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Bullying and Racist Concept. World Social Issue. Sad Person being Bullied from others. Parody and Intimidation. Doing or Saying Bad. presenting by wooden peg dolls

被害児童の悲痛な叫び。嘘をつき続ける学校と川口市教委の卑怯さ

ようやく落ち着いたと思ったコロナウイルスでしたが、オミクロン株の流行により、学校も学級閉鎖やオンライン授業になっているところも多くあります。しかし、どんなに学校の環境が変わろうと、なくならないのがいじめの問題とそれに関わる学校側の対応の酷さです。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』を発行する、同ネット代表の井澤一明さんは、川口市でのいじめ事件について詳しい情報を語ったうえで、そこで明らかになった学校側の対応について苦言を呈しています。

子どもを守り切る覚悟を持ちたい 川口市いじめ事件判決

新年早々、新型コロナウイルスのオミクロン株が大流行しており、明るい年明けとは言い難い状況です。受験シーズンでもあり、入学試験に際しての配慮を文科省が求めるような事態となってしまいました。学級閉鎖の学校も出ており、オンライン授業や分散登校などが実施される事態となっています。

さらには大学入学共通テストの開場で傷害事件が発生するなど、子どもたちにとっては寂しい3学期です。

だからこそ、保護者や私たち大人が、子どもたちを守り切る覚悟が求められる1年と言えるのでしょうか。

12月15日に、さいたま地裁で川口市のいじめ事件の判決がありました。

埼玉県川口市立中の元男子生徒がいじめが原因で不登校となったとして学校や市教委の責任を問い、550万円の損害賠償を請求していた裁判ですが、川口市に55万円の支払いを命じる判決が下りました。

これは2015年に中1(当時)の男子生徒がサッカー部で、ラインいじめや暴力、顧問からの体罰を受けて不登校になった事件です。

この事件では、警察の捏造が発覚したり、川口市がいじめを認定しないばかりか、「いじめ防止対策推進法は整合性が欠如し、教育現場に与える弊害を看過し難い欠陥を持つ」と主張するなど、隠蔽問題が起きていたことで注目を浴びていた事件です。

加えて、文科省や県教委が、再三、重大事態として対応するよう市教委に求めても拒否するという、とんでもない対応をしたことで知られています。

また、警察が「弁護士が同席していた」などと虚偽の文書を作成した問題については、不起訴とされましたが、その後、録音データが発見され、現在、被害者側が検察審査会に申し立てをしています。

今回の判決は
1.部活顧問の体罰があったこと
2.不登校になり自傷行為まで発生していたにもかかわらず重大事態として調査しなかったこと
3.校長や教頭、顧問教諭が、保護者会等で「いじめがなかった」等と事実とは違う発言をしたこと
以上の3点において市側の違法を認めています。

被害者側弁護士は「いじめ防止対策推進法が規定する重大事態の調査を行わなかったことを違法と明言した判決は全国で初めてのケース」と述べています

埼玉新聞によると被害者側弁護士が、「教員のいじめではないという発言が国家賠償法上で違法行為であると明言したことも、初めてだと思う。いじめがあるかないか分からない段階で教員が安易にいじめではないと言うのは許されない。問題になっているケースが多いだけに影響が大きい判決だ」と指摘しています。

被害者もコメントを公表しています。

「ぼくはいじめられた時、(顧問の)先生や校長先生、教育委員会は絶対に助けてくれると思っていました…」

子どもにこんなことを言わせるような教育者がいるのです。ここまで言われても、根本的には「悪い」と感じていないように見えます。

なぜなら、文春オンラインの記事を読むと、1月4日には判決が確定し、その2日後、教育長や当時の校長ら7人が被害者宅を訪れて謝罪したといいます。

教育長は「本日は謝罪をしにきました。裁判の判決は、教育委員会として真摯に重く受け止めています。これまでの長い間、心身ともに相当なご負担をかけた上に、大切な中学校生活が悲しみ、苦しみの時間になってしまったこと、まずもって心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。また、『学校や市教委が嘘をついた』と言っていましたが、このことについて真摯に受け止め、もっと丁寧に配慮をしなければならなかったと反省をしております」と謝罪したとあります。

これに対して被害者本人は、用意した文書を読み上げて質問をしたと掲載されています。それによると

・「校長や市教委は、なんで文科省や埼玉県教委に、『僕と話していない』とか『僕に会えていない』とか、うそばかり報告をしていたんですか?」

・「松崎校長や顧問の先生は、なんで保護者会で、僕が何をされたとか、本当のことを言わなかったんですか?僕は、みんなから、“いじめられたって嘘をついて休んでいる”とか言われました。だから、僕はともだちがみんないなくなりました」

・「僕の記録も嘘ばかりですけど、いつになったらちゃんと直してくれるんですか?」

これらの訴えに対しても具体的に答えることはなかったというのです。悔しいですね。こんな対応しかできないのが川口市の現状だと思います。

控訴せずに今回の判決を受け入れたことは多少の評価しても良いと思いますが、裁判において頑なにいじめであることを認めず、顧問による体罰も否定するという姿勢からは、「嘘を突き通せば裁判に勝てる」という身勝手な自己主張しか伝わってきません。

保護者としては、学校を信じているからこそ、子供を預けているのに、川口市は守ってくれない、それどころか「いじめはなかった」と裁判で戦い続けたのです。

「嘘をついてはいけない」、この当たり前ことさえできない学校関係者、このような方たちを教育者と認めることは到底できません。

やはり、国として、教師による「いじめ」や「隠蔽行為」について明文化すべきです。大人が行う「いじめ」は、犯罪行為ではあるのは当然なのですが、「いじめ防止対策推進法」に明記されていないことを理由に学校が対応しないことがあるのです。

あるおかあさんからの相談では、「いじめ防止対策推進法のいじめの定義には教師からのいじめは入っていない。だから、いじめではない。いじめは生徒間のトラブルに限られていると言われました」という内容でした。

教師によるいじめは「いじめ」として扱うものではなく本来は「犯罪」です。

しかし、それでは足りないのです。現状を見る限り、大人が子どもである生徒に対して嘘をついたり、いじめを隠蔽する行為については、教職員の懲戒処分を「いじめ防止対策推進法」に盛り込む必要があります。

当たり前のことです。教師が、いじめに加担したり、黙認したり、さらに組織を上げて隠蔽したりすることを許してはならないのです。

受験シーズンでありますが、一方、今学年が終わる最後の学期です。

いじめ問題を4月以降に持ち越すことは、被害者にとっては大変不利な状況を招きかねません。学校との話し合い、早急に解決をすることが大切です。

なにかお困りのことがありましたら、ご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

(無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』2022年1月29日号より一部抜粋)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

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