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オリエンタルランド株価低迷は買いの好機か?業績好調も売られる理由、長期投資家が見るべきポイント=佐々木悠

個人投資家に人気の企業、オリエンタルランド<4661>(以下、OLC)を分析します。あのディズニーランドを運営する企業ですが、株価が冴えません。2024年に入ってから、ずるずると株が下落しています。3月に4万円をつけた日経平均と比べても、株価の動きが悪いと言えます。今回は、OLCの現状を分析し、いったいなぜ株価が下落するのか?今から投資するべきか?今後の業績の見通しはどうか?について解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

業績好調「オリエンタルランド」の現状

まずは、OLCの現状を分析します。

事業は大きく2つです。

東京ディズニーリゾートを運営するテーマパーク事業と、その周辺の宿泊施設を運営するホテル事業があります。

その内訳を見ると利益の8割はテーマパーク事業です。つまり東京ディズニーリゾートにおけるチケット収入やグッズ・飲食販売の収入が、OLCの主力収益源です。

(チケット収入:約50%、グッズ収入:約30%、飲食収入:約20%)

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業績の推移を確認してみましょう。

25年3月期の売上と営業利益で過去最高を更新する見込みです。

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出典:マネックス証券

 

コロナ禍で壊滅的なダメージを受けましたが、人流の回復に伴って業績も回復しています。

 

今期の25年3月期の年間の来場者数(予想)はコロナ前と同水準まで戻りました。

それに加えて顧客単価の上昇が起きています。

来園者の回復顧客単価上昇、これが過去最高業績を支える大きな要因です。

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出典:決算短信より作成

 

では、なぜ顧客単価が上昇しているのでしょうか?

一言で言えば値上げです。

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しかし、値上げするのには理由があります。

それは短期的要因:新エリアの開放と中長期的要因:利便性の向上です

 

まず、短期的な要因の新エリアの開放とは、24年6月6日からディズニーシーにおいてファンタジースプリングスという新エリアが開放されます。

 

当然、誰もがこのエリアにいきたいと思うはずですが、こちらのエリアに入るには有料チケットを購入する必要があります(園内で獲得できる無料チケットの配布もあります)。

さらに、特定のバケーションパッケージを利用する顧客に対し、このエリアを自由に行き来できるファンタジースプリングス・マジックという2万円台のチケットを販売します。

 

この新エリアに対する付加価値をチケットなどへ転嫁しているのです。

 

そして、中長期的にOLCが取り組んでいるのが利便性の向上です。

昔のディズニーは混雑期に遊びに行くと、人気アトラクションが2〜3時間待ち、ということがありました。しかし、コロナ禍の間に混雑を解消する取り組みを行いました。

 

人気アトラクションの並び時間を短縮するための有料チケット(ディズニープレミアムアクセス)や、混雑期や土日にチケット価格をあげるダイナミックプライシングを導入することで、混雑の解消を図っているのです。

 

こういった一連の取り組みは、言い換えれば「快適に楽しく過ごすには課金してください」です。それが来園者にも受け入れられ、単価上昇につながっています。

 

また、来園者の回復にはコロナの終焉もありますが、外国人観光客の増加も寄与しています。これには円安に伴う日本への観光需要の増加も関係しているでしょう。

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出典:決算短信より作成

 

こういった理由で、入園者数の回復と顧客単価の増加を達成し、好調を維持しているのです。

オリエンタルランド<4661> 日足(SBI証券提供)

オリエンタルランド<4661> 日足(SBI証券提供)

 

しかし、株価は下落しています。それはなぜでしょうか?

Next: 株価下落は場外乱闘の影響?PERの高さをどう判断するか

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