【武田双雲×茂木健一郎】人は「幸せ」だからこそチャレンジできる。今まで“真逆の選択”をしてきた日本

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書道家・武田双雲さんと脳科学者・茂木健一郎さんの対談がまぐまぐ!LIVEで配信されました。対談のテーマは「新年度をポジティブに迎える方法とは?」。今回のクロストークの模様を一部だけテキストにて特別に公開いたします。司会進行はフリーアナウンサーの内田まさみさんです。

<動画で対談のダイジェストを視聴>

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武田双雲×茂木健一郎:クオリアは「ノーベル賞1000個分」ぐらい深淵なもの?

茂木健一郎(以下、茂木):よろしくお願いします。

武田双雲(以下、武田):よろしくお願いします。やったー、茂木さんとまた話せるんだ。僕も脳科学が大好きなただの素人なんですけど、やっぱり「クオリア」って、書道家で言う質感ってあるじゃないですか。質を感じるっていうか、例えば和紙の手触りとか、あとは感覚、言葉にならない質感みたいなのを僕の書から感じたり、僕も書くときに感じている時の「クオリア」って言葉を、だいぶ前だけど茂木さんの本で読んだ時に感動したんです。改めて脳科学的に言うと「クオリア」って何なんですか?

茂木:「クオリア」は「クオリア」だから(笑)。クオリアは神経細胞の活動で生まれているんだけど、どう生みだされているのかは正直ノーベル賞1000個分ぐらいの謎です(笑)。もうそれぐらい深淵な謎で、一部の物理屋が「クオリアを定義するのって難しいですよね」っていうのを聞くと、マジで言ってんのお前?っていつも思うんだけど、俺は大人だから今ここで言うまでは黙ってた(笑)。

武田:要するに、クオリアは「ノーベル賞1000個分ぐらい」っていうぐらい深淵なもので、茂木さんみたいな人たちがクオリアを研究してるんだけど、まだまだ分かってない部分がたくさんあるってことですね?

茂木:これは、俺たち脳の研究を始める人が必ず読む、エリック・R・カンデルという神経学者が書いた『Principles Of Neural Science』っていう本です。この人は2000年にノーベル生理学・医学賞をとった人で、カンデルはアメフラシの神経細胞の特徴を研究している人なんだけど、こんな感じの分厚い本をみんな読まないと、修士とか博士号の研究を始められないわけ。こんな電話帳みたいな本を。脳のすごく複雑なシステムの中から意識が生まれているわけだから、双雲はそれをアートとしてやってるわけじゃん。それは興味あるわけだよね、クオリアに。

武田:すごい興味あるんだよな。だから今、茂木さんっていう最先端の人には、クオリアの世界がどこまで見えているのかっていう感覚が知りたいって思います。

何かに挑戦するためには「安全基地」が必要なワケ

武田:茂木さんってハイブリッドな人で、「無邪気な青年」の部分もそのまま大事にしつつ、「超大人の社会派」と「頭のよさ」を手に入れちゃっているという。無邪気さと頭が圧倒的に良いという、この「矛盾エネルギー」が、今の茂木さんの爆発を作っていて、茂木さんみたいな人が日本で一番これから必要とされてくるんじゃないかと思います。

茂木:いや、俺はもう引退だからさ。俺は日本のメディアを全然信用してないんだけど、人間って何か挑戦するために必要な「安全基地」が無いと、いろいろなことに挑戦できないんだよ。双雲は、めっちゃくちゃ「安全基地」がある気がする。

武田:いや、もう毎日安心しきって安堵感の中で生きてますよ。

茂木:でしょ? だからこそチャレンジできる訳じゃん。安全基地って親子関係がすごく重要で、親に丸ごと肯定された子って安全基地が出来るんだよね。

武田:マジでそのままです、もう全肯定です。神様だと思って育ててもらった。なぜ肯定され続けると安全基地ができるんですか?

茂木:脳の中のある種の「貯金」みたいなもので、「安全基地」とは感情の中枢である扁桃体のことで、これがあればあるほど前頭葉を中心とするチャレンジができるんだけど、これって要するに子供の時に丸ごと肯定されることでできるんです。日本人に自信がない人がなぜ多いのかというと、日本の親って条件付きの子育てをする人が意外と多いからなんです。勉強できればいい子だけど、勉強しないんだったらママは知りません、みたいな。そういう育て方をしちゃうと、安全基地が減っていっちゃう。褒めて伸ばすってよく言いますけど、叱る必要は一ミリもないんです。叱ることはゼロで大丈夫です。双雲は、どう思う?そう思わない?

武田:いや僕、まったく叱られたことが無いんですよ。

茂木:日本のお母さんとしゃべっていると、めっちゃ息苦しいんだよね。「子供の叱り方はどうすればいいですか?」って。いや叱らなくていいですからっていつも思うんだけど。俺は勉強しろって言われたことは一度もないです。俺は、はっきり言って、中学受験とかマジでいらないと思ってるし、受験文化はまったく認めていないので。双雲も受験したんだよね? どうやって東京理科大に入れたの?

武田:僕は本当に勉強しない子だったので。理科大の対策試験を、家庭教師の先生に頼んで予想してもらって、うちの親父が競輪の天才的なギャンブラーなので、競輪の予想と同じように一緒に賭けて問題を絞って、本当にそれがそのまま25点、25点と出題されて、国語とか英語とか(笑)。

でも、この「安全基地」のことって意外に知られていないですよね。チャレンジっていうと、もう無謀なイメージがあるじゃないですか。命知らずの無謀なやつ、みたいなカッコいい感じがあるけど、実はすごく「まろやか」なんですよね。

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