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株価15%下落「クボタ」は買いか売りか。長期投資家が注視する2つの成長戦略と機械事業ならではのリスク=佐々木悠

クボタ<6326>の株価が冴えません。4月に2,550円をつけた後、株価が下落し現在は2,150円前後となっています。今回はクボタのビジネスを深掘りし、この株価の下落は投資チャンスなのかを考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

クボタは「海外×機械」で成長している

クボタ<6326>日足(SBI証券提供)

クボタ<6326>日足(SBI証券提供)

まずはクボタの現状を整理します。水道用鉄管の製造販売を祖業として、1890年に創業しました。現在のクボタの主力事業は、祖業を引き継ぐ水・環境事業ではなく、建設機械の製造販売です。

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機械事業では、トラクタ、耕うん機、コンバイン、田植機、ミニショベル、農業用機械エンジンなどを取り扱っています。水・環境事業では、パイプ鉄管や上下水道装置およびプラントなどの製造販売を行っています。農業機械では国内トップ、世界2位です。ミニショベルにおいては世界シェアトップです。

次に、売上の長期推移を見てみます。

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出典:決算短信より作成

23年12月期の売上は過去最高の3兆円に到達しました。24年12月期も前年比+300億円で最高売上を更新予定です。ここまでの売上の成長を支えたのは機械事業です。利益の推移も確認してみます。

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出典:決算短信より作成

こちらも2015年から2023年にかけて利益が倍増しています。その中心は、やはり機械事業です。では少し視点を変えて、地域別の売上推移をみてみましょう。

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出典:決算短信より作成

クボタは大阪に本社を構えていますが、海外売上比率は約80%です。最大のマーケットは北米であり、その他アジア地域における成長も顕著です。地域別の成長と機械事業の成長を見比べてみます。

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出典:決算短信より作成

こちらも同じであり、機械事業においては海外の売上増加が目立っています。

機械事業の成長を商品別で見ると、主に農機・エンジンが成長を牽引しています。しかし、近年は建設機械の成長も目立ち、その両方が成長ドライバーとなっていることがわかります。

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出典:決算短信より作成

たくさんグラフを出しましたが、ここでクボタの現状をまとめます。

  • 中長期的に業績は成長している
  • 成長の中心は機械事業の農機・エンジン
  • 海外における成長が目立つ

では、クボタの農業機械やエンジンがなぜ海外で売れているのかを解説します。

弱者の戦略で成長を遂げる

クボタが農業機械を世界で売ることは容易ではありません。北米にはDeer&Co(ディアアンドカンパニー、以下ディア)という巨大な農業機械、建設機械の製造販売を行う企業があります。23年度の売上と時価総額を比べると、クボタとは天と地の差があります。

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出典:SPEEDAより作成 時価総額は24年6月5日時点(1ドル=150円で計算)

クボタの海外展開には歴史があり、1972年に米国に進出しました。しかし当初は大苦戦。日本の狭い農地で小回りの効く農業機械は、アメリカの広大な土地の畑作にはマッチしなかったのです。加えて、地元のディアの農業機械は高馬力でしたがクボタには馬力を出すことができず、言ってしまえば、ディアのパワーとアメリカの広大な土地に追いやられる形で、小〜中規模の農家をターゲットとするようになります。

そして、大きな転換点となったのは2004年、ユーティリティー・ビークル(多目的四輪車)市場への参入です。

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出典:クボタ 商品ラインナップ

オフロードの移動・運搬も可能なユーティリティ・ビークルは、それまでバギー車しかなかったアメリカ社会において、市場を拡大する商品となりました。つまり、大型の建設機械ではアメリカを開拓できませんでしたが小型の農業機械には活路があったのです。この事例を活用して、日本農家にとって普通に使われる中小型のトラクターは、アメリカでは富裕層にとっての「庭の芝刈り機」として生まれ変わり、市場を拡大していったのです。

日本人である我々のクボタのイメージは「田植え機などの農業機械」ですが、成長を遂げているアメリカ市場にとっては、「家庭用の大型芝刈り機メーカーであり、ユーティリティ・ビークルメーカーであり、そして建設機械や農業機械を取り扱うメーカー」なのです。ディアとの戦いを避け、自社の得意分野で勝負したこと、いわば弱者の戦略が現在の北米市場の成長要因です。

では、ここからのクボタはどのような成長を遂げるのでしょうか?

Next: クボタが今後成長するための2つのポイント

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