2025年2月7日に、NTTの決算が発表されました。NTTは株式分割により単価が引き下げられたこともあり、多くの投資家から人気を集めていました。ところが2024年に入り下落していて、今回決算が発表されてからも下落を続けています。このことから「今後のNTTは大丈夫なの?」と気になっている方が多いようです。そこで今回はつばめ投資顧問が、なぜ株価が下がっているのかについて解説します。また、NTTは長期保有にふさわしい株なのかについてもみていきたいと思います。ぜひ、最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
NTTの2025年3月期第3四半期決算概要
今回の決算で、NTTは増収減益となりました。
ここでは、決算の内訳と決算発表を受けて株価はどうなったのかについてみていきます。
<増収減益の決算を発表>
売上に該当する営業収益が3.4%の増収でしたが、営業利益が5.9%のマイナス。
当期純利益は、15.9%の大きなマイナスです。
当期純利益は昨年に株式を売却していて利益が多くなったので、今回決算では大きくマイナスとなりました。
一番見るべきは、NTTの実情となる営業利益です。
通期の予想も5.9%減と元々掲げられていましたが、今回の第3四半期までの決算でも覆すことはできませんでした。
<NTTの株価はなぜ下がる?>
NTTは2021年から2023年にかけて大きく上がっていましたが、2024年から株価下落が続いています。
2025年2月7日に決算が発表されてから、さらに株価は下がっています。
理由としては直近2四半期で利益の伸びが鈍化していたところ、今回の決算でも増収減益となってしまったからです。
前四半期に続き利益が減ってしまったので、投資家が失望する流れとなりさらに株価は下落しました。
今後増益になる見込みがたつと、株価は下げ止まると考えられます。
NTTの事業構造
NTTは元々電話会社で、1985年に民営化したときの売上高5.1兆円の大部分は電話事業によるものでした。
時間が経つにつれ、電話の売上は少なくなってきて総合ICT事業の売上が増えてきました。総合ICT事業とはモバイル・インターネットとあるとおり、ドコモの携帯電話事業とフレッツのインターネット通信事業です。
さらに、グローバルソリューション事業も時間とともに売上を伸ばしています。
グローバルソリューション事業は、社会インフラのデジタル化などを海外で手掛ける事業です。
NTTは電話の会社というイメージが強いですが、携帯やインターネットも取り扱っている会社だということですね。
これから時代に合わせて、さらに変わっていこうとしているのが現在の状況です。
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