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ワークマンのPB商品は高くても売れる。決め手はハイスペックとデザイン性にあり

作業服の専門店として産声を上げながら、ユニークな戦略で一般女性客からの支持も得て順調に成長を遂げるワークマンが、新たな勝負に打って出たようです。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、ワークマンがプライベートブランドに加えると発表した、3つの高価格帯ラインナップを紹介。さらに同社がこれらのラインを売り出す際に実践する「マーケティング・ミックス」という手法を、プロの目線で解説しています。

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なぜ、ワークマンは高価格帯のプライベートブランドを出すのか?

ワークマンの業績が好調です。中でも、プライベートブランド(PB)が好評です。

株式会社ワークマンが5月に発表した、「2021年3月期の決算短信」では、ワークマンのPB商品の、チェーン全店売上高での構成比は59.7%で、昨年同期比で、8.3ポイント増えています。この勢いを受けて、さらにまた新しい、PBのラインナップを出すことが話題になっています。

2020年から作業者向けに展開している、「PRO CORE(プロコア)」シリーズという、作業員の方向けのPBがあります。ワークマンらしい、シンプルなデザインが特徴です。このプロコアシリーズに新しく、

「ブラストデニム」
「スーパーストレッチ」
「ブラックエディション」

という、3つのラインを発売する、と発表しました。ホームページを見てみると、これまでの作業着のイメージとは、まったく異なっていて、ZARAのようなデザインに特徴があるショップのアパレル製品のようです。

ブラストデニムは、文字通りジーンズ素材の上下で、コンセプトは「デニムファン向けの主流のStylish作業服」とあります。

また、スーパーストレッチは、文字通り「伸びる」のが特徴で、伸縮性が従来のものよりも、150%プラスになっているそうです。こちらもデザインがシンプルでかっこよく、GAPで売っていそうなイメージです。

この3つの中でも、「ブラックエディション」が特徴的です。もともと機能性や使いやすさにこだわったラインナップです。なかでも私が注目したのは、その価格帯です。ジャンパーが4,900円、カーゴパンツを3,900円に設定されていて、これまでのワークマンが展開してきた、PB商品の価格帯である、1,900から2,900円と比べると、かなり高めの価格設定にしています。

もちろん、単に価格を高くしたのみでなく、膝や肘に蛇腹構造が入っていて折り曲げやすくなっていたり、作業の時に使うハーネスという金属製のフックをかけるパーツをつけたりと、機能性を充実させた上での、価格設定です。

これまでのワークマン製品より高いとしても、同じカテゴリーの他社製品に比べると、相対的には価格を抑えた形になっています。

ただ、これまでのワークマンファンから見ると、「高くなったな」という認識をされるでしょう。そんな中で、付加価値をどう見せていくのか、というのが売れるかどうかの分かれ目になります。

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プロコアシリーズは作業用の服として作られていますが、ブラックエディションシリーズは、黒のイメージで統一していたり、デザインやスタイルも、普段使いもできるレベルのファッション性の高さです。

ポケットの数とか、素材の良さといった、機能的な価値に加えて、かっこいいとか、普段使いもできそう、といった心情的でイメージ的な面の、両方をマッチさせた、ワークマンならではの、ブランドイメージの構築の仕方です。

ワークマンは、このようなプロ用の商品を集めた、「WORKMAN Pro(ワークマンプロ)」という、新しい業態の店舗の出店も計画していて、そこでこのプロコアシリーズの商品を、メインラインアップとして販売していきます。

この新しい店舗で、ファッション性の高いデザインを採用し、かつ現場作業員が普段着として着用できるほか、一般のお客がアウトドアでも着やすい商品として、着ることができる、と告知していく考えです。

一般的に、現在のブランドよりも、高い価格帯の商品を出していくことは、簡単ではありません。既存顧客が離れていくことが考えられますし、消費者の間で「安い」とか、「お値打ち」と考えられているということは、そのイメージを持って店頭で、無意識のうちに「いつもより高い」と、認識されてしまうことが多いからです。

しかし、ワークマンのこの事例では、スペックでの付加価値と、デザインという心情的な価値の、両方を植え付けたことが他と異なる点です。さらに、売り場所までも追加して、この高機能、高価格帯のブランドを売り出していく、といういわば「マーケティング・ミックス」を、実践しているのです。

これまでも、「ワークマンプラス」、「ワークマン女子」などの、面白い企画を打ち出してきたワークマンが、この高価格帯へのチャレンジに注目したいと思います。(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2021年9月7日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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