日銀が「指値オペ」を29日から実施すると通告、ドル円は一時123円台に乗せるなど円安が加速しています。このまま日銀が「インフレより金融抑圧優先」の姿勢を貫けば、今週中にも125円超を試しにいくことになるのかも知れません。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年3月28日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
日銀「指値オペ」発表で円安加速
日銀は本日仲値への影響を避けたのか午前10時10分、固定利回り入札方式による国債買い入れ・いわゆる「指値オペ」を29日から実施すると通告しました。
これは2月10日通告、14日実施以来の2回目ということになります。
指し値オペとは、日銀が市場から国債を買い入れる際に、あらかじめ指定した利回りで、国債を買い入れるというやり方で、2016年9月21日に導入すると発表した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で採り入れられたものです。
今回の対象となるのは対象は10年債の363回・364回・365回で固定利回り格差は0.015%となります。
この結果、10年365回債の買入利回りは0.25%固定ということになります。
どのくらいの応募があるのかは29日を超えてみないとわかりませんが、前回を見れば金融機関からの応札はまたゼロで空砲ぶっぱなし状態になるのはほぼ確実な見通しです。
結局はインフレより金融抑圧優先で「円安なんて知らん」という意思表示か
2月から立て続けに短期間で2回も日銀が「指値オペ」を実施するということは、とにかく「なにがなんでも金利を上げたくありませんから!」という強い意思が感じられます。
他の主要国は次々と利上げに踏み切って、中銀本来のインフレファイトに臨んでいます。
そのなかでも日銀だけは、アベノミクスの根幹政策であった金融抑圧で金利を限りなくゼロに近づけることで国債乱発にともなう国債費の上昇を抑制する政策をここからも堅持するということを、世界に向けて大声で叫んだことになります。
先週来の片岡審議委員の記者会見や黒田総裁の議会での発言をさらにオフィシャルなものにしたと言えばそれまでですが、この中銀はインフレ対応は一切行わないないし、ドル円などどこまで円安に振れてもお構いなしを公言したようなもの。
ここからドル円は益々上昇することにお墨付きを与えることになってしまったようです。
Next: 今週中にドル円125円超も。日本経済は円安に耐えられるのか?