東武鉄道<9001>の株価が4月から下落しています。株価は4,000円前後から現在は2,700円前後まで下落しています。約30%近く株価が暴落しています。今回は東武鉄道の現状を分析し、今後の成長性と投資して良いのかを考えます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
私鉄業界のビジネスモデル
東武鉄道は東京、千葉、埼玉、栃木、群馬に鉄道路線網を構築しています。浅草や池袋を中心に、主に通勤・通学・観光輸送の役割を担っています。
東武スカイツリーライン・伊勢崎線、日光線、及び東武アーバンパークライン(野田線)などが主たる路線です。
出典:東武鉄道ホームページ
東武鉄道は輸送人員で私鉄2位です。売上の規模は競合他社に劣りますが、営業利益率では競合他社よりも悪くはありません。
日本の私鉄のビジネスモデルはどこも似ています。
自社のターミナル駅から、郊外に沿線を伸ばし、住宅・都市開発で住民を増やす、そして郊外からターミナル駅に通勤通学させることで、沿線人口増と鉄道収入獲得を目指してきました。東急は渋谷〜横浜エリア、小田急は新宿、西武は池袋〜埼玉エリアなど、それぞれのエリアを開拓することでビジネスを行っています。
しかし、従来のビジネスモデルが徐々に成り立ちにくくなっています。郊外の沿線住民の高齢化と人口減少が起き、若い世代が都心に居住するようになりました。さらに、コロナによる電車通勤需要の減少もあり、鉄道収入以外の収益源の獲得が重要性をましています。
そこで、私鉄各社は多角化を行っています。鉄道収入以外に、駅近くにスーパーや百貨店を構える流通、ホテルや旅行事業のレジャー・サービス、そして沿線地域の都市開発による不動産、こういった事業を行っているのです。
出典:各社決算短信より作成