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株価15%下落「クボタ」は買いか売りか。長期投資家が注視する2つの成長戦略と機械事業ならではのリスク=佐々木悠

ポイント1.インド市場を開拓できるか?

クボタの決算説明資料には、自社の事業の強さと市場の成長性を軸にとり各事業がどのような評価を受けているのか、マッピングされています。

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出典:クボタ 決算説明資料

この図を見ると、ベーシック農業と建設機械(建機)成長性が高く、今後注力していく領域であると読み取れます。ここまで説明した国内外(主にアメリカ)の農業機械や水・環境事業は安定しているものの、大きな成長を見込んでいないようです。ここで稼いだキャッシュを、成長事業に投資する流れです。

まずは、成長度は高いものの収益性が高いとは言えない「ベーシック農業」領域への戦略です。

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出典:クボタ 決算説明資料

ベーシック農業とは低価格帯のトラクタの開発・販売です。その布石が2021年に行われたインドの農機大手、エスコーツ社の買収です。同社はトラクターの販売台数で世界最大のインド市場の主要なトラクターメーカーです。エスコーツ社の買収によって、クボタのインドにおけるシェアは2%から13%まで拡大しました。インド市場のシェアトップは地元企業のマヒンドラ&マヒンドラ(インド内シェア40%、世界シェア4位)です。クボタは2030年までに現在のシェアを24%、現在から約倍増させる目標があります。インドではトラクターを農作業だけでなく日常の移動や荷物の運搬など、さまざまな用途に使っており、機能を絞りながらも価格を抑え耐久性の高いトラクターの需要があります。

この需要に対し、エスコーツ社が築いた販売網と、クボタのトラクタの生産開発ノウハウを掛け合わせてインド市場の攻略に挑みます。

ポイント2.小型建設機械を売り込めるか?

そして、もう一つの成長ドライバーが建設機械事業です。

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出典:クボタ 決算説明資料

先ほど、機械事業の中で売上高を稼いでいるのは「農機・エンジン」と説明しましたが、売上の成長率が高いのは「建設機械」です。

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出典:決算短信より作成

建設機械は住宅市場の活況や政府の積極的な公共投資の増加によって成長度合いが変わります。近年は北米の公共投資増加の流れを受け、建設機械の需要が高まりました。アジア地域の経済成長に伴う建設機械需要の増加が期待されるなど、建設機械市場のポテンシャルは非常に高いものと考えられています。

しかし、こちらも決して簡単な市場ではありません。クボタの建設機械におけるシェアは2%程度ですが、上位には日本のコマツ(シェア15%)、アメリカのキャタピラー(同13%)、そしてディア(同7%)、その他中華系企業など、様々な競合他社が存在しています。

この競争環境の中、クボタは主要製品でシェア30%を目指しています。現状は「ミニバックホー」と呼ばれる油圧ショベルや、土木建設や除雪など複数の作業が可能な「コンパクトトラックローダ」など、比較的小型の建機に強みがあります。アメリカ市場開拓と同様に、コマツやキャタピラーが得意とする鉱山などで使われるような大型の建設機械ではなく、クボタが得意な小さな建設機械をいかに売り込めるか?

ここが成長のポイントになるでしょう。

Next: クボタに投資するリスクはあるのか?

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