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大手新聞の医療情報サイト元編集長がコロナワクチンを打つと明言した訳

先日掲載の「絶望に次ぐ絶望。ワクチン予約システムがクソゲー状態という悪夢」では、母親の代わりに引き受けた新型コロナワクチン予約の模様をレポートしてくださった、iU情報経営イノベーション専門職大学教授の久米信行さん。そんな久米さんは今回、メルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』で、新型コロナに対して自然免疫で立ち向かうつもりでいた自身が「ワクチンを打とう」と思うに至った過程を克明に記しています。

【関連】絶望に次ぐ絶望。ワクチン予約システムがクソゲー状態という悪夢

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「ワクチンってどうなの?」

みなさんの身内で、もうワクチンを打たれた方はいますか?

みなさんはワクチンを打たれるつもりですか?

ゴールデンウイーク初日の5月1日に悪夢のようなワクチン接種予約体験を味わったのですが、おかげさまで、先週、老母は無事ファイザーの第1回ワクチン接種を終えることができました。

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地元の病院の前に、ちょうど空地だったところがあり、そこが駐車場を兼ねた接種会場になっておりました。母曰く、10人ぐらいの親切な看護婦さんが応対してくれて、接種自体はあっという間に終わったようです。

心配していた2回目の接種予約は、その場で3週間後の予定が決められ、予約用紙をもらえたそうで、ほっといたしました。もうあの4時間以上もパソコンとスマホで予約をしてはエラーとなる辛い目に遭うことはないのです(はてさて自分の予約時はどうなることやら)。

もともと、母は、インフルエンザのワクチンで調子が悪くなったこともありました。それ以来、ワクチン嫌いになり、当初は今回のワクチンも打たなくてよいとも言っておりました。しかし、日々恐ろしいニュースをワイドショーなどで見ているうちに、打つ気になったようです。

幸いにして、打った直後からの副反応はなく、母はいつも通りに生活できております。2回目の接種後の方が、副反応が出る人が多いようなので、そうならないことを切に願っております。

これもちょっとしたシンクロニシティ(意味のある偶然)でしょうか?

母のワクチン接種の2日後、明治大学商学部ベンチャービジネス論で、なぜか、ワクチンに関する興味深い議論が展開されました。

毎年恒例で、ゲスト講師に、毎日新聞社の佐藤岳幸さんをお招き(秋田からzoomで)したところ、学生との質疑応答の中で、ワクチンの話題になったのです。

佐藤さんは、現在、秋田支局長ですが、最近まで、毎日新聞の医療情報有料サイト「医療プレミア」の編集長をされていました。つまり、コロナ禍の真っただ中で、関連する情報と専門家の意見収集を続けて編集・発信してきた毎日新聞社のキーパーソンなのです。

佐藤さんは、長年、家族ぐるみのお付き合いをして、一緒に渡良瀬エコヴィレッジで和綿の収穫もした、信頼できる友人でもあります。

事前に佐藤さんから学生に出されていた課題は「毎日新聞本紙かニュースサイトを読んで、気になったニュースを1つ以上挙げる」というものでした。

その時、ワクチン関連の記事を選んだ学生 がいたのです。

勝ったのは米国だけ? 「コロナ戦争」戦略なき日本の敗北

なぜそのニュースが気になったかという理由は

「日本のコロナ対策の杜撰さを象徴しているような見出しだったから」

佐藤さんはコメントで、米国がいちはやく多額の国費を投入してワクチン開発を指示したのに比べて、日本が後手に回り予算規模も小さかったことを指摘しました。

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そこで私が最初に思い出したのは、他の勉強会で、某医薬品メーカーの経営者からお聴きしたことです。曰く、日本では、ワクチンを作れるメーカーが非力、経営不安で買収されるケースもあったとか。花粉症やかぜの薬なら商売になりますが、いつ流行るかわからないパンデミックにそなえて研究開発をするのは、ビジネスとして採算が合わないそうです。

軍事費に糸目をつけず細菌兵器を作るような国なら、合わせて国費でワクチン開発も進めることでしょうが…。そう言えば、文化放送「くにまるジャパン極」で、作家の佐藤優さんが、興味深い話をしていました。コロナ禍の最初の段階で中国がロシアに相談したのは、細菌兵器とワクチンの研究が進んでいるからだと。合わせて、台湾やイスラエルなど、情報収集と対策が速かった国は、準戦時体制にあるような国だとも指摘。なるほど、そうだったのか。

ありがたいことに日本は平和な反面、政官財トップから国民にいたるまで危機意識が低い国。軍事研究も諜報活動も半ば御法度で、意思決定が遅い上、野党もマスコミも、なにかすれば政府の足を引っ張るのが習性。常に侵略の危機に怯えている「すぐやる国」にはかなわないのかもしれません。

とは言え、日本は、軍事大国になどなってほしくないし、国民の一挙手一投足まで監視するディストピアになっては最悪です。コロナ禍が終わった時には、スマホと監視カメラなどを駆使して、いつでもどこでも行動を補足されるなんてイヤですよね。

どこか良い塩梅はないのでしょうか?

ちょうどワクチンの話になったので、私も佐藤さんにぜひ訊いてみたかった質問をいたしました。

「佐藤さんは、ワクチンを打たれるつもりですか?」

答えは「Yes」でした。

当初は、佐藤さんも、これまでにない遺伝子操作の製法で作られたmRNAワクチンに対して疑問を抱いていたそうです。しかしながら、各国での接種状況とその後の様子を取材し、専門家に意見を求めるうちに、この新しいワクチンの効能を認めるようになったそうです。

毎日新聞「医療プレミア」

たしかに、集団免疫に近づくほどワクチン接種が進んでいる国もあり、そんな国ほど、規制緩和も進めて、ふだんの生活に少しずつ戻ろうとしています。

前述の親しい医薬品メーカー経営者も、当初は疑問を抱いていたが、各国でのワクチンの接種の状況や効能を見るにつけ、考えを改めたとのこと。

佐藤さんには、もう1つ訊いてみたいことがありました。

「日本にはワクチン接種を嫌う人が多くありませんか?」

現に、私が母のワクチン接種予約騒動をfacebookに書いたら、ワクチンがいかに危険かというメッセージを送ってくる友人縁者がいたからです。

佐藤さんの答えはこちらも「Yes」

医療プレミアで、ワクチン関係の記事がアップされると、必ずワクチン反対派からの投書が多数届くそうなのです。

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おそらく、これは「子宮頸がん予防のHPVワクチンの副作用訴訟」が関係しているのでしょう。HPVワクチンは、2013年4月から小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種が始まったのですが、接種後に全身の痛みなどを訴える人が相次いだために、厚生労働省は接種を勧める取り組みを中止したのです。

その後、同ワクチンによる子宮頸がんの予防効果を示すデータも出ており、

HPVワクチン 勧奨中断5年 安全性巡る議論続く 子宮頸がん予防効果示す結果次々

世界保健機構(WHO)も2030年までに、15歳以下の女子の90%にまでHPVワクチン接種率を高める ことを目標にしています。

子宮頸がんワクチン接種率、30年までに9割へ WHOが新たな目標公表

最新のニュースによると、日本では、なんと1%だったHPVワクチン接種率が、20%ほどに高まったそうですが、WHOの目標値にはとても届きません。

子宮頸がんワクチンの接種者が増加 低迷から一転、20%近くに

一方で、真偽はともかくとして、1年ほど前に、かつて死病であった結核予防のために打つBCGワクチンを打っている国では、コロナ感染率と死亡率が低いのではないかと話題になったことがありました。

コロナショック BCG接種は効くのか? WHO「推奨せず」 乳児用懸念

もちろん、私もすべてのワクチンを肯定しようとは思いませんし、すべての人に有効なワクチンもないでしょう。全く新しいmRNAワクチンも不気味ではあります。

しかし、だからと言って、いきなり全否定をするのも大人げないと思うのです。mRNAワクチンだからこそ、これからより強力な変種ウイルスが出現した時に、素早く対応するワクチンを作れるメリットもあります。より深刻な問題は、いざという時に日本にはワクチンを自給自足できる仕組みがないことだと思うのですが、いかがでしょうか?

毎日新聞「医療プレミア」でこんな意見も見つけました。

新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が、徐々にですが進んでいます。もちろん変異株の種類によっては、ワクチンの有効性が下がってしまうケースもあります。しかし、今回開発されているmRNAワクチン(ウイルスの遺伝子の一部を使ったワクチン)は、変異株にも効く新しいワクチンを比較的早く作ることができます。ですので、たとえ2巡目の接種が必要になったとしても「ワクチン後の世界」について考えておくことはとても重要です。ER Dr.の救急よもやま話より

新型コロナ どうなる「ワクチン普及後」の世界 志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

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というわけで、コロナウイルスには、自然免疫で立ち向かえば良いのでは?と少々迷っていた私も、ついにワクチンを打とうと決めました。

理由1 海外で接種事例が増え続け、接種後の効果が確認されつつある
理由2 日本でも私が打つ頃には、効果測定ができるだろう
理由3 ワクチン接種済証明書がもらえないと旅ができなくなりそう

理由1、2については説明してきましたが、実は理由3が大きいかもしれません。

毎日、NHK BS「世界のトップニュース」「国際報道」で海外のニュースをチェックしていますが、ワクチン接種済証明書がないと、飛行機に乗れない、国境を超えられない、美術館やコンサートホールに入れない事態になりつつあります。

これでは、ワクチンを打たざるを得ないでしょう。

問題は、いつワクチン打てるか なのですが…AIワクチン接種予約なるアプリに、生年月日と居住地を入れて診断してみました。すると…。

わーお。5カ月後だと10月後半、9カ月後だと来年の2月後半です。感染者が増える冬の前に打ちたかったのですが、どうなることやら。

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image by: Shutterstock.com

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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