効果により、集客を図っています。
■分析のポイント
スイーツ店は、非常に競争が激しい業界ですので、注目を集めるには、何かに特化することがセオリーだと思いますが、「いもこ」はさつまいもスイーツに絞ることで差別化を図っています。
しかも、メニューも絞り込んでいて、テイクアウト含めて5種類となっています。顧客の印象に残るためにも、インパクトのある商品に絞り込んでいる印象です。味に自信があるということの現れのようにも感じますね。
今回のポイントは「いもこ」が人気の和栗モンブラン専門店である「栗歩」(KURIHO)の姉妹店であるということです。
「いもこ」がオープンする前に、すでに7店舗を展開していた「栗歩」の存在は、「いもこ」にとって大きいと考えます。「栗歩」のノウハウを活かすことができますし、「栗歩」のファンの方は「いもこ」を利用してくれる可能性も十分考えられますからね。恐らく、意図的に「栗歩」の近くに出店しているのでしょう。
何事にも言えそうですが、成功した実績の有無は、何かを始める上で非常に重要な要素です。どの企業も成功確率を高めるために、四苦八苦しているわけですが成功した実績がベースにある出店と、そうでない出店ではその成功確率が大きく異なります。
ジャンルは違いますが「家系ラーメン」が人気となっている理由のひとつは、源流となるラーメン屋さんの流れをくんでいることがあげられます。やはり、顧客からすると安心感がありますし、出店する側としても、成功確率を高めることにつながります。
今後の「いもこ」や「栗歩」がどのように展開されていくのか注目していきたいです。
◆戦略分析
■戦場・競合
・戦場(顧客視点での自社の事業領域):スイーツ店
・競合(お客様の選択肢):近隣のスイーツ店、カフェ など
■強み
1.さつまいもとブリュレの香ばしい香りや味わい
・やさしい甘さ
・しっとり濃厚な食感、ブリュレのパリパリ食感
2.味覚以外でも楽しめる
・シェフが目の前で仕上げてくれる
・素材本来の芳醇な香りを楽しめる
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
・モンブラン専門店運営ノウハウ
→和栗モンブラン専門店である「栗歩」を7店舗を運営している。「いもこ」は「栗歩」の姉妹店という位置づけ。
・農家の方々のこだわりや誇りに耳を傾ける姿勢
→地方や品種を厳選
上記のような、ノウハウや素材へのこだわりが強みを支えています。
■顧客ターゲット
・芋好きな方
・スイーツ好きな方
◆戦術分析
■売り物、売り値
「さつまいもスイーツ」
<「おいものモンブラン」:1,800円(税抜き)>
冬の期間に選べる3種類↓
・五郎島金時(100%使用)石川県産
・綾紫芋(70%使用)鹿児島県産
・安納芋(50%使用)鹿児島県産
<季節の果実とお芋のパルフェ:2,000円(税抜き)>
→モンブランとパルフェはドリンク付き
<食べ歩きモンブランジェラート:1,100円(税抜き)>
※ テイクアウトのみの提供
→世界大会優勝の実績を持つ「マルガージェラート」とのコラボ
■売り方
・コンセプトは、“年中食べられる”さつまいも”
■売り場
・東京(自由が丘)、京都(新京極)、石川(金沢)に出店
→姉妹店である和栗モンブラン専門店「栗歩」の近くに出店
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
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