緊急事態要請に新基準 重症病床率、週平均新規感染者―オミクロン株に対応・東京都

2022.02.03
0
by 時事通信


新型コロナウイルスに関する東京都の危機管理対策会議で発言する小池百合子知事=3日午後、都庁(都提供)

新型コロナウイルスに関する東京都の危機管理対策会議で発言する小池百合子知事=3日午後、都庁(都提供)

 東京都は3日、新型コロナウイルスの危機管理対策会議を開き、緊急事態宣言の発出要請を検討する新たな基準を決めた。変異株「オミクロン株」に対応するため、重症病床使用率などと1週間平均の新規感染者数を基に、医療逼迫(ひっぱく)度と社会経済活動への影響を総合的に判断する。席上、小池百合子知事は「オミクロン株の特性を踏まえた対策をさらに強化し、何としても感染拡大を食い止める」と述べた。
 新たな基準は(1)重症病床使用率(2日時点で15.1%)か、酸素投与が必要な入院患者の割合(同8.0%)のどちらかが3~4割(2)1週間平均の新規感染者数が2万4000人―の二つ。感染が収束傾向になく、(1)(2)の両方を満たした場合、政府に宣言を要請するとした。実態に即して基準を見直すことで、直ちに宣言を要請する状況ではなくなったが、医療現場は厳しさを増している。
 重症病床使用率は、これまで都が定義していた人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使用する陽性者に加え、コロナ以外の疾患で集中治療室(ICU)を使用する陽性者なども含める。1週間平均で2万4000人が感染すると、都内就業人口の約1割が欠勤を余儀なくされる恐れがあり、社会経済活動に影響を及ぼすと判断した。
 3日時点の都内全体の病床使用率は53.1%。都が従来、要請の目安としていた50%を上回った。ただ、「コロナによる肺炎自体は重症化率が低い」(都医師会の猪口正孝副会長)というオミクロン株の特性を踏まえ、新基準を検討することにした。
 また、高齢者施設での感染増加を受け、医師の往診体制や施設職員の派遣支援を強化。都立学校では来週から分散登校とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド授業」を始める。検査キットの不足に対応するため、無症状の濃厚接触者には、都がキットを無料配布する。
 ◇医療体制、最も深刻に
 これに先立ち開いたモニタリング会議では、4段階で示す医療提供体制の警戒レベルを1段階引き上げ、約4カ月ぶりに最も深刻な「逼迫(ひっぱく)している」とした。現在のペースで感染が拡大した場合、1週間後には1日当たりの新規感染者数が2万4756人に上るとの推計も示された。(2022/02/03-20:09)

print

人気のオススメ記事