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人気株「JT」は今こそ売るべき?高配当は継続されるのか、長期投資のプロが3つの投資リスクを解説=佐々木悠

今回は、配当株として人気の「日本たばこ産業(以下・JT)<2914>」を取り上げます。22年に2,000円をつけたのを底に、24年4月現在は約4,500円です。JTのビジネスを解き明かし、今は売り時なのか?投資しても良いのか?考えてみます。

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

JT好調の理由

日本たばこ産業<2914>週足(SBI証券提供)

日本たばこ産業<2914>週足(SBI証券提供)

まずはJTのビジネスの中身を見ていきましょう。
あなたもご存知の通り、主力はたばこ事業です。その他には、医薬品の生産を行う医薬事業と、冷凍食品や調味料の製造販売を行う加工食品事業もあります。
とはいえ、売上の90%はたばこ事業によるものですから、やはり「たばこの会社」と言えるでしょう。

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また、JTはグローバルに展開する企業です。(23年12月期の海外売上比率は75%)
たばこ業界ではフィリップ モリス インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)に次いで世界3番位の売上規模を誇ります。

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JTは世界的に影響力がある企業なのです。
ここからは業績を見てみましょう。売上、営業利益ともにじっくりと成長しています。

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目先、24年12月期は増収減益予想です。この要因は、医薬事業の売上減少が影響しています。本業の不調という訳ではないことから、大きな問題はないでしょう。

では、たばこ事業はどのように成長しているのでしょうか?
「たばこって規制が強化されているから、あまり売れないのでは?」と、思われるかもしれません。実際、たばこの販売数量が大きく伸びている訳ではありません

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特に日本においては、低価格帯での競争激化などを背景に、販売数量は減少傾向です。さらにアメリカなどの先進国では規制の強化や人口構造の変化などから、販売数量は減少傾向にあります。
それをカバーするのが新興国(中東、アフリカなど)であり、人口増加と経済成長の影響で需要が増加しています。この先進国のマイナスと新興国のプラスが相殺され、販売数量は横ばいなのです。

それに対しJTは値上げを実施しています。

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タバコはその依存性から値段が上がっても消費量が落ちない特性があります。(いわゆる価格弾力性が小さい、一般的には1だがたばこは0.4。参考記事はこちら
タバコを値上げする理由は原材料高、増税による価格転嫁、比較的競争相手が少なく価格競争が起きづらい環境、収益確保の目的など様々な要因から行われます。それでも消費量が落ちない(横ばいで推移している)ことが、近年JTが好調である理由です。

Next: 配当金の高さは継続する?今後の成長戦略とは

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