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Man putting a ballot into a voting box - South Korea

有権者すらも愚弄する政治家。李在明が韓国民主党代表に選出の異常

韓国民主党は党代表に、あの李在明氏を選出しました。前回『なぜ、韓国民主党は李在明のためだけに「党憲法を改正」するのか?』でも取り上げた「李在明リスク」について、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』で紹介しています。

李在明リスクあれこれ

李在明(イ・ジェミョン)氏の鉄面皮は今にはじまったことではない。これほどあつかましい人間もそういるものではないと筆者には思える。韓国人でも「普通」の人ならみなだいたい同じような感覚をもっているようだ。きょうは文化日報コラムからご紹介したい。

「共に民主党」の李在明議員が大統領選挙敗北2か月ぶりに国会議員補欠選挙に出て当選し、さらにその2か月後に党代表選挙に相次いで出馬するなど、短い期間に大きな選挙3本を通じて2重防弾幕をほとんど完成した格好だ。

城南市長と京畿道知事を務めた前大統領選候補である李在明氏がソン・ヨンギル前代表が楽勝してきた民主党強勢地域に何の名分もなく出馬し国会議員の不逮捕特権を得た(国会議員になると逮捕されないという法がある)のに続き、来る8月28日の党大会で党代表に選出されれば2次防弾幕が完成する。

政界の慣行と常識に合わない6・1仁川桂陽の補欠選挙で李在明出馬説が出回った時から、このような構図を描いていたものと考えられる。大統領選挙敗北直後、5年レースの大統領選挙2次戦を公開的に再び始めるのは、政治的に大きな危険を甘受する冒険だが、大庄洞・ペクヒョンドン開発不正疑惑、城南FC不法後援金募金疑惑、京畿道庁法人カード私的流用疑惑、弁護士費代納疑惑など司法リスクを避けることが急務であるためだろう。5年後の大統領選挙の有利・不利は抽象的な心配であり、直ちに司法リスクを避けることは死ぬか生きるかの問題と認識したに違いない。

1週間後に確定する「李在明代表と親明(チンミョン=李在明支持者)強硬派最高委員」体制の民主党は、以前とは性格が全く異なる新しい段階に入ることになる。非常対策委員会でブレーキがかかり折衷案で妥協されたが、党役員の職務停止基準を「起訴」から「下級審禁固以上判決」に党憲80条を改正しようとした親明議員らと「ケッタル(犬娘=李在明支持を叫ぶ女性ら)」の試みは、以前の民主党との深い断層を象徴する。

「李在明民主党」は金大中(キム・デジュン)、ノ・ムヒョンの民主党はもちろん文在寅民主党とも異なる性格の政党になるだろう。「チョ・グク事態」に代表される文在寅政府は傲慢と独善、口を開ければ嘘ばかりの「ネーロナンブル(自分がやればロマンス、他人がやれば不倫というのが原義)」政権と呼ばれたが、それでも表向きは正しいことを言う偽善くらいは見せたものだ。露骨に非民主的独善政治をするとは宣言しなかった。

しかしこの「ムンパ(文在寅派の義)」よりはるかに悪性の犬娘が反明議員(反李在明派議員)に対して野蛮な「スイカ狩り(反李在明派議員らを批判する)」を敢行した点などを鑑みてみると、李在明の民主党では極悪なファンダムを前面に掲げた「紅衛兵政治」の日常化で反対派が消滅した1人独裁政党に暴走する危険性が大きい。

民主党に襲いかかるもう一つの危険は、限りなく軽く、朝弁夕改(朝言ったことを夕方には取り換える)する「李在明発言リスク」から発生する公算も大きい。ある面ではこちらのほうが司法リスクより致命的になるかもしれない。

大統領選候補を務め、まもなく党代表にもなろうとする人物が問題性発言を投げかけ、それが論議になればマスコミのせいにし、そのような歪曲も容易でない状況なら「冗談で言ったのにそれを本当に信じてどうするんだよ」と嘯(うそぶ)いて開き直る。このようなやり方では今後、李在明のいかなる言葉も信じられなくなる。政治の大半が言葉で成り立っている民主主義体制において、指導者が言葉の信頼性を失えば、指導力を維持することは難しい。

李議員の夫人、キム・ヘギョン氏の法人カード流用疑惑関連の核心被疑者としてペ某氏という女性がいる。このペ某氏の知人の金某氏が参考人として取調べを受けているときに「極端な選択」をした(1、2か月前になるか)。最初、李議員は「(私と)何の関係もない人が検察、警察の強圧捜査に耐えられず亡くなったが、それが李在明と何の関係があるのか」と反発した。

続いて大統領選挙当時、この金某氏が妻キム・ヘギョン氏の随行運転手だったという証言が出ると、李在明側は「キム・ヘギョン氏の車を運転した人は全く別の人物」とし「ありもしない関係を無理やり作ろうとする陰謀と歪曲」と露骨に否認した。

だが、李在明側が選管に提出した支出明細書に金某氏に選挙キャンプ運転手給与を支給した事実が明らかになると「キム・ヘギョン氏の前を走る先行車両を運転したもの」と釈明した。妻・キム・ヘギョンが乗った車を運転したわけではないということで、目の前の危機だけを免れようと嘘をついたわけだ。

「過半勝利で危機の民主党を救う」と地方選挙と同じ日に行われた国会議員補欠選挙出馬の名分にした李在明は最近、代表候補討論会で「大統領就任後すぐに行われる選挙は結果が悪いということは予測されたが、もっと良い成果を(みんなが)考えたことには同意し難い」と再び自分の言葉を覆した。

「尊敬する朴槿恵元大統領と言ったら、(世間の人は)本当に尊敬していると思ったようだ」と、有権者を愚弄するような発言の前歴まで考慮すれば、彼の「言語リスク」は慢性病のようだ。こんな人がまかりまちがって5年後、韓国の大統領になった日のことを考えると居ても立っても居られない。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月21日号)

image by: Shuttertstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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