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Luup、西武・東急と業務提携で各沿線に進出へ。“終バス”後の貴重な移動手段としてハマる可能性の反面「沿線の資産価値が下がる」との拒否反応も

電動キックボードなどのシェアリングサービス「LUUP」を展開するLuup社が、西武ホールディングスの子会社であるブルーインキュベーション、および東急と資本業務提携契約を締結したと報じられている。

Luup社などのリリースによれば、本提携により多くの人々が日常生活で利用する“動脈”のような「鉄道」という移動インフラを、「LUUP」が短距離で小回りの効く移動手段として“毛細血管”のように補完することで、沿線価値を向上させることを目指す、とのこと。

西武グループとLuup社は、すでに東京プリンスホテルや東京ガーデンテラス紀尾井町、ダイヤゲート池袋など、同社の関連不動産へのポートの設置を進めており、今後は西武線沿線やグループ施設にポートの設置を拡大していくという。

また東急とは、この提携により、交通データ分析に基づく戦略的ポート設置、両社リソースの有効活用によるオペレーション効率化、ポートの多機能化などを展開していくとう。

道交法改正以降、急成長を遂げたLuup

昨年7月の改正道交法施行により、特定の要件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付き自転車(特定小型)」と定義され、16歳以上であれば「運転免許不要」「ヘルメット任意」で運転できるようになったわけだが、それ以降、都市部を中心によく見かけるようになった「LUUP」の電動キックボード。

実際、「LUUP」がサービスを展開する都市は、今年6月時点で東京・大阪・横浜・京都・宇都宮・神戸・名古屋・広島・仙台・福岡の10エリアまで拡大し、電動キックボードを借りたり返したりする場所であるポートの数は8,200箇所まで増加。また車両台数は電動アシスト自転車も合わせると20,000台を超えるという。

このように道交法改正以降、その成長ぶりが目覚ましいLuup社なのだが、今度はなんと大手鉄道会社である西武・東急との資本業務提携ということで、会社としての格がさらにうなぎ上り……といったところなのだが、この提携で西武・東急とLuup社が目指しているのが、先述の通り“動脈と毛細血管”といった関係だということ。

“街じゅうを「駅前化」する新しい短距離移動インフラをつくる”というのが、Luup社が以前から掲げているミッション。そのなかのケースのひとつとして考えられそうなのが、通勤客などが最寄り駅を降りた後に自宅近くまで移動するための手段なわけだが、奇しくも従来までその役割を果たしてきた路線バスが、いわゆる「2024年問題」の影響で、利用客が比較的多い首都圏においても、減便の憂き目にあっている路線が多い状況。

とくに運転手の運用の問題として、短時間に一気に大きな山が来る朝のラッシュ時に多くの人員を投入すると、分散型で一定数が途切れず乗車してくるその日の夜の時間帯をカバーできる運転手の数が、圧倒的に足りなくなるという事態に。その結果、終バスの時間が繰り上げになってしまうといった路線も、ここに来て増えているという。

通勤客にとっても、ちょっと帰宅が夜遅くなってしまうと、最寄り駅までは帰れてもそこからのバスが終わっている、といった事態が頻繁に起こりかねない状況で、そこに徒歩よりもラクでタクシーよりも安価に乗れる「LUUP」があれば……ということで、Luup社にとっても今回の提携は、大きな需要の掘り起こしに繋がる可能性を秘めたものといえそうなのだ。

交通状況の悪化を予測する声も

このように会社としては順風満帆といったところのLuup社なのだが、先述した昨年7月の道交法改正以降、電動キックボードによる事故が急増しているのにくわえ、飲酒運転をはじめとした交通違反での摘発も多数。

【関連】電動キックボードの人身事故、なんと25%が飲酒運転。“免許不要”も災いして案の定「飲んだら乗るな」すら通じない低モラルユーザーが大増殖

さらには事故や摘発には至らないものの、各所で危険かつ無謀な走行をしているといった声がクルマなど他のドライバーや歩行者からもあがるなど、電動キックボードに向けられる視線はいたって冷ややか。それに伴って、そんな電動キックボードを世に広めたLuup社の世間からの評判も、正直かなり下がっているところだ。

それゆえか今回の提携話に対しても、「危なくて近辺には近づきたくないんだけど」と、駅周辺などの交通状況の悪化を予測する声は多く、果ては西武・東急沿線の資産価値が下がる可能性があるのでは……といった声まで飛び出す始末。さらに「東急と西武の不乗運動始めるか」など、ある意味で悪名高いLuup社との提携を決めた西武・東急への批判もあがるなど、SNS上では批判的な見方がかなり目立つ。

果たして「LUUP」は、西武・東急線利用者の貴重なラストワンマイルの手段としてピタリとハマるのか。それとも、都心部で多発する電動キックボードを巡る様々なトラブルを各沿線に伝播させ、さらなる悪評を買ってしまうことになるのか。その成り行きに多くの者が注目しているといった状況のようだ。

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