「こんなNFTなら私は投資する」世界的エンジニアが語った仮想通貨とNFTへの懸念と将来性

 

昨今のNFTを巡る状況に対しては、あくまで懐疑的な中島さん。しかし、そのいっぽうで「ビジネスそのものとして価値を生み出す何かがあり、そこにお金が流れ込むっていう形のNFTなら、投資の対象として考えられる」とも語る。

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「最近のNFTだと、遊んで稼ぐっていう“Play to Earn”なんかも話題ですが、あれの一番の問題はみんなが儲けようとしてること、儲けようとするお金しか入ってこないところなんです。でも、こういうので出ていくお金っていうのは、入ってくるお金より絶対に少ないわけで、だからゼロサムどころかマイナスサムにしかならない。

そういうNFTじゃなくて、例えばみんなでそのNFTを買うと、そのお金を利用して何らかのビジネスが作られ、それがお金を稼ぎ始めると。……要はお金が集まるんだから、投資と同じじゃないですか。そういったものができれば、それはいい投資になるんじゃないかと。

例えば、森ビルあたりがNFTを発行して、お金を集めてビルを買います。そこをオフィスとして貸して、その収入がNFTを持っている人に分けられるんだったら、そこにはリアルなビジネスがあるじゃないですか、“不動産を貸す”っていう。そういうNFTには投資する価値があるかと。

だけど、誰かが書いたサルの絵みたいなNFTっていうのは、それが上がる理由って“他に買う人がいる”だけじゃないですか。それだと全然投資にはならないんです」

不動産を中心に運用する金融商品といえば、REIT(リート、不動産投資信託)という存在もあるが、中島さん曰く、そちらがすでに各種法令でがっちりと固められているのに対し、NFTだと今のところは法規制がないため、やろうと思えば気軽に始められるのでは……とのこと。

「僕も本気でちょっと考えたんですよ。ハワイに自分のために不動産をひとつ買ったんだけど、その隣にもうひとつ買ったうえで、NFTを発行してレント収入を渡すっていうのをやったらって。

……まぁ、不動産の話はあくまでひとつの例として、今後はそういうリアルビジネスが中にあるNFTが、ファイナンスのひとつの仕組みとして出てくるのかと。誰かがいずれは作るだろうし、もしくは自分でそういうのを作るのもいいですけど。だからNFTで投資をしたいなら、そこまで待ったほうがいいんじゃないかと思います」

聞き手・文/芳村篤志

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