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日本が誇る魚食をビジネスに。寿司屋でも使える「うんちく風」の名著

日本の魚食文化は世界のセレブにも注目されており、今や魚ビジネスはインバウンド需要も多く見込まれる分野となっています。そんな、魚ビジネスと魚に関するうんちくまでを詳しく語った一冊を、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが詳しく紹介しています。

【これぞ『魚ビジネス』の世界】⇒『魚ビジネス』


魚ビジネス

ながさき一生・著 クロスメディア・パブリッシング

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、タイトル通り、魚ビジネスを扱ったロングセラー。

周りであまりに評判がいいので、手に取ってみましたが、これは「当たり本」ですね。

著者は、ドラマ「ファーストペンギン!」の監修者で、一般社団法人さかなの会理事長・代表、東京海洋大学非常勤講師のながさき一生さんです。

サブタイトルにもあるように、まさに「食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養」ですね。

刺身と寿司のビジネス的な違い、メリット・デメリットで見たさまざまな漁法、鮮度を保つための職人技や冷凍技術、缶詰や燻製、練り物、発酵などの加工技術、魚の流通、養殖や培養魚肉などの最先端トレンドなど、魚について知りたかったありとあらゆることが書かれています。

読んだ後、よくこんなことも知らずに都内の有名寿司店に行っていたもんだと、恐ろしくなりました。

次に寿司屋を訪れた際には、「ああ、一本釣りで神経締めしてるんですね」とか「やっぱり西日本のブリはコリコリしていていいですね」なんて言ってみようと思います。

いわゆる「教養としての○○」本と違うのは、本書がちゃんと『魚ビジネス』そのものにもスポットを当てていること。

魚ビジネスのトレンドや今後の課題などがわかりやすくまとめられているため、進路の参考にしたい学生さんにもおすすめできる内容だと思います。

これからの魚ビジネスの生き残りの鍵についても議論されており、その流れで注目の名店情報なども紹介されているので、グルメ情報としても重宝すると思います。

魚食は今や、世界的ムーブメント。

インバウンドで稼ごうとする方も、ぜひ教養として読んでおくといいでしょう。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

世界では、魚の消費が伸び続けています。FAO(国際連合食糧農業機関)の「世界・漁業養殖白書2022」では、食用として消費される水産物は、年々増え続けていることが報告されています。1970年には4000万トン程度だったものが、2020年には過去最高の1億5700万トンに達しました。これは、毎年の人口増加のほぼ倍の割合で増えています

2013年にユネスコの無形文化遺産に「和食 日本人の伝統的な食文化」が登録されたことも話題を呼びました

刺身は産地で食べるもの、寿司は街で食べるもの

寿司は、様々な食材を世界各地から一箇所に集めて味を追求するもの

釣りは魚体が痛みにくい漁法です。特に一本釣りは、掛かってすぐに揚げられ、魚体が最も痛みにくい漁法の1つ

関サバは、大分県沖の潮の流れが早い豊後水道に生息し、寄生虫が寄りつかないくらい身が鍛えられています

近大マグロのすごさは「世界で初めて完全養殖に成功した」点にあるからです。そしてポイントは、マグロが卵から孵化してから幼魚になるまでの間にあります。つまり、本当にすごい部分は「マグロの子供の飼育方法を完成させた点」にあるので、大きなマグロの画像に対して「本当はそこじゃないんだよな」と思うわけです

神経締め以外の締め方だと、「死んだ」という情報が神経を通して全身に伝わり、魚体の死後硬直が始まります。この死後硬直の際にも筋肉が収縮するため、 ATPは消費されるのです。しかし、神経締めをして神経を取ってしまえば、それは起きません。死後硬直をさせずに、ATPを体内に多く留め、うま味を増やせるのが神経締めなのです

サバの多くは秋冬に脂がのるので、秋冬に製造されたものの方が、脂がのっている可能性が高くなる

2021年の豊洲市場の取扱量は年間で約33.3万トン、取扱金額は約3800億円

角上魚類が繁盛している3つのポイント

(1)対面コーナーが充実している

(2)店員の数が多い

(3)郊外出店が多い

店先に大胆な写真やキャッチコピーをあしらうことは、「当店は魚の商品特性を分かっていません」と言っているのと同じ

長崎に住んでから、ちょっと魚に詳しくなり、面倒な客になった自覚がありますが、本書を読んだことで、さらに面倒な客になりそうな気配です(笑)。

魚ビジネスの概要から物流、個人として美味しい魚を楽しむためのコツまで、幅広く書かれた良書です。

著者いわく、<世界のセレブにもリスペクトされている日本の魚食は、ワインのように、今後世界の教養になっていく可能性もあります>。

グローバル時代の教養としての魚ビジネス。ぜひ、本書で学んでみてください。

これは、おすすめの一冊です。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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