大金を手にした人々は夜の街へと出かけ、そしてカネの匂いを嗅ぎつけた「ハイエナ」たちに狙われてしまう─。そんな、私達の知り得ない闇について教えてくれる一冊を、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で紹介しています。
【一日一冊】半グレと芸能人
『半グレと芸能人』
大島佑介 著/文藝春秋
文春砲として怖れられる週刊文春の記者の本ということで、読んでみました。主に市川海老蔵事件をおこした「関東連合」について書いています。朝青龍の引退の原因となった暴行事件との関連も面白い。
「関東連合」とは東京の世田谷区の暴走族出身者の集合体です。暴走族としては30人くらいの小集団ですが、暴走族同士の抗争があれば、殺人事件を起こすような危険な暴力集団だったようです。
この関東連合を六本木に連れてきた男として朝青龍に暴行を受けた「知人男性」が出てきます。この「知人男性」は、六本木の帝王、モンスターとの異名を持ち、20代でアダルトビデオで大金を得たという。
「知人男性」はその金を使って、渋谷のクラブなどで芸能人や起業家たちと交流し人脈を広げ、「帝王」となっていったのです。
同じ頃、「知人男性」は関東連合とも夜の街で出会い、意気投合。その人脈を関東連合のメンバーに紹介することで、関東連合は大物芸能人のボディガードや社長の運転手なども務めるようになったという。
売れないグラビアタレントなんかは給料が安いですから、起業家らと飲むだけで小遣いが貰えて人脈も広がる(p77)
知人男性は、その後、関東連合の異常な暴力性、危険性に気づき手を切って、六本木にクラブのプロデュースなどしていました。そうした中、知人男性は朝青龍から暴行されて大事件となってしまうのです。
一方の「関東連合」といえば、酔っぱらった市川海老蔵から元関東連合リーダーの石元太一が六本木の会員制バーで出会い、酒癖の悪い市川海老蔵に切れた関東連合OBが海老蔵に暴行してしまうのです。
さらに、「関東連合」は、六本木で人違い金属バット襲撃殺人事件をおこし、多くのメンバーが逮捕され、リーダー見立真一容疑者が海外逃亡して、ほぼ解散状態にあります。
こうしてみてくると、関東連合のような半グレ集団が、特殊詐欺や偽造カードの不正使用に関わっていたり、海外からの金塊密輸、ボッタクリバーの運営、自動車窃盗など暴力団に近い資金源を持っている印象を持ちました。
AV事務所が関東連合系の会社のはじまりでした(p48)
大金を手に入れると、夜の街に繰り出したくなる人種がいるようです。金を車、酒、女、ギャンブル、VIPルームに使ってしまう人たちです。そして、そうしたお金を使う人に、引き寄せられるように集まってくる人もいるのです。
この本で名前が紹介されているのは、グッドウィルグループの折口雅博氏、大王製紙の井川意高氏、覚せい剤で逮捕された小向美奈子、ABCホームの塩田大介氏。
それ以外は、仮名やイニシャルだらけでよくわかりませんでしたが、お金の魔力の怖さを感じました。ちなみに私はお酒に弱いので夜の街は好きではありません。
大島さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★☆☆(72点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
image by:Tokyo Visionary Room / Shutterstock.com