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ジム・ロジャーズ氏が考える日経平均の高値余地は?急騰の予想的中も「飛び込み買いはしない」

日経平均株価が年初から急騰し、今週は約34年ぶりの3万6,000円台を回復する場面も。これは著名投資家ジム・ロジャーズ氏の予想どおりですが、一方で同氏は「2024年は世界で経済的な危機が起こる」とも主張しています。今回は、メルマガ『 世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」 世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」 』創刊号の全文を特別公開。日本やアメリカの株価見通し、いま最もエキサイティングな3つの国、日本人の円安・インフレ対策などをご紹介します。1月21日(日)に配信された次号とあわせてお楽しみください。

※『世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」』次号は2024年1月21日配信です。ご興味を持たれた方はこの機会にご購読ください。

プロフィール:ジム・ロジャーズ
1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年間で4200%という驚異的なリターンを上げる。37歳で引退した後、コロンビア大学で金融論を指導する傍ら、テレビやラジオのコメンテーターとして活躍。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。

4万円を目指す日経平均株価、その裏で迫る世界経済危機

日本の株式市場は、今後数週間から数ヶ月のうちに、1989年12月に史上最高値を記録した4万円近くまで回復すると思っています。その理由は、次の2つです。

2024年から日本では非課税優遇制度の新NISAがスタートするという情報を聞いています。加えて日銀には、ETFを購入する余力がまだ残っています。よって、日経平均株価が過去最高を超える可能性があると考えています。

同時に、日本だけでなく、世界で経済的な危機が起こるとも予想しています。

世界最大の株式市場であるアメリカでは、株価指数は史上最高値に近いです。株式市場はリーマン・ショック以降の過去14年間はずっと好調です。これはアメリカ史上最長の期間です。この状態が40年も絶対に続かないとは言い切れませんが、これまでは続いたことはありません。

すでに強気相場の終盤に起こる兆候が現れています。新しい投資家が参入しています。アメリカでは上位7銘柄が上昇の大部分を牽引するという事態が起きており、上昇する銘柄がどんどん少なくなってきています。

こうしたことはすべて、過去にもあったことなのです。よって、2024~25年近辺で、強気相場は終わりを迎えるのではないだろうかと予測しています。

すでに終わりは始まっているのかもしれません。アメリカが問題を起こせば、日本も含めてすべての国へ問題は波及するでしょう。

中国市場に関しては、コロナウィルスと不動産バブルの崩壊によってすでに株価が大きく落ち込んでいるので、それ以上大きく下がるということは考えにくく、比較的ダメージは少ないだろうとみています。

私がこれから伸びる国として注目をしているウズベキスタンのように、他の国よりもよい状況になる国もあるでしょう。しかし、2024~25年には、世界の大半は現在のようにはうまくはいかないだろうと考えています。

そして、2025~27年には世界中にとても不幸な国民があふれると考えています。国民の不満は貿易戦争に発展し、さらには銃撃を伴う戦争に発展してしまう可能性さえもあると考えています。

私が日本株ETFを全て売却した理由。次はいつ購入するか?

私は少し前に日本株のETFを全て売却しましたが、細かなタイミングに関しては多少間違いを犯すこともあります。私が日本株をまとめて買い始めたのは東日本大震災の前後です。ですので、長い間保有した後にようやく大きく上昇をしました。

日本の株式市場に関しては、皆さんもご存知のようにバブル崩壊後は長い間、下落が続いていました。2013年になってようやく上昇に転じ、現在では30年以上前の最高値に近づいています。

日本の株式市場が復活した大きな理由は中央銀行である日本銀行がETFを買い始めたことです。日銀によるETFの買い入れは2010年に始まり、2013年4月には「量的・質的緩和」が導入され、日銀によるETF保有残高を年間1兆円増やすことが決まりました。その後も買い入れ額は増加していきました。

今になって、もう少し長く日本株を保有してもよかったと気づきましたが、この水準で買うことはもうないでしょう。日本株はあと15~20%くらいは上がるかもしれません。しかし、今、飛び込んで買おうとは思いません。

いま最もエキサイティングな国は「ウズベク、サウジ、ベネズエラ」

2023年12月現在、私が注目している国はウズベキスタンです。ウズベキスタンは、戦後長い間ソビエト連邦の共和国でした。ソ連崩壊後、ウズベキスタンの指導者は国境を閉ざし、専制政治を推し進め、国内で支配権を強める政策を続けてきました。

しかし、2016年に就任したミルジヨーエフ大統領は、国境を開くことが国の繁栄につながることに気づいたのです。

ウズベキスタンでは経済システムの自由化、投資環境の改善を実施し、2017年には為替レートの統一を行うとともに、外貨兌換、持ち出しに対する制限を撤廃しました。歴史を遡って、国をオープンにしたほとんどが繁栄と成功を収めていることを忘れてはいけません。

エキサイティングな国やセクターを見つけることは本当に稀なことなのですが、この国は、共産主義者によって破壊されたばかりの国です。今は新しい人たちが国を動かしており、国や経済を成功させるために有効なことをやっているように感じます。その上、株式市場は活況を呈していません。

過去10~15年間はほぼどこの市場も好調だったので、そうではない国を見つけることは難しいものです。だからこそ、2023年と2024年に良い投資先を見つけることは非常に難しいのです。

劇的な変化を遂げたもう一つの国はサウジアラビアです。サウジアラビアも石油やマネーなど多くの資産を持っています。私はサウジアラビアでよい投資先をまだ見つけていませんが、ウズベキスタンの株を購入しています。

もうひとつ、ベネズエラも破滅的な状況にあった国ですが、これからは好機が訪れると予測します。

日本には「機」という言葉があります。ある国が危機、戦争、不況、疫病に見舞われたら、「きき」という言葉を思い浮かべ、その場所を投資機会として見るのです。歴史的に見ても明らかなように、災いを買い、自分が何をしているかを知り、慎重に行動すれば、必ず成功するでしょう。

日本人が資産を増やしたいなら円安・インフレ対策を

1970年代後半から80年代の日本の円相場は1ドル175~200円を超えていました。今回の円安でも、その水準まで進むこともありうるとみています。

当時の人口動態は出生率も今より高く、国としてはもっと成長しており、借金も少なかったので、当時よりも円安が進む可能性はあると思います。自国の通貨を安くして成功した国は歴史的に存在しません。

しかし、円安は悪いことだけではありません。輸出産業や観光産業は円安の恩恵を受けるので、すべての人にとって円安がマイナスではありません。更なる円安とインフレから身を守りたければ、円安になると上がるものを見つけることです。そうすれば自分を守ることができます。

インフレ時代の投資先として、注目しているのはコモディティ(商品)です。商品には原油やガソリンなどのエネルギー、金や銀などの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物などがあり、私は長期に渡って、商品に注目し投資を続けてきました。

株式と商品の相場は、逆相関の関係があります。株式が上昇するときには商品が下がり、商品が上がるときには株式が下がり、逆に動く傾向があるのです。およそ18年サイクルで両者の優位性が入れ替わります。

過去を振り返ると1970年代は商品相場が過熱して株式市場は不振でした。当時の米国は史上最悪のインフレの状態にあり、商品価格が上昇を続けました。現在では、しばらく続いた「株式の時代」が終わり、「商品の時代」に転換しようとしていると感じています。

私は世界のインフレが再度ぶり返す可能性もあると見ていますので、ポートフォリオにある程度の商品を組み入れておくと分散効果があると考えています。商品への投資は歴史的にインフレヘッジや株式市場の下落に対しヘッジ機能の役割もあります。

物価が上昇すれば商品の価格も上昇するので資産の目減りを防ぐことができます。株式や債券とは違う値動きをすることが多く、株価が下がった分を補ってくれる可能性もあるのです。

危機は投資のチャンス。その兆候を見極めるには?

私は日本のことが大好きで、ウナギなどの日本の食べ物や文化も大好きなのです。近いうちに日本にも訪れたいと願っています。そうした日本が現在、経済的にピンチに陥っているのをみて何かメッセージが送れたら、優秀な日本人の方が世界で活躍できるようにヒントを与えられたらと感じてメルマガを開始することにしました。

読者への最も重要なメッセージは、このメルマガで私の考え方や歴史や金融マーケットの知識を身につけることです。そして、世の中で何が起こっているのか、ニュースや旅などからたくさん調べてください。私も世界中を目で見て回っているので、旅に関する情報も発信したいと思います。

また、決して楽観視せず、正しい心配をすることが重要です。

心配をすれば、注意深くなるし、準備もできます。「備えあれば憂いなし」という言葉があります。例えば、世界的な経済危機はいつ起きるか、正確なタイミングは私にも現時点ではわかりません。

どのように兆候を見極めればいいかというと、大きな危機も、最初はごく小さな国や企業の破たんから始まることが少なくありません。小さな問題が起き、世界中の誰もが心配をしていない時でも、それから数週間、数カ月が経過した時、世界に大きな経済ショックをもたらします。ですので、慎重に判断をし、心配をし、備えることが重要なのです。

また、私を含め、他人からの情報を自分で全く調べずに鵜呑みにしてはいけません。自分がよく知っている投資対象を見つけることも必要です。

お金を上手に増やし、幸福な人生を手に入れる

また、幸せになるためにお金をどう使うかを考えることも重要です。人生で幸せな人は、自分の情熱を追い求める人だと思っています。手に入れたお金を何に使えば人は幸せになれるのかは各人によって違います。もしあなたが成功をしていたら、お金を慎重に使うようにしてください。

私は大成功をした時にも慎重にお金を使っていましたので、37歳という若さでリタイアをすることができ、現在は自分が好きな投資を追求して家族とシンガポールで幸せに暮らしています。

皆さんにとって、幸せな投資生活を送るヒントをこのメルマガでご提供できる機会になればと願っています。私も皆さんからの貴重な意見をたくさん知りたいので、皆さんからのご質問も楽しみにしています――

(ジム・ロジャーズ氏のメルマガ第2号(1月21日配信)では、ビットコインや半導体セクター、日本人の海外移住、新NISA、健康に関する話題も。1月中に購読すればバックナンバーがすべて読めます。)

★ジム・ロジャーズへの質問はこちらからどうぞ。
回答はメールマガジン『世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」』に掲載されます。

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世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」 世界三大投資家ジム・ロジャーズの「Make Japan Great Again」 (2024年1月7日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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[月額5,500円(税込) 毎月第1・3日曜日]
世界三大投資家と称されるジム・ロジャーズが全世界の機関投資家と個人投資家に向けてメールマガジンを配信。中長期的な相場展望、次に来る市場・業界、有効な投資戦略や心構えについて読者だけにこっそり解説します。あらゆる疑問に答えるQ&Aコーナーも。翻訳はジム・ロジャーズ関連書籍を多く手掛ける花輪陽子とアレックス・南レッドヘッドが担当します。

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