今こそ投資するべきか?
ここまでをまとめます。
<OLCの現状>
人流の回復と値上げ効果で業績好調。今期の新エリア解放も単価の押し上げに寄与。
<株価下落の理由>
大株主の京成電鉄とアクティビストパリサーの場外乱闘の影響が大きい
<高いPER>
料金が高くてもまた行きたいというコンテンツの魅力と集客力があることは明白。成長期待の高さが高いPERを招いている
投資判断については、業績は好調ながら株価が下落していることを考えると良いタイミングかもしれません。しかし、PERが常に高いことを踏まえるとバリュエーションに基づく合理的な判断が行いにくい難しさがあります。
そこで、投資する上で考えたいことは、OLCの今後の戦略です。
6月にオープンするファンタジースプリングスに対し、3,200億円の大型投資を行いました。27年にリニューアルするスペース・マウンテンは約560億円を投じています。
さらに、26年度以降はディズニー映画「シュガー・ラッシュ」をテーマにした新アトラクションを導入します。各エリアの未利用地の開発、既存アトラクションのスクラップアンドビルドを行うことで投資を継続することで成長を図ります。

Screenshot
出典:オリエンタルランド 経営計画
特にファンタジースプリングスの効果は、売上ベースで年間約750億円押し上げる効果があるとしています。24年3月期の決算は6,184億円ですから売上を10%以上押し上げる効果があります。
OLCの限界利益率(売上に占める利益と固定費の割合)は約50%です。(参考:バフェットコード)
つまり、売上の半分から固定費(減価償却費や維持管理費など)が引かれた残りが、利益となる計算です。そして、特に減価償却費は数年経てば固定費に対する影響力は小さくなります。したがって安定した売上があれば、儲かりやすいという特徴があります。
新エリアによる解放によって、集客効果が高まることは間違いありません。ファンタジースプリングスが業績に本格的に寄与するのは、26年3月期以降とみられています。今後も注目です。
そして、オリエンタルランドを購入するのであれば長期保有が前提だと思います。
株主優待をもらえるメリットも考えると、(100株の購入ならば)最低3年の期間が必要です。その間、場外乱闘の影響は無視しながら保有できるかどうかがカギだと思います。
というよりも、株主優待を目的とするのであれば売る必要がありません。優待が継続し、チケット(優待の価格)が値上がりする前提で、かつ配当金のことも考えると、いつかは利益を出せるという考え方もあります。
つまり、OLCへの投資は
「細かいバリュエーションは一旦無視し、長い目線で見れば株価が上昇すると信じる。株主優待をもらいながらOLC株自体を宝物のように扱って、保有すること自体に価値を感じる」
こういった考えを持つことができるのであれば、投資する価値があると考えます。今回の記事を参考にして、ぜひ投資判断をなさってください。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年5月22日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。