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株価15%下落「クボタ」は買いか売りか。長期投資家が注視する2つの成長戦略と機械事業ならではのリスク=佐々木悠

投資するべきか?

ここまでをまとめます。

  1. クボタは競合とバッティングしない小型機械を強みとして北米を開拓した
  2. M&Aを駆使しながら、最大市場のインド開拓を進める
  3. 市場拡大が見込める建設機械で、得意の小型を武器にシェア拡大を狙う

特に後半の2つが、今後の成長を支えるポイントになりそうです。

再度株価の動きを見てみましょう。

クボタ<6326>日足(SBI証券提供)

クボタ<6326>日足(SBI証券提供)

5月10日の24年12月期第1四半期決算を受けて、株価が下落しています。24年の通期決算は2.7%の減益を見込んでいますが、1Q時点では前年同期比0.3%減益にとどまり、そこまで悪い状態ではないように見えます。コンセンサス予想もわずかに上回り、この株価下落を業績で説明するのは難しいように感じます。10年の平均PERは約15倍であるのに対し、24年6月7日終値時点のPERは11.5倍ですから、割安感があります。

最後にクボタに投資するリスクについて触れます。

景気変動のリスクの影響を受けやすい事業ポートフォリオになっています。リーマンショックの時やコロナ禍(ガーデニング需要の高まりで一時的でしたが)では、業績が悪化しています。今後何らかの理由で景気が悪化した場合は建設、住宅需要の落ち込みによって、業績が悪化する可能性があります。さらに、海外売上比率が高いことから為替リスクであったり、農作物の需給バランスを考えると気象変動リスクも受ける可能性があります。

このようなリスクはあるものの、インド開拓や建設機械需要の拡大に期待するのであれば、中長期的に投資する価値はありそうです。クボタは日本の中では大企業ですが、世界的に見れば中小企業です。まだまだ市場を開拓する余地と、その実現可能性を秘めているように見えます。


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年6月7日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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