韓国大統領が竹島の写真入りのギフトを日本大使館に送り抗議を受けた話は記憶に新しいですが、日本は今後激化するかもしれない領土問題に対してどのように対応していくべきなのでしょうか。今回のメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、 世界的な戦略家が日本へ驚きの案を提案しています。
【一日一冊】日本4.0 国家戦略の新しいリアル
エドワード・ルトワック 著 奥山真司 翻訳/文藝春秋
日本4.0とは何でしょうか。著者の定義は、江戸時代が日本1.0、明治時代が2.0、戦後が3.0です。日本はこれまで、時代の変化に合わせて自国のあり方を大きく変えてきたのです。
そして今、米中対立、ロシア欧州対立、北朝鮮の核兵器、少子社会という中で大きな変化が求められており、その未来の姿を日本4.0としているのです。
著者の推奨する日本4.0は課題に対して現実的、実務的、実戦的に対応する国家です。
例えば、尖閣諸島には武装した環境保護調査員を常駐させます。少子化に対しては子どもの養育費を国が負担します。北朝鮮に対しては、イスラエルのように核兵器施設を空爆するのです。
戦争で必要なのは、勝つためにはなんでもやるということだ…目的は「勝つこと」であり、「ルールを守ること」ではない(p52)
この本はトランプ大統領が米中貿易戦争をはじめた2018年に書かれた書籍です。
現代社会は冷戦時のように米ソのコントロールにより国家紛争を抑圧する仕組みがなくなり、局地的な紛争が頻発しています。
例えば、クリミアや南シナ海のように侵略しても処罰されず、勝者は獲得したものを保持し、敗者は奪われたままで反撃の準備をしているのです。国際社会は非常に不安定になっているということです。
その一方で、世界一の軍事力を持つ米国はできるだけ兵士の死傷者を減らすような作戦を好みます。ドローンによる攻撃や巡行ミサイルで処理できるならそちらを選択するのです。そして現在は、武力よりも経済力を利用した、貿易戦争や経済封鎖で相手国を攻撃するようになっているのです。
軍事力の重要性がこのまま低下してしまった場合、…「世界ビジネス」が残されることになる(p143)
対中国、対ロシアに対しては、武力による紛争よりも経済戦争の比率が大きくなっていくだろうと予想する一冊でした。
2018年に書かれた本ですので、バイデン大統領の対ロシアへの対応もその流れに沿っているということがわかります。
日本も敵地攻撃能力の検討や、離島防衛力の確保に力を入れています。次のステップは尖閣諸島への武装した常駐者の配置ということになるのでしょうか。
ルトワックさん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★☆☆(79点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(お薦めです!ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(買いましょう。素晴らしい本です)
★★★☆☆(社会人として読むべき一冊です)
★★☆☆☆(時間とお金に余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては価値を見い出すかもしれません)
☆☆☆☆☆(こういうお勧めできない本は掲載しません)
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