MAG2 NEWS MENU

森永製菓が挑む菓子メーカーからの脱却。翼を広げたエンゼルの行先は

コロナ禍による巣ごもり需要や健康志向の高まりを受け、業績好調の森永製菓。そんな中にあって同社社長が先日、菓子メーカーからの脱却を図るかのような経営戦略の転換を宣言し話題となっています。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、森永製菓が新たな目標として「ウェルネスカンパニー」を掲げた真意を考察。その上で同社の取り組みを、「ESGの観点からも素晴らしもの」として高く評価しています。

毎号「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説する理央 周さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

なぜ、森永はお菓子メーカーからの脱却を目指すのか?

森永製菓が好調です。先日発表された今年の4~6月期の連結決算では、営業利益が前年同期比18%増になって、第1四半期としては過去最高になりました。

コロナ禍において、テレワークが普及して、自宅での時間が増えています。そんな中で、ソフトキャンディーの、「ハイチュウ」の相変わらずの人気に加えて、家族みんなで食べられることが多い、ビスケットも堅調だったとのことです。

また、巣ごもり需要が多くなるということは、その分運動不足になるので、体を動かしたい、といった健康志向も強まりました。

健康になりたいというニーズが増加したことに伴い、ゼリー飲料の「inゼリー」が伸び、同じように、美容に関する意識も高まって、栄養補助になるものが欲しい、という、より具体的なニーズから、プロテインバーの販売も回復した、とのことです。

ほんの少し前まで、森永といえば、キャラメルとチョコレートといった「お菓子」の総合メーカーのイメージでした。ダースや小枝、チョコボール、といった、ヒット商品も数多くあります。

アイスクリームも美味しくて、チョコモナカサンドなどのブランドも確立できています。

ここに、先程書いた健康志向の増加もあり、会社としてイチ押しにしているのが、inシリーズです。

inゼリーには、エネルギーシリーズ、プロテインシリーズ、ビタミンシリーズが出ています。

先日、森永製菓の太田社長が、「森永は総合菓子メーカーから、心と体の健康を提供する、“ウェルネスカンパニー”への変身を目指す」と宣言されていました。

長く続くコロナ禍で、ストレスや不安を抱えることが増えています。そんな中で、会社として、「お菓子が持つ情緒的な価値を解明し、心の健康を深掘りする」としているそうです。

このウェルネスという単語は、これまで言われてきた肉体的な「健康」という意味を、さらに広い視野で捉えようとする考え方です。

特に、「心の健康」や、「充実したライフスタイルを送る」といった精神面での健康を表す時に使うことが多いのです。

今では、欧米でも従業員の「ウェルネス」を、向上させる取り組みをしている企業も増えています。

このような考え方を、会社の方向性にも反映したい、と考えているのでしょう。

毎号「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説する理央 周さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

日経新聞によると、太田社長は、inブランドシリーズや甘酒、高カカオのチョコレートなどの商品では、体の健康に貢献していきますが、その一方で今回のポイントは心の健康です、と明言しています。

最近は研究が進んでいますが、心が豊かになると、やはり幸福感が増してきます。

お菓子をはじめ食品は「楽しい」「嬉しい」、といった感情があると美味しさが増します。

お客様がお菓子に感じる、情緒的な価値観を大事にする会社にしていきたい、と読み取れます。

記事によると、社内で発表した時には、戸惑った社員も多かったようですが、このような方向の取り組みは、社会のニーズにマッチしていると感じます。

お菓子を含めた食品は、どうしてもコモディティになりやすく、ひいては値引き、安売りをせざるを得ず、利益を確保することが難しくなりがちです。

その理由の多くは、顧客体験ではなく、モノを売ろうとするからです。

この森永の事例でもわかるように、顧客が欲しいのは、楽しさ、嬉しさ、健康といった、顧客が使った時の効用です。

その意味でも、注目すべき、経営戦略の転換ですよね。

しかし、このような劇的な変化を、自社に導入しようとするときに、反発する社員がいることも事実です。

経営理念を、経営戦略に落とし込む時には、短期的に考えてはうまくいかないことが大半です。

中長期的に、社員に理念を浸透させて、十分な理解ができるようにして初めて、市場に向けて、効果的なコミュニケーションが取れます。

この森永製菓の取り組みは、ESGの観点からも、素晴らしく、今後の発信に注目していきたいと思います。(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2021年9月21日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)

毎号「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説する理央 周さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Evelyn-rose, CC0 1.0, via Wikimedia Commons

理央 周この著者の記事一覧

ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

有料メルマガ好評配信中

  メルマガを購読してみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】 』

【著者】 理央 周 【月額】 ¥825/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 第2火曜日・第4火曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け